遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

人工がん幹細胞2

2013-01-17 19:48:05 | BIONEWS
昨年4月16日に人工がん幹細胞のタイトルで紹介した岡山大学のグループの仕事とどう違うかよくわかりません。古いニュースなんでリンクが切れてます。岡山大のグループも今日紹介する記事と同様iPS細胞樹立のテクニックを使ってがん幹細胞を作ってます。今、自宅で原著論文を比べることができないし、余暇にやってる趣味のブログなんで細かいとこは許してください。ただ、まあ、てなわけで、同じような内容ですが皆さん覚えてないでしょうし、おさらいみたいな文章になってもいいでしょう。許してっ。

横浜市立大など、「がん幹細胞性質」を有する細胞株の樹立に成功(マイナビニュース) - goo ニュース
iPS細胞を樹立するテクニックの応用です。山中先生が発見した4つの遺伝子を正常な体細胞に導入して発現させると多機能性の幹細胞が出来るってのが、iPS細胞・・・induced pluripotent stem cellってわけです、ご存知ですよね。
さてこの4つの遺伝子のうちのひとつががん遺伝子だってとこが難儀なとこでして、癌リスクがとっても高い。そもそもがん細胞と正常細胞の間のギリギリを攻めてるのが山中先生の技術なんですな。当たり前といえば当たり前ですね。まあ、それを避ける技術もいろいろと検討されてはいます。この研究が出て最初に感じたのは、「こりゃ研究用で、治療に使うのはずいぶん先だなぁ」ということ・・・もう臨床試験やり始めてますがね。すごい。w
この記事の研究成果は研究用の細胞を手に入れるための新技術。不死化した上皮細胞に例の4遺伝子を導入すると幹細胞様の機能を持った不死化細胞がっ! これって、がん幹細胞?!
彼らは、乳腺上皮細胞からがん幹細胞株を樹立したそうですが、すでに前立腺上皮細胞や皮膚細胞からもがん幹細胞株の樹立に成功しており、今後は各組織由来のがん幹細胞株の樹立を行い、がん幹細胞株のライブラリーを作製することを目指すそうです。がん幹細胞は癌化した組織から細胞を選り分けて拾ってくるわけですが、ライブラリーが出来れば研究が飛躍的に進むはずです。がん細胞の供給源であるがん幹細胞をたたくことが出来たら、抗がん剤治療後のがん再発を抑えることが可能になります。

本日のお酒:KIRIN CLASSIC LAGER + 鹿児島芋焼酎 沢渡
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする