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遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ウィルスでウィルスを制す

2006-11-08 22:57:50 | BIONEWS
エイズウィルス(HIV: human immunodeficiency virus)の増殖を阻害するウィルスを設計して患者に感染させ体内のHIVを抑えるのに成功したとペンシルバニア大等の研究グループが発表した。なんと、改造に使う土台のウィルスはHIV。もちろん、病原性に繋がる遺伝子は除去してある。そのかわりにアンチセンス遺伝子を導入。HIVは染色体DNAに入り込むから厳密な意味で『除去』は出来ない。感染した細胞を殺すしかないのだが、患者は免疫力がなくなるのでどーしょーもない。今回のはHIVに対して拮抗的に阻害する人工ウィルスをHIVで作ったわけ。殺せないが増やさない作戦。武器はアンチセンス遺伝子。作り方は簡単。相手の大事な遺伝子を逆向きに発現させる。発現した逆向きのRNAは相手のRNAにくっついて分解を促進する。
今回の報告では被験者があまりに少なく有効性の評価には足りない。あくまでも安全性の試験だったそうな。人工的に改造したウィルスがご本尊に勝てるのか結論はだいぶ先になりそう。

記事のURLは、http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061107i307.htm

そういえば、この春に英国の細胞生物学の雑誌から論文のレフリーをしてくれとメールが着ました。その内容がHIV関連・・・・専門外なので断りましたよ。無理。
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