滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

一二三石

2009年12月01日 | 建築
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今日は、9月に竣工した西念寺庫裏の一二三石を紹介します・・・。以前にも記事でお話しましたので、ご存知の方も多いと思いますが、修学院離宮にある隣雲亭の深い軒下のたたきには、大小さまざまな大きさの鴨川石(あずき色の石と青みかかった黒い石)が、一つ、二つ、三つとちりばめるように埋め込まれていて、俗に「一二三石(ひふみいし)」と呼ばれています・・。

私はこれまでに、ガラスカレット(ガラスを砕いたリサイクル品)をモルタルに混ぜた塗り床や陶片(茶碗などの陶器の破片)をランダムに埋め込んだ外壁などを設計に取り入れてきましたが、いつも発想の原点にあったのがこの「一二三石」でした・・。
いつか機会があればアレンジすることなく、原点の「一二三石」を実現してみたいと思っていた事もあって、西念寺庫裏では玄関土間やアプローチに念願だった「一二三石」を採用することにしました。

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実際に、どのような素材や工法で造られているのか詳細は不明だったので、現場監督さんや職人さんたちといろいろ検討を重ねた結果、最終的には左官屋さんと造園屋さんとのコラボレーションによって、一二三石を実現する事ができました。
詳しい工程は省略しますが、職人さんたちは、かなり手間のかかる作業をしてくださったので、出来上がったとき(一つ、二つ、三つと鴨川石が顔を出したとき・・)には、ちょっとした感動モノでした・・。

私も現場にアウトドア用の折りたたみ式の椅子を持ち込んで、カゴに入った石を1つ1つ手にとって使える石を選定していく作業をしました・・。これが結構疲れる作業で、とにかく・・どこか一面が平らになっている石が最低条件で、それ以外にも色合いや形、大きさなどを選んでいくと、結局使える石は1割ぐらいしかありませんでした。
おかげで、一二三石のピッチが少し粗くなってしまったのが残念ではあるのですが、職人さんたちの苦労を考えると、そんな贅沢を言ってはいけないのかも知れませんね・・。

最後に、この一二三石をもう一度造ろうと思っても、たぶん出来ないと思います・・。なぜなら、材料の入手が難しいという問題もありますが、そういう問題ではなく、この仕事に携わってくださった人たちの善意(人柄)と努力の結果・・奇跡的に出来上がったものだからこそ、もう二度と出来ないだろうなぁ・・と私は思うのです・・・。



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