滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

蹲踞(つくばい)

2010年09月06日 | アート・文化
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毎回ように言っていますが、暑い日が続きますね。昨日も(一応日曜日なんですけど)仕事をしていて、なんか暑いなぁ・・と思っていたら、大津は観測史上最高の暑さだったとか・・・。それでも、さすがに9月だけあって朝晩は幾分かは涼しく感じるのは私だけでしょうか・・。

という事で、なぜか今日は蹲踞(つくばい)のお話です・・。つくばいは、露地(茶室の庭)に設けられる日本庭園の添景物の1つで、茶室に入る前に手を清めるために置かれた背の低い手水鉢に役石をおいて趣を加えたものをいいます。
手水で手を洗うとき「つくばう(しゃがむ)」ことからその名が付いています。また、茶事を行うための茶室という特別な空間に向かうための結界としても作用します。

昨年竣工した「西念寺-庫裏」の中庭にもつくばいを造ったのですが(ちなみに西念寺には茶室はありません。)、そのとき造園屋さんにつくばいの基礎知識を教えてもらったのがきっかけで少し勉強しました。

一般につくばいの構成は、手水鉢(ちょうずばち)を中心にして、手水鉢の手前正面に手水を使うときに乗る前石(まえいし)、手水鉢の左側に夜の茶会時に灯り[手燭]を置く手燭石(てしょくいし)、手水鉢の右側に冬など寒中の茶会時に湯桶を置く湯桶石(ゆおけいし)、手水鉢と役石に囲まれた低い部分にこぼれた手水を受けるため玉石などを敷き詰めた水門(すいもん)[海とも呼ばれる]から成り立っています。(ちょっと分かりにくい説明になってしまいましたかね・・。)
ちなみに、手燭石と湯桶石の左右は、茶道の流派によって異なります。また、つくばいには、通常鉢明かりの燈籠が添えられています。

右上の画像は、(財)膳所焼美術館の露地にあるつくばいです。上述したように、手水鉢を中心に前石、手燭石、湯桶石[この3つを役石と言います。]、水門(海)から構成されているのがお分かりになるでしょうか・・。
実は、以前から膳所焼美術館のお施主さんより茶室の修繕をしたいという相談を受けています。実際に修繕するのは来年になりそうですが、草庵茶室なのでいい修繕ができれば・・と思っています。

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最後に余談ですが、建物の縁側で手水を使うために置かれた手水鉢を縁先手水鉢と言い、つくばいと違って縁側で立ったまま使用します。そのため手水鉢は背の高いもの、あるいは背の低いものは台石に乗せたものを選びます。
左の画像は、昨年竣工した「西念寺-庫裏」の中庭に設けた縁先手水鉢です。縁先手水鉢にもそれぞれ役石があるのですが、それはまたの機会にお話する事にします。(話が長くなるので・・・。)


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