滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

ダリ展に行って来ました。

2016年08月20日 | アート・文化

先日、京都市美術館で開催されている「ダリ展」に行って来ました・・・。調べたいことがあって京都市内に行っていたのですが、時間に余裕があったので、久しぶりに京都市美術館へ寄り道してきました。(もちろん、ダリ展をやっていることも知っていたので・・)、お盆休みも終わって平日だったので、そんなに混雑していないだろうと思いきや・・入場してみるとけっこうな人、人、人でダリ人気には驚いてしまいました。

 

ダリは、白昼の現実よりも、夜の夢からやってくる無意識をインスピレーション源としていたようです。でも、夢は現実ではないので、写実の技法で描けないはずなのに、ダリは夢の内容を克明に描写しています。悪魔のような世界が目の前のある現実であるかのように描いています。ダリは、常に「現実らしさ」とはなんなのか、現実と虚構の違いはどこにあるのかを探究していたようです。

回顧展で興味があったのは、ダリが広島と長崎への原爆投下を知って、大きな衝撃を受けたということです。どんな悪夢でも、原爆の投下に比べればもはや悪夢などてはないということでしょう。ダリは、そのことを精神分析を飛び越えて、量子力学や相対性理論にまで及んで描いています。

 

上の画像は、広島と長崎に原爆が投下されたことを知ったダリが、大きな衝撃を受け制作した「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」です。画面中央には、爆弾を落とす戦闘機が首を左斜めに傾けた人間の頭部の形態の中に描かれていて、それは、アメリカを象徴する野球選手たち、そして画面右端の爆発のイメージと組み合わされることで、広島に原爆を投下した爆撃機エノラゲイを観る者に想像させています。黒を基調とした画面には、原爆がもたらす恐怖によって支配される陰鬱な世界が広がっているのが感じとれます。

「ダリ展」は、9月4日まで、京都市美術館で開催されていますので、みなさんも「現実らしさ」とはなんなのか、現実と虚構の違いはどこにあるのかを探究してみてはいかがでしょうか・・・。

 

 

 

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