滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

日本建築再考

2009年01月18日 | 建築
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今日は、ちょっと長い話になるかも知れませんので覚悟して読んでください・・・。
昨日は午前中で打合せが終わったので、午後から日吉大社へ行って来ました・・。ある神社の神主さんから、「拝殿を建直すのにどれぐらい費用(工事金額)がかかるだろうか?」という相談を受けていたので、参考に日吉大社の拝殿をいろいろと拝見させてもらいに行って来た次第です・・。
日吉大社には数多くの社殿があります。画像はその中の1つで宇佐宮の拝殿(本殿の前に建てられた礼拝などを行うための建物)です。

神主さんの要望は、鉄筋コンクリート造で拝殿を建てたいという事です。主な理由は2つあります・・。1つは木造で建てようとしても納得のいく材料が揃えられない(コスト的な事も含めて・・)という事です。もう1つは、息子さんの世代になれば、もう建直すことなどできないかも知れないので、今のうちに鉄筋コンクリート造で頑丈な拝殿を造っておけば、息子さんの世代になっても建直さなくてもよいだろうという考えです・・。

実は先週の日曜日も、神主さんから参考にしてほしいと教えてもらった鉄筋コンクリート造や鉄骨造で建てられている拝殿を幾つか見学に行って来ました。
現代において、本格的な神社建築(寺院建築も含めて。)を木造で建てようとしても、職人さん不足という技術的な問題や良い材木が手に入らないという材料の問題で、結果的には職人不足・材料不足によるコストの高騰につながり、国宝や文化財でもない限り、一般の神社や寺院では本格的な木造で社寺建築を建てるのはかなり難しいというのが現実のようです・・。

それに比べ、鉄筋コンクリート造や鉄骨造で建てるのなら、かなりの妥協(割切り)は必要ですが、技術的な問題も少なく材料入手も容易に行えます。よって、先日見学してきたような鉄筋コンクリート造や鉄骨造で建てられている拝殿や社寺建築物が少なくなくても不思議ではありません・・。(これからは、もっと増えてくるでしょうしね。)
でも、これは最近に始まった問題でもなく、また私が言っても仕方のない事かも知れませんが、日本建築の危機であり、私たち日本人にとってもかなり寂しい状況にある事は間違いありません・・。(ちょっと大げさな話になりますが・・。)

少し話が逸れますが、現在工事中の「SAINENJI-プロジェクト」(お寺の庫裏の建替え工事です。)に於いても、本堂の老朽化が激しいので、近い将来本堂を建替えるための資金を檀家さんたちが積立されています・・。おそらく檀家さんたちは、当然のように木造で新しい本堂を建てることを望まれているのでしょうが、果たして本堂を建替えるときに、どれだけの材料(地球環境からしても、現在よりもさらに木材の伐採などは難しいでしょうから・・。)が集められるのか、また技術を持った職人さんがどれだけおられるのか・・などを考えると、最終的には鉄筋コンクリート造か鉄骨造になってしまうのではないかと危惧しています・・。

話を戻して相談を受けている拝殿ですが、とりあえず、柱や梁は鉄筋コンクリート造で造って、屋根は反りや軒裏の地垂木・飛えん垂木などの見栄えの問題(本殿とのバランス)があるので、屋根部分だけでも木造で造る方法で可能性を探っていこうと思っています。(すべて鉄筋コンクリート造にするのではなく、せめて屋根だけでも木造で・・と私なりに抵抗してみようと・・・。)

最後に誤解がないように言っておきますが、日吉大社の拝殿を建直すのではありませんからね・・・。











コメント
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