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木の構造体実験 そして 耐震等級 

2017-09-21 | 講演会・セミナー



みなさん、こんにちは

先週末は、運営委員会を務めさせていただいている建築士会の平成29年度信州木造塾が開催され、
メインイベントである長野県林業総合センターでの木の構造体実験でした。
毎年、木構造の第一人者、山辺豊彦先生をお迎えし行っている塾ですが、
今年の実験は、一番ダイナミックと言ってもいい、構造壁のせん段試験です。

 

床構面の実験も2体行い、合計6体。
大工さんは朝7時からきて組み立ててくださり、午前中からどんどん実験しました。

実際に建物が倒れてしまうと想定されている限界まで横に引っ張るのですが、
数値で言いますと、高さと横に引張る距離の比が、1/20~1/15ぐらいまで、


筋交いは、折れて、折れてない方でも金物のビスが抜けたり、
今回筋交いが折れそうなところに、節がありました。
みんなここから早めに折れてしまうのではと考えていましたが、
結構粘って、節ではないところから折れました。
比較的柔らかいとされる杉材でいい材料だったからではという見解でした。
これも今回、新しい経験となりました。
  

構造用面材の場合は、合板が斜めに引っ張られ、釘がめり込み、曲がってしまいます
  

貫工法の伝統工法は、耐力は強くないですが壊れず粘り強く動いていきます


構造壁に地震などで力が加わった時、どう動き、どこから壊れ始め、どうなってしまうのか、
実際目の前で見て、壊れる瞬間の音「木が泣く」を聞ける体験は、
私ども建築に携わる人間として非常に貴重な、重要な体験だと考えます。
構造も、耐力がある強いと言っても、剛性、弾性など様々あります。
どう組み合わせるかも設計にかかってきます。この経験をもとに検討していくことができます。


近くの施設で一泊し、翌日は3時間半の山辺先生の座学。
今回は木構造の基本でしたが、
一つ勘違いされやすいところの説明が改めてありました。 
耐震等級についてです。 

耐震等級は、住宅における品質確保法で定められているもので、
基本的に建築基準法とは違う法律で定められています。
耐震等級は1〜3までしかありません。
また、耐震等級1は建築基準法の壁量を満足すればそれと同じと考えられていることが多いそうですが、
それは違います。基本的に、壁量を計算する際の係数が違うので、全く別です。
もう一つ、 耐震等級2は、耐震等級1(建築基準法)の壁量の1.25倍、耐震等級3は1.5倍を
耐震壁として入れればいいというのも多いそうですがこれも間違いです。
こちらも、それぞれに計算する際の係数が定められており、その計算によってでた壁量を満たしていれば、
耐震等級1〜3となるわけです。

ちなみに弊社は、簡易計算ではなく、1棟1棟ビルなどと同じ許容応力度計算をしています。
プランに応じて柱梁一本一本、金物一つ一つ、それで大丈夫か検証をし、
長期優良住宅基準と同じ耐震等級2相当(許容応力度計算をしているのでおそらくそれ以上)を標準としております。
ご希望によって、耐震等級3にももちろん対応可能です。

この実験や講義などで得た経験と知識を活かし、プランニングから設計をし、
構造計算によって確認をして、しっかりした建築をつくる。

実はこの信州木造塾は、弊社先代社長 田中国興が、初代運営委員長を務め、開催させていただきました。
この木造塾も今年で15年目だそうです。
「まだまだ、木、木構造は知らないこと知られていないことが多い、
知っている建築士も少ない。だから木造塾をつくるんだ。」
当時、本人から聞いたのを覚えています。

ものづくりにかける想いは、今もありがたく、引き継がせてもらっています。

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