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公立病院「身売り」加速 医師不足、19カ所民間譲渡

2008-08-26 08:56:41 | Weblog
公立病院「身売り」加速 医師不足、19カ所民間譲渡 2008年8月23日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/0823/TKY200808230258.html
 全国に約千ある公立病院で、医師不足による経営難のため民間に売られたり、運営を任されたりする例が相次いでいる。今春までの6年間に民間譲渡されたのは少なくとも19病院、公設民営化は44病院。国は今年度中に公立病院改革の計画をつくるよう自治体に求めており、この流れが加速するのは必至だ。
 千葉県の銚子市立総合病院(393床)が9月末で休止することが決まった。22日、市議会で関連議案が1票差で可決されると、傍聴席に詰めかけた市民からおえつが漏れ、怒号が飛んだ。病院存続を公約に2年前に初当選した岡野俊昭市長は、「苦渋の決断。責任をすごく感じる」と頭を下げた。
 同病院は昨年度、患者数が4年前に比べて4割近く減った。入院と外来の収益は約17億円減り、4割以上減。毎年約9億円を病院に支出し、昨年度は基金を取り崩して15億円まで支援を広げた市も、昨年度以上に収益が悪化しそうな状況下ではこれ以上無理だと判断した。
 引き金を引いたのは、医師不足だ。常勤医は06年まで約35人いたが、昨春は22人、今春は17人になった。医師が減るごとに患者も減った。市によると、医師研修制度の変更を受け、日大医学部が医師を引き揚げたのが原因。昨秋には「今後の派遣は難しい。院長も出せない」と言われた。「翻意をお願いしたが、国立の2大学からも派遣依頼がきているという。どの大学も医師不足だ」と岡野市長。
 市は公設民営か民間移譲を探っているが、市民の反対はまだ続きそうだ。
 佐賀県武雄市は今年5月、累計赤字が約6億4千万円となった市民病院(155床)を、10年2月に民間移譲することを決めた。医師不足のため4月から救急部門を休止、診療時間も短縮。今は、移譲先に決まった福岡県の医療法人から医師派遣を受け、救急を再開している。
だが一部市民は「共有財産を民間に売り渡すのは許せない」と強く反発。差し止めを求めて住民監査請求し、却下されると住民訴訟を検討し始めた。地元医師会も「市との信頼関係が崩れた」と、予防接種や乳幼児健診などから手を引く構えを見せており、混乱は尾を引く。
 大阪府南部の忠岡町では、人工透析やリハビリ治療が特色で、地域医療の拠点だった町立病院を昨年3月末、岸和田市民病院と統合再編する形で閉院した。赤字が膨らみ、「このままでは町本体が財政再建団体に転落する」と判断した。跡地と建物は民間に売却。今年9月から民間診療所として、医師3人体制で外来患者を受け入れ始める。



 銚子市立総合病院といえば、島田総合病院・たむら記念病院と共に、人口約7.1万人の銚子市及び周辺地域の医療を引き受けていた、まさに地域で一番大きな中核病院なのですが、街そのものの人口の長期的な減少に医師の大幅不足が重なり、患者も減少して、とうとう9月末で休止に…(悲鳴
 もしこの病院の休業が長引くと、お産ができる総合病院が、産婦人科医1人体制で原則午前(木曜のみ午後も診療)の診療しか行っていない島田総合病院のみになってしまうのですが、地元の人は一体どこで子供を産めばよいのでしょうか…(溜息
 また忠岡町は泉大津・和泉・岸和田に囲まれた人口約1.8万人の小さな町ですが、こちらも公立忠岡病院が岸和田市民病院と統合再編する形で閉院し、医師3人体制の民間診療所に…。
 まあ、この忠岡町はかっては岸和田市との合併協議も行っていたようなので、岸和田市との関係も元々深いのだとは思うのですが、全国の町村で人口密度が3番目に高いような自治体で、他の自治体に医療という重要分野を頼り続けるというのもかなり問題があるのではないでしょうか…。忠岡町は他の医師不足の自治体のように、決して過疎の町ではありませんし、需要は必ずあるはずなのですが、町で唯一の公立病院がなくなってしまうというのは異常事態以外の何者でもありませんし、地域の方はさぞかし不満を抱えて生活されているのではないかと思います。
 もっとも、なんでも民間委譲すれば問題が解決するとは限らないのが佐賀県武雄市の例。武雄市は人口5万人強の長崎県との県境の山間の町ですが、こちらは民間委譲をめぐって住民訴訟騒ぎにまで発生してしまいました。今は福岡県の医療法人から医師を派遣してもらって、何とか救急を再開しているようですが、地元医師会が「市との信頼関係が崩れた」と、予防接種や乳幼児健診などから手を引く構えを見せるなど、こちらも騒動が続きそうな大変な雰囲気です。
 これまで日本全国に満遍なく医師を派遣する制度が崩壊して、とりわけ地方の公立病院がその煽りを受けているのですが、自分の長年生まれ育った町から医療が崩壊すれば、町の存続問題にもなりかねませんし、どう地域の医療を守っていくか、医師を引き止めることが難しい地方の自治体は頭を抱えることになりそうですね。


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