田中文科相、3大学新設認めず…審議会答申覆す 2012年11月2日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121102-OYT1T00666.htm
田中文部科学相は2日の閣議後記者会見で、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が認可する答申を行った新設の大学3校について不認可としたことを明らかにした。
判断を覆した理由について、全国に約800校ある大学の質の低下が進む中、容易な大学新設は認められないと主張。審議会の抜本的な見直しにも着手することも明らかにした。審議会の見直しを行う間は、大学の新設を認めないという。
同省によると、審議会が認可した決定を大臣が覆すのは異例で、過去30年では初めて。
閣議後の記者会見で田中文科相は、文科省が先月、ずさんな大学経営などが続いた学校法人「堀越学園」(群馬県高崎市)に解散命令を出すことを決めた事例などを指摘。「大学教育の質が低下している。そのために就職が不可能ということにもつながり、大学同士の競争の激化で、運営に問題も出ている」と述べた。
まさかウチが・文科省幹部驚き…大学新設不認可 2012年11月2日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121102-OYT1T00845.htm
来春に新設される予定だったはずの大学が、突然、「不認可」とされた。
田中文部科学相が2日の閣議後記者会見で明らかにした、3大学の設置を認めない決定。文科相の諮問機関の判断を覆す前例のない措置に、文科省幹部も驚きを隠さず、事実上、開校の道が閉ざされた学校側からは、「まさかうちが不認可になるとは」など戸惑いの声が上がった。
今回、不認可とされたのは、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が来年度の認可答申をしていた、岡崎女子大(愛知県岡崎市)、札幌保健医療大(札幌市)、秋田公立美術大(秋田市)の3校。
このうち、岡崎女子大側では「子ども教育学部子ども教育学科」(定員100人)の開校を予定していたが、2日午前、文科省から「不認可」の連絡が入ったという。ホームページでは「開学の案内」を掲載し、認可を前提に短大の定員も来年度から100人減らすことを決めており、大学設置準備室の担当者は「理由も分からず納得できない。経営的にも影響は避けられないだろう」と語った。
札幌保健医療大の設置準備室も、受験を希望する生徒らを対象に学校説明会などを開催してきた。同室の担当者も「認可が遅れて、不安を感じていたが、まさかうちの大学が不認可になるとは」と驚いた様子。「入学を希望してくれていた生徒に申し訳ない」とした。
秋田公立美術大を新設予定だった、秋田市大学設置準備室の担当者は「情報収集中でコメントできない」と言葉少なだった。
驚きの声は文科省内でも上がった。同省幹部は「寝耳に水で驚いている。審議会から答申が出た段階になって、その判断をいきなりひっくり返すのは良くないのではないか」と語った。文科省では、教育内容や経営状況が不十分な場合、新規大学の設置を不認可にしてきた経緯はあるが、この日の唐突な決定に別の同省幹部は、「政策的な理由で不認可にしたのは初めてのことだ」とした。
新設不認可:3大学「寝耳に水」 広報や校舎新築、徒労に 2012年11月03日 毎日
http://mainichi.jp/select/news/20121103k0000m040114000c.html
田中真紀子文部科学相が2日、大学設置・学校法人審議会が来春の開学認可を答申していた秋田公立美術大(秋田市)▽札幌保健医療大(札幌市)▽岡崎女子大(愛知県岡崎市)の3大学を不認可とした。時間と予算をつぎ込んで開学準備を進めていた各校には、まさに「寝耳に水」の判断。これまでの広報活動や校舎新築などの準備が無に帰しかねず、現場には混乱が広がった。3大学側は来週にも田中文科相に面会を求め、撤回を要求する。
●秋田公立美術大
「大臣の考え方一つで方針が変えられるのは行政の継続性を逸脱している。到底承服できない」。秋田市の穂積志市長は2日、緊急記者会見を開き、田中文科相への憤りをあらわにした。
09年の市長選で初当選時、穂積市長は現在の秋田公立美術工芸短大を4年制化して秋田公立美術大にする構想をマニフェストに掲げた。背景には短大生の就職率の低迷などがあった。
今年度予算では開学を見越した校舎の新設費として約5億1912万円を計上し、工事は10月末現在で36%が完了。新大学の3年次に編入(定員10人)を希望している短大生32人の進路も白紙となる。穂積市長は「出はなをくじかれた思いだ」と険しい表情を見せた。
同短大2年の女子学生(19)は「不認可にした理由の詳細が知りたい。編入や入学を希望している生徒への対応はどうなるのか」と話し、同短大付属高等学院2年の女子生徒は「大学になると聞き、学習面で頑張らなければと意欲が高まっていた。残念というよりも、驚きが大きい」と語った。
●札幌保健医療大
看護学の単科大・札幌保健医療大(札幌市東区)を開設予定だった学校法人「吉田学園」。大学設置準備室の鈴木隆室長は「教員の数など大学設置基準を超える手厚い態勢で開校準備に当たってきたのに『今ごろなぜ』という気持ちだ」と憤りを隠さない。
同学園は札幌市で専門学校9校を運営しており、このうち看護専門学校の「北海道保健看護大学校」の大学化を目指し、約4年前から準備を進めてきた。既に校舎の改築工事を済ませ、約30人の専任教員や数十カ所の実習病院も確保。3日には学生募集のためのオープンキャンパスを開き、募集要項を配布する予定だった。しかし「不認可」で急きょ中止せざるを得なくなり、職員が参加希望者一人一人に手分けして連絡するなど対応に追われた。
●岡崎女子大
岡崎女子大(愛知県岡崎市)を来春開学する予定だった学校法人清光学園は2日、運営している岡崎女子短大で記者会見を開いた。長柄(ながら)孝彦理事長は厳しい表情で「認可条件をクリアしていたのに理不尽。憤りを感じる」と語った。
同大は子ども教育学科の1学科(定員100人)で開学を予定し、ホームページやチラシ、オープンキャンパスでPRしてきた。約2億7000万円をかけて短大の教室・設備の改修や備品購入を進めており、新たに雇用する12人の専任教員も内定していたという。
田中文科相の「大学の数が多すぎ、質が低下している」との趣旨の発言に対して長柄理事長は「エリート主義のあらわれで、極めて問題がある」との声明文を読み上げた。
行き過ぎ・唐突・理不尽…3大学新設ストップ 2012年11月3日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121103-OYT1T00216.htm
「到底承服できない」――。文部科学相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が認めていた大学3校の来春開校に2日、田中文科相がストップをかけたことに、大学の地元から強い反発が噴き出した。
「大学が多すぎ、質が低下している」。不認可決定はそのような理由だったが、3校に落ち度はなかった。開校を見込んで準備を進めてきた学生や大学側は突然の決定に振り回され、激しい動揺が広がった。
「直前に言われても困る。また一から考え直せというのか」
秋田市の秋田公立美術工芸短大2年の女子学生(20)は、来春、短大から生まれ変わるはずだった秋田公立美術大(4年制)の3年次に編入する希望を絶たれた。
「(田中文科相には)できれば考え直してほしい」と困惑気味に話した。
やはり編入を考えていた1年の女子学生(19)も「(短大卒業後の)就職は全く想定していなかったので、他大学への編入も考えなくては」と肩を落とした。
4日に予定していた美術大として初のオープンキャンパスも中止が決まった。
秋田市の穂積志市長は記者会見し、「我々は審議会から示された審査基準を一つひとつクリアしてきた。審議会は大臣の諮問機関であり、そこで許可したものを大臣が覆すのは行き過ぎだ」と怒りをぶつけた。近く文科省を訪ね、不認可の撤回を求めるという。
3年前から札幌保健医療大(札幌市)の新設準備を進めてきた学校法人「吉田学園」には1週間前、文科省から「認可に少し時間がかかっているが、手続きに問題はない」と説明があったばかりだった。それだけに鈴木隆・大学設置準備室長は「不認可」の連絡を受け、「あまりに唐突。とても受け入れられない」と憤る。教員約30人は既に内定済み。現在の職場に退職届を提出した人もいる。
来春、4年制大学の岡崎女子大(愛知県岡崎市)を開設予定だった学校法人「清光学園」の長柄孝彦理事長は2日夕、緊急記者会見を開き、「文科省が示している基準をすべてクリアしているのに認可されないのは理不尽。はい、わかりましたとは言えない」と語気を強めた。校舎の改修や備品の購入費としてすでに2億7000万円を投じ、来春から専任教員として新たに12人の採用を内定していた。
「田中文科相の思い付きに振り回されたくない」 新設不認可で岡崎女子大の学校法人 2012年11月2日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121102/edc12110213040002-n1.htm
田中真紀子文部科学相が認可しないとした岡崎女子大学(愛知県岡崎市)を新設予定の学校法人清光学園は2日「納得できない」とのコメントを出した。
清光学園によると、約2年前から文科省に設置を相談し、今年3月に認可申請。2013年度の開校に向け、大学設置・学校法人審議会からの問い合わせなどに応じていたという。
清光学園は「審議会の認可は得ていたが、大臣の判断で不認可だと伝えられた。詳しい理由を教えてもらえず納得できない」として、今後、抗議を含め対応を検討するとした。
清光学園は岡崎女子短大や幼稚園を運営。短大を改築し大学校舎にするほか、大学案内のパンフレットなどを作成していたという。認可を前提に学生の募集を始め、今月末にも推薦入試を実施する予定だった。
担当者は「資金を投じて準備してきた。文科相の思い付きに振り回されたくない」と話した。
田中文科相の不認可に「びっくり」 秋田公立美術大への移行目指した短大 2012年11月2日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121102/edc12110214380004-n1.htm
田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大の新設を認可しないとしたことについて、同大への移行を目指していた秋田公立美術工芸短大の戸田郁夫事務局長は2日、共同通信の取材に「今初めて聞いた。びっくりした」と驚いた様子。
「学生の進路に関わる問題だ。どういう形での不認可か、理由が何なのか状況を確認した上で、今後は学内で協議して方針を決めたい」と頭を抱えた。
秋田市の大学設置準備室の大内一史さんは「今は情報を整理中。コメントできない」と対応に追われていた。
残念だ」と準備担当者 田中文科相、新設不認可で札幌保健医療大 2012年11月2日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121102/edc12110214060003-n1.htm
田中真紀子文部科学相が新設を認めないと発表した札幌保健医療大の設置準備室(札幌市東区)では2日、報道各社からの電話応対に追われた。担当の男性は「残念だ。急な話なので、対応がまだ決まっていない」と困惑した様子だった。
来年4月開校の予定で、文科省からの認可の連絡を待って年内に学生募集を始める予定だったという。担当者は「2年以上、準備をしてきた。これからどうなるか分からないので準備は続ける」と話した。
新設大学の不認可答申は11校…64年以降 2012年11月2日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121102-OYT1T00992.htm
◆大学設置・学校法人審議会
文部科学相の諮問機関。公私立大学が設置される際、学校教育法や大学設置基準などに基づき、大学設置、学校法人の二つの分科会で教育、経営面の状況などを審査する。
現在の委員は、大学長や公認会計士、民間会社社長など計29人。記録のある1964年以降、新設大学を不認可と答申したのは、11校。
「不認可騒動」、新学部設置申請の大学にも影響 2012年11月3日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121103-OYT1T00218.htm
今回の「不認可騒動」は、新学部などの設置を申請していた多くの大学にも影響を及ぼしていた。
来年度、法学部と健康科学部を新設する常葉学園大学(静岡市)は、文科省から「認可」の連絡が遅れたため、両学部の推薦入試を急きょ延期した。
当初、先月25日に連絡が入る予定だったが、「認可」の通知はなく、同省に問い合わせても「見通しが立たない」と言われただけ。
両学部を含め、推薦入試は今月18日に実施予定で準備を進めていたが、募集要項を高校や受験生に発送するはずだった今月1日の直前になっても連絡がなく、延期を決めた。
2日に認可されたものの、推薦入試を今月中に実施するのは難しいといい、担当者は「受験生に迷惑をかけた。せめて認可がいつぐらいになるのか教えてもらえればもう少し混乱を防げた」と話した。
う~ん。大学設立後短期間で「大学評価・学位授与機構が定める大学評価基準を満たしていない(不適合)」とされた事例としては、2004年に設置されるも、2010年3月に不適合とされたLEC東京リーガルマインド大学の事例がありますが、こちらは元々は資格取得学校が作ったやや特殊な学校。
新設大学や短大が大学の学部を新たに作ったり、短大→大学への鞍替えの事例での不認可は、記録の残っている1964年以降11校あったようですが、大臣が変わるたびに認可のための基準が厳しくなったり緩くなったり個人の裁量で決まるようでは学校法人としても困るでしょうし、学校が過剰といっても法科大学院のような司法試験合格者養成のための学校とは事情も社会的必要性も大幅に変わってくる(法科大学院の場合は、その地方に国立大学が1校しかない地方はともかく、都心部は明らかに過剰でしょう)わけで…。
認可が認められなかった学校法人は当然のことながら、政府側の人間。はたまた田中真紀子氏を文部科学大臣に任命した野田首相も、この判断には愕然としているでしょうね…。
野田首相としては、田中真紀子氏の求心力は欲しいものの、外務大臣のような重責ポストにつけて暴走されては困ることから、衆議院解散までの期間限定で初入閣の閣僚が務めることも多いこのポスト(過去の有事の時には伊吹氏のような大物も就任しているものの、無難にこなそうと思えばこなせる位置づけのポスト。野田氏としてはいじめ問題対策でも取り組んでもらえれば…のつもりだったのでは?)を与えたらまさかの暴走。
単なる一時差し止めですぐに撤回するならともかく、今後の対応次第では野田総理も本気で覚悟を決めなければならないかもしれませんね。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121102-OYT1T00666.htm
田中文部科学相は2日の閣議後記者会見で、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が認可する答申を行った新設の大学3校について不認可としたことを明らかにした。
判断を覆した理由について、全国に約800校ある大学の質の低下が進む中、容易な大学新設は認められないと主張。審議会の抜本的な見直しにも着手することも明らかにした。審議会の見直しを行う間は、大学の新設を認めないという。
同省によると、審議会が認可した決定を大臣が覆すのは異例で、過去30年では初めて。
閣議後の記者会見で田中文科相は、文科省が先月、ずさんな大学経営などが続いた学校法人「堀越学園」(群馬県高崎市)に解散命令を出すことを決めた事例などを指摘。「大学教育の質が低下している。そのために就職が不可能ということにもつながり、大学同士の競争の激化で、運営に問題も出ている」と述べた。
まさかウチが・文科省幹部驚き…大学新設不認可 2012年11月2日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121102-OYT1T00845.htm
来春に新設される予定だったはずの大学が、突然、「不認可」とされた。
田中文部科学相が2日の閣議後記者会見で明らかにした、3大学の設置を認めない決定。文科相の諮問機関の判断を覆す前例のない措置に、文科省幹部も驚きを隠さず、事実上、開校の道が閉ざされた学校側からは、「まさかうちが不認可になるとは」など戸惑いの声が上がった。
今回、不認可とされたのは、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が来年度の認可答申をしていた、岡崎女子大(愛知県岡崎市)、札幌保健医療大(札幌市)、秋田公立美術大(秋田市)の3校。
このうち、岡崎女子大側では「子ども教育学部子ども教育学科」(定員100人)の開校を予定していたが、2日午前、文科省から「不認可」の連絡が入ったという。ホームページでは「開学の案内」を掲載し、認可を前提に短大の定員も来年度から100人減らすことを決めており、大学設置準備室の担当者は「理由も分からず納得できない。経営的にも影響は避けられないだろう」と語った。
札幌保健医療大の設置準備室も、受験を希望する生徒らを対象に学校説明会などを開催してきた。同室の担当者も「認可が遅れて、不安を感じていたが、まさかうちの大学が不認可になるとは」と驚いた様子。「入学を希望してくれていた生徒に申し訳ない」とした。
秋田公立美術大を新設予定だった、秋田市大学設置準備室の担当者は「情報収集中でコメントできない」と言葉少なだった。
驚きの声は文科省内でも上がった。同省幹部は「寝耳に水で驚いている。審議会から答申が出た段階になって、その判断をいきなりひっくり返すのは良くないのではないか」と語った。文科省では、教育内容や経営状況が不十分な場合、新規大学の設置を不認可にしてきた経緯はあるが、この日の唐突な決定に別の同省幹部は、「政策的な理由で不認可にしたのは初めてのことだ」とした。
新設不認可:3大学「寝耳に水」 広報や校舎新築、徒労に 2012年11月03日 毎日
http://mainichi.jp/select/news/20121103k0000m040114000c.html
田中真紀子文部科学相が2日、大学設置・学校法人審議会が来春の開学認可を答申していた秋田公立美術大(秋田市)▽札幌保健医療大(札幌市)▽岡崎女子大(愛知県岡崎市)の3大学を不認可とした。時間と予算をつぎ込んで開学準備を進めていた各校には、まさに「寝耳に水」の判断。これまでの広報活動や校舎新築などの準備が無に帰しかねず、現場には混乱が広がった。3大学側は来週にも田中文科相に面会を求め、撤回を要求する。
●秋田公立美術大
「大臣の考え方一つで方針が変えられるのは行政の継続性を逸脱している。到底承服できない」。秋田市の穂積志市長は2日、緊急記者会見を開き、田中文科相への憤りをあらわにした。
09年の市長選で初当選時、穂積市長は現在の秋田公立美術工芸短大を4年制化して秋田公立美術大にする構想をマニフェストに掲げた。背景には短大生の就職率の低迷などがあった。
今年度予算では開学を見越した校舎の新設費として約5億1912万円を計上し、工事は10月末現在で36%が完了。新大学の3年次に編入(定員10人)を希望している短大生32人の進路も白紙となる。穂積市長は「出はなをくじかれた思いだ」と険しい表情を見せた。
同短大2年の女子学生(19)は「不認可にした理由の詳細が知りたい。編入や入学を希望している生徒への対応はどうなるのか」と話し、同短大付属高等学院2年の女子生徒は「大学になると聞き、学習面で頑張らなければと意欲が高まっていた。残念というよりも、驚きが大きい」と語った。
●札幌保健医療大
看護学の単科大・札幌保健医療大(札幌市東区)を開設予定だった学校法人「吉田学園」。大学設置準備室の鈴木隆室長は「教員の数など大学設置基準を超える手厚い態勢で開校準備に当たってきたのに『今ごろなぜ』という気持ちだ」と憤りを隠さない。
同学園は札幌市で専門学校9校を運営しており、このうち看護専門学校の「北海道保健看護大学校」の大学化を目指し、約4年前から準備を進めてきた。既に校舎の改築工事を済ませ、約30人の専任教員や数十カ所の実習病院も確保。3日には学生募集のためのオープンキャンパスを開き、募集要項を配布する予定だった。しかし「不認可」で急きょ中止せざるを得なくなり、職員が参加希望者一人一人に手分けして連絡するなど対応に追われた。
●岡崎女子大
岡崎女子大(愛知県岡崎市)を来春開学する予定だった学校法人清光学園は2日、運営している岡崎女子短大で記者会見を開いた。長柄(ながら)孝彦理事長は厳しい表情で「認可条件をクリアしていたのに理不尽。憤りを感じる」と語った。
同大は子ども教育学科の1学科(定員100人)で開学を予定し、ホームページやチラシ、オープンキャンパスでPRしてきた。約2億7000万円をかけて短大の教室・設備の改修や備品購入を進めており、新たに雇用する12人の専任教員も内定していたという。
田中文科相の「大学の数が多すぎ、質が低下している」との趣旨の発言に対して長柄理事長は「エリート主義のあらわれで、極めて問題がある」との声明文を読み上げた。
行き過ぎ・唐突・理不尽…3大学新設ストップ 2012年11月3日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121103-OYT1T00216.htm
「到底承服できない」――。文部科学相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が認めていた大学3校の来春開校に2日、田中文科相がストップをかけたことに、大学の地元から強い反発が噴き出した。
「大学が多すぎ、質が低下している」。不認可決定はそのような理由だったが、3校に落ち度はなかった。開校を見込んで準備を進めてきた学生や大学側は突然の決定に振り回され、激しい動揺が広がった。
「直前に言われても困る。また一から考え直せというのか」
秋田市の秋田公立美術工芸短大2年の女子学生(20)は、来春、短大から生まれ変わるはずだった秋田公立美術大(4年制)の3年次に編入する希望を絶たれた。
「(田中文科相には)できれば考え直してほしい」と困惑気味に話した。
やはり編入を考えていた1年の女子学生(19)も「(短大卒業後の)就職は全く想定していなかったので、他大学への編入も考えなくては」と肩を落とした。
4日に予定していた美術大として初のオープンキャンパスも中止が決まった。
秋田市の穂積志市長は記者会見し、「我々は審議会から示された審査基準を一つひとつクリアしてきた。審議会は大臣の諮問機関であり、そこで許可したものを大臣が覆すのは行き過ぎだ」と怒りをぶつけた。近く文科省を訪ね、不認可の撤回を求めるという。
3年前から札幌保健医療大(札幌市)の新設準備を進めてきた学校法人「吉田学園」には1週間前、文科省から「認可に少し時間がかかっているが、手続きに問題はない」と説明があったばかりだった。それだけに鈴木隆・大学設置準備室長は「不認可」の連絡を受け、「あまりに唐突。とても受け入れられない」と憤る。教員約30人は既に内定済み。現在の職場に退職届を提出した人もいる。
来春、4年制大学の岡崎女子大(愛知県岡崎市)を開設予定だった学校法人「清光学園」の長柄孝彦理事長は2日夕、緊急記者会見を開き、「文科省が示している基準をすべてクリアしているのに認可されないのは理不尽。はい、わかりましたとは言えない」と語気を強めた。校舎の改修や備品の購入費としてすでに2億7000万円を投じ、来春から専任教員として新たに12人の採用を内定していた。
「田中文科相の思い付きに振り回されたくない」 新設不認可で岡崎女子大の学校法人 2012年11月2日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121102/edc12110213040002-n1.htm
田中真紀子文部科学相が認可しないとした岡崎女子大学(愛知県岡崎市)を新設予定の学校法人清光学園は2日「納得できない」とのコメントを出した。
清光学園によると、約2年前から文科省に設置を相談し、今年3月に認可申請。2013年度の開校に向け、大学設置・学校法人審議会からの問い合わせなどに応じていたという。
清光学園は「審議会の認可は得ていたが、大臣の判断で不認可だと伝えられた。詳しい理由を教えてもらえず納得できない」として、今後、抗議を含め対応を検討するとした。
清光学園は岡崎女子短大や幼稚園を運営。短大を改築し大学校舎にするほか、大学案内のパンフレットなどを作成していたという。認可を前提に学生の募集を始め、今月末にも推薦入試を実施する予定だった。
担当者は「資金を投じて準備してきた。文科相の思い付きに振り回されたくない」と話した。
田中文科相の不認可に「びっくり」 秋田公立美術大への移行目指した短大 2012年11月2日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121102/edc12110214380004-n1.htm
田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大の新設を認可しないとしたことについて、同大への移行を目指していた秋田公立美術工芸短大の戸田郁夫事務局長は2日、共同通信の取材に「今初めて聞いた。びっくりした」と驚いた様子。
「学生の進路に関わる問題だ。どういう形での不認可か、理由が何なのか状況を確認した上で、今後は学内で協議して方針を決めたい」と頭を抱えた。
秋田市の大学設置準備室の大内一史さんは「今は情報を整理中。コメントできない」と対応に追われていた。
残念だ」と準備担当者 田中文科相、新設不認可で札幌保健医療大 2012年11月2日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121102/edc12110214060003-n1.htm
田中真紀子文部科学相が新設を認めないと発表した札幌保健医療大の設置準備室(札幌市東区)では2日、報道各社からの電話応対に追われた。担当の男性は「残念だ。急な話なので、対応がまだ決まっていない」と困惑した様子だった。
来年4月開校の予定で、文科省からの認可の連絡を待って年内に学生募集を始める予定だったという。担当者は「2年以上、準備をしてきた。これからどうなるか分からないので準備は続ける」と話した。
新設大学の不認可答申は11校…64年以降 2012年11月2日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121102-OYT1T00992.htm
◆大学設置・学校法人審議会
文部科学相の諮問機関。公私立大学が設置される際、学校教育法や大学設置基準などに基づき、大学設置、学校法人の二つの分科会で教育、経営面の状況などを審査する。
現在の委員は、大学長や公認会計士、民間会社社長など計29人。記録のある1964年以降、新設大学を不認可と答申したのは、11校。
「不認可騒動」、新学部設置申請の大学にも影響 2012年11月3日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121103-OYT1T00218.htm
今回の「不認可騒動」は、新学部などの設置を申請していた多くの大学にも影響を及ぼしていた。
来年度、法学部と健康科学部を新設する常葉学園大学(静岡市)は、文科省から「認可」の連絡が遅れたため、両学部の推薦入試を急きょ延期した。
当初、先月25日に連絡が入る予定だったが、「認可」の通知はなく、同省に問い合わせても「見通しが立たない」と言われただけ。
両学部を含め、推薦入試は今月18日に実施予定で準備を進めていたが、募集要項を高校や受験生に発送するはずだった今月1日の直前になっても連絡がなく、延期を決めた。
2日に認可されたものの、推薦入試を今月中に実施するのは難しいといい、担当者は「受験生に迷惑をかけた。せめて認可がいつぐらいになるのか教えてもらえればもう少し混乱を防げた」と話した。
う~ん。大学設立後短期間で「大学評価・学位授与機構が定める大学評価基準を満たしていない(不適合)」とされた事例としては、2004年に設置されるも、2010年3月に不適合とされたLEC東京リーガルマインド大学の事例がありますが、こちらは元々は資格取得学校が作ったやや特殊な学校。
新設大学や短大が大学の学部を新たに作ったり、短大→大学への鞍替えの事例での不認可は、記録の残っている1964年以降11校あったようですが、大臣が変わるたびに認可のための基準が厳しくなったり緩くなったり個人の裁量で決まるようでは学校法人としても困るでしょうし、学校が過剰といっても法科大学院のような司法試験合格者養成のための学校とは事情も社会的必要性も大幅に変わってくる(法科大学院の場合は、その地方に国立大学が1校しかない地方はともかく、都心部は明らかに過剰でしょう)わけで…。
認可が認められなかった学校法人は当然のことながら、政府側の人間。はたまた田中真紀子氏を文部科学大臣に任命した野田首相も、この判断には愕然としているでしょうね…。
野田首相としては、田中真紀子氏の求心力は欲しいものの、外務大臣のような重責ポストにつけて暴走されては困ることから、衆議院解散までの期間限定で初入閣の閣僚が務めることも多いこのポスト(過去の有事の時には伊吹氏のような大物も就任しているものの、無難にこなそうと思えばこなせる位置づけのポスト。野田氏としてはいじめ問題対策でも取り組んでもらえれば…のつもりだったのでは?)を与えたらまさかの暴走。
単なる一時差し止めですぐに撤回するならともかく、今後の対応次第では野田総理も本気で覚悟を決めなければならないかもしれませんね。