石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

衆議院厚生労働委員会での大変残念な政府答弁

2011-04-20 23:33:06 | 活動レポート
今日の衆議院厚生労働委員会で、長崎2区選出の福田えりこ民主党衆議院議員が質問に立ちました。「命をつなぐ政治を!」がモットーで、かつ長崎出身の福田議員らしく、今日の質問はその大半が放射線被害に関するもので、特に、福島原発で作業をしている作業員の方々の安全・健康管理問題が取り上げられました。

とっても大切な質問であり、政府には真摯に答弁をして欲しかったのですが・・・

結論から言うと、大変残念な答弁だった・・・いや、全く理解できない答弁だった、と言わざるを得ません。皆さんも、衆議院のインターネット録画中継でぜひ、その生のやり取りをご覧いただきたいと思います。そうすれば、きっと、同じ思い、とっても残念な思いを持たれることでしょう。

ゆっくり中継を見る時間の無い方のために、以下、私が中継を聞きながらメモしたものを抜粋して掲載します(注意:正確な記事録ではありませんし、公式なものでもありません):

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【福田議員】
 まず、一番被爆の可能性が高い、原発作業員の皆さんの健康管理についてお聞きします。驚くべきことだが、最近まで、線量測定器を全員が持って作業していなかったことが判明した。全員が線量計を持って作業をするようになったのはいつからなのか?

【松下・経産副大臣】
 3月24日に、3号機のタービン建屋内の水たまりに、足を長いあいだ漬けてしまって、被爆したのではないかという疑いのある作業員が3人出た。それで、全員が被曝線量計を持っていなかったことが判明した。直ちに対応して、全国からかき集めまして、4月1日からは1,000個の線量計を持って対応している。

【福田議員】
 事故後、20日もたってからです。しかも、3月18日には、800個近く入手していたとも聞いている。足りなかったのではなくて、平常時の規定の通り、グループ長が持っていれば良かったという対応だったのではないか? 今は平常時ではなく、非常事態だということを理解して欲しい。
 また、作業員の中には、求人サイトで、時給1万円で募集したアルバイトもいると聞いている。そのサイトの募集要件には、研修無し、雇用形態はアルバイトとなっている。原発や放射能について知識がない人に作業をさせるのはいかがなものかと思う。こういった短期間での作業にあたった人たちの健康管理のフォローや、補償はどうなっている?

【岡本政務官】
 今、資料でお示しをいただいた「縁結び」と書いてある求人サイト、こういった形で募集されているという実態について、重要なご指摘をいただいた。
 厚労省としては、緊急作業に従事された方の作業期間や被爆線量に応じて、どういったデータベースを構築していくかは、現在、考えているところです。健康管理をどうしていくかというのは大変重要な観点なので、専門家の皆さんのご意見を聞きながら、その実施を検討していきたいと考えている。

【福田】
 被曝量が、250ミリシーベルトに達さないように管理されていると理解している。その250ミリシーベルトという基準は、厚労省によると内部被爆、外部被爆を併せて計算していると理解しているが、ホールボディカウンターによるチェックの対象となるのはどういう人で、測定のタイミングはいつになるのでしょう?

【松下・経産副大臣】
 福島原発で作業している人たち、日中は400名から500名。夜が200名から300名。24時間体制で、ローテーショを組みながら作業している。安全装備品を装着して、完全防備で作業しているわけだが、不測の事態が発生する、そのことで内部取り込みが発生する人が可能性としているかも知れない。転んだり、ずれてどこかから中に入ってしまったりすることがあるかも知れない。そういう人たちについては、まず、Jビレッジという、20キロ地点に基地があるので、そこに入って貰って、スクリーニングをして、洗浄(除洗)をする。そして、小名浜に(ホールボディカウンターが)一台設置してあるので、そこでチェックして貰うという手続きでやっている。
 4月14日まで、179名の方々にボディカウンターによるチェックをした。今のところ、内部被爆があったという報告は受けていない。

【福田議員】
 タイミングはいつ? 測定をするタイミングは? 作業の途中なのか、終わってからなのか?

【松下・経産副大臣】
 考え方だが、累積線量が100ミリシーベルトを超過したと考えられる、可能性がある人について、即座に対応するということになっている。安全装備品を装着しているのだが、取り込んだり、吸い込んだりした可能性があるかも知れないので。

【福田議員】
 これまで、28人が100ミリシーベルトを越えたと。最高では198ミリシーベルトだったという結果がある。チェックを受けた179名のうち、28人が100ミリシーベルトを越えている。6.4人に一人が100ミリを越えたということだと思う。しかしホールボディカウンターによるチェックは小名浜まで行かないと出来ない。作業員の白血球数については、東電には管理を指示しているけれども、厚労省としては把握までしていないということだと思う。万が一に備えて、虎ノ門病院の谷口先生を中心に、作業員の方々の造血幹細胞の事前採取の必要性を主張しておられる。が、原子力安全委員会は、現時点で採取の必要はないと回答している。この件について、厚労省の考えは?

【岡本・厚労大臣政務官】
 ご指摘の、自己の造血幹細胞を事前に採取しておくということについては、原子力安全委員会からは現時点では必要ないという見解をいただいている。関係者や学会からは様々な意見をいただいており、重要な点だと考えている。
 厚労省としては、今回の事故で、労働安全衛生法上の上限値を、100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた。この範囲内で、出来るだけ押さえることが肝要で、まず、その点に注力していくことが必要だと考えている。

【福田議員】
 想定されるリスクを軽減する医療技術が存在することが分かっているわけだから、必要無いというのではなく、最善の策を取って欲しい。
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どうですか? 福田議員の質問に対して、まともに答えが出てきていないのがお分かりでしょう。

すでに先日、小宮山副大臣が作業員の被曝線量管理のためのデータベースを作る、と答弁したにもかかわらず、今日の岡本政務官の答弁は「その実施を検討したい」になっています。えっ、まだ検討している段階だったの? また、全く知識のないアルバイトをこれだけ危険を伴う作業場に投入することの是非や、その事後の健康管理の問題などについてはゼロ回答です。造血幹細胞の事前採取についても、重要な点だと言いながらも、結局はゼロ回答ですね。

なぜホールボディカウンターが小名浜に置かれているのでしょう? そこまで行かないとチェック出来ないというのは、一体どういうことなのでしょうか? Jビレッジでは放射線量が高すぎて、正確な計測が出来ないということであるならば、すでにJビレッジの放射線量もそれだけ高くなっているということになってしまいます。

とにかく、今日のこのやり取りだけを見れば、厚生労働省は何もやってないと言われても仕方ありません。がっかり、というか、悔しくて仕方ないです。とにかく私たちは、政府と関係省庁に対して、現場で作業している労働者の皆さんの安全と健康を最大限守っていくことを引き続き要求し続けていきます。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
不勉強で申し訳ありません (RN)
2011-04-21 10:01:24
ブログの内容は、その通りだと思います。
政府と、石橋議員との立場は、異なるものなのでしょうか?
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WEB掲載 (谷本哲也)
2011-04-24 21:51:06
詳細な情報ありがとうございます。
ブログ記事をもとに英訳、掲載させて頂きました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
がん研究会医師 谷本哲也
返信する
被ばくのデータベース? (西野)
2011-04-27 22:44:50
250mSvに被ばく限度を上げるなら、2乗3乗に引き上げというのは、同意します。
この国会での質疑を読んで、驚いています。
原発の被ばく問題に関わった経験から思うのですが、厚生労働省等の幹部の方は、既存の法令や制度の知識がないまま答弁されているということなのでしょうか。
作業者の被ばく線量管理について、他の質疑で答弁があるのかも知れませんが、この質疑ではどのように扱われているのかさっぱりわかりません。次のようなことです。
1.作業者の被ばくの扱いがわかりません。
線量計を装着せずに作業した作業者について、仮に「放射線測定器を用いてこれを測定することが著しく困難な場合」とみたとしても(そんなことないですが)、「放射線測定器によつて測定した線量当量率を用いて算出し、これが著しく困難な場合には、計算によつてその値を求める」(電離則第8条第3項)とし、それを確認し、記録し、業務従事者に遅滞なく知らせなければならない(同第9条)となっています。また、それは作業者個々の放射線管理手帳に記載されることになっています。これらのことが、法令どおりに行われているのかどうか。
2.構築するという「データベース」は、現在すでにある中央登録センターのデータベースとどう違うものを考えて言っているのかわかりません。
現在、原発等の放射線管理区域で作業に従事する人の被ばく記録は(財)放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターで、従事者個々の線量データを集中管理しています。法的には原子炉等規正法、放射線障害防止法、電離放射線障害防止規則で、放射線管理記録の引渡し機関として指定され、ここにすべてのデータが渡ることになっています。
被ばく記録が記載された放射線管理手帳は、従事者個々のものであっても在職中は会社が所持しますが、退職時には従事者に渡され、もし新たに放射線作業に従事するときには累積の線量として記録されます。もし、退職後紛失しても、個人情報開示手続さえすれば、中央登録センターの記録は開示されます。
これまで、原発作業者が退職後に白血病等を発症し、労災保険の請求をしたとき、この記録は業務上外判断の根拠とされてきました。
これ以上のデータベースというのは、考え付きませんし、もし考えられるのなら、現行の制度を改善すべきでしょう。たとえば、このデータベースはあくまでも産業側からの要請により作られてきたもの(財政的にも)です。したがって、在職時は個人記録は会社を通じてしか請求できず、退職後も開示請求の手続によるしか知る方法はありません。

他にも、大量に被ばくした作業者の将来の健康管理はどうするのか。労働安全衛生法による「健康管理手帳」を放射線業務についても適用するなどの制度改正は必須と思えます。
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