保津川下りの船頭さん

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雨に煙る嵐山、春の幻想空間へどうぞ~

2009-04-21 23:24:42 | 船頭
先日から初夏を思わす様な暖かい陽気が続いて保津川ですが、
今日は一転!春の嵐です。

舟に容赦なく吹き付ける強い向かい風と細かい雨。
乗られたお客さんもしばらくは顔を覆うビニールから手が
離せない状態に・・・

残り僅かだった山桜もこの風に完全に散り、山は緑に覆われてきました。

しかし、そんな美しい新緑をのんびり見ている余裕すらない
荒れ模様の天候。
人力で進める手漕ぎ舟の宿命ですが、我々船頭も雨風に負けずに
舟を前に進める為、普段より力を込めて懸命に仕事に当たります。

その分、トークに割く時間も少なくなり、お客様には十分にご満足頂ける
おもてなしが出来たか心配になりますが、やはり安全な運航が第一。
操船に集中することが何事にも優先すること・・・これも保津川流。

でもそんな最悪と思われた天候状態なの中でも自然は偉大です。
しっかり、雨の日独特の自然美というもの演出してくれるのです。


雨で出来た靄で煙る山々の景色が見事です!
特に嵐山の風景は絶品の一言。

山々の間から沸き上がり、また温泉の湯煙のように水面をぼやかす霞。
その薄霧が掛かったような空間の中に、しっとり雨にぬれた若葉が
浮かびあがります。
若葉の緑はより蛍光色に光り、輪郭がくっきりと見てとれます。

「わぁ~きれい~」
今まで濡れないようにとしっかり持っていたビニールから手を
離し、今、目の前に広がる‘幻想空間’に見惚れるお客さんたち。

雨の日がつくりだす、山々の自然美に雨のことも風のことも
忘れて、すっかり魅了されたようです。

「雨中嵐山」・・・さすがに、かの中国の名相・周恩来首相も
感動して歌を詠んでいかれたほどの風景です。

しかし、自然は本当に偉大です。

晴れ渡る日も、曇りの日も、そして雨の日までも、
それぞれ独特の自然美というものをあらわし
観る人の心を魅了することができる。

そして、なにより、そのことを感じられる仕事に就いている
自分を幸せに思わずにはいられない瞬間でもあるのです。

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