保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

お盆に七夕? 堀川の「京の七夕」へ行ってきました。

2010-08-21 21:33:56 | 京都情報
本当に暑かった今年のお盆。

保津川下りは今年も盛況で、心身ともにハードなお盆となりましたが、
何はともあれ、無事に終えられたことを安堵するとともに、この暑い最中、
保津川までお越し下さった皆さまに感謝申しあげます。

さてさて、そんなハードなお盆シーズンを過ごしていた私ですが、
京都ではこのシーズンにあわせて、新旧入り混じった様々なイベントが
開催されていました。

新たな京の夏の風物詩として今年から開催されてのが「京の七夕」です。
期間は8月6日から15日までの10日間。

8月のお盆に七夕?と思われる方も多いことと思いますが、実は旧暦では
この時期が「七夕」にあたるそうです。

さあ、それを活かさない手はない!と祭イベントを作り上げてしまうところが
京都伝統のパーワの凄さと奥深さです。
祇園祭から五山の送り火までの間、静かになる京都を盛り上げる為、
行政はもちろん、産業、宗教、学術界から地域住民までの
「オール京都」体制で始まった「真夏の光りイベント」、それが京の七夕なのです。

会場となるのは二条城前を流れる「堀川」とご存知「鴨川」の2会場。

私は先頃「清流」が復活した「堀川会場」へ行って参りました。


開始時刻30分前である18時30分前に堀川に着いた頃には、もうライトアップを待つ
人たちで川辺の遊歩道はごった返していました。


あたりが薄暗くなってきた19時ジャストにライトアップが開始されると
多くの観光客から大きな歓声が上がりました。
川の両岸に飾られた「願い七夕」の笹飾りが灯りに照らされて黄金色に輝き、
子どもたちが書いた願いの短冊も眩しく光り輝きます。


歩行者は堀川を上流へ向かう北行き一方通行で進みます。
笹飾りを抜けると「竹と光のアート」が展示されていました。
テーマを決め全国から募集した作品集は、作家及び市内芸術系の学生により製作されました。


日が落ち、あたりがすっかり暗くなると堀川の清流にLEDを内蔵した「いのり星」という
球体が無数、放流されて川に光りの流れが演出されます。


西陣織の産業地である上京区を流れる堀川では、過って「友禅流し」も盛んであったことから、
同イベントでは「七色の光り」による「友禅流し」が出現し、時間差で様々の色に変化し
鮮やかで彩り豊かな演出で、訪れた人の目を楽しませていました。


そして京の七夕・堀川会場のメイン、「光りの天の川」です。

堀川の流れを竹による巨大なアーチで囲い、LEDにより光り輝く「天の川」が出現しました!
川の水面には青く光る「いのり玉」が流れ、私たちを「光り」の幻想空間へと誘います。
見上げるアーチのモニュメントに浮かび上がる「天の川」は彦星と織姫が一年一度、出会うことが
できるロマンチックな伝説を際立たせ、想像力をかき立てるに十分な演習がされていました。

日本最古の人工河川である堀川は平安京造営時は資材運搬に重要な役割を果たし、中世には保津川を流れてきた
材木を洛中の材木市まで運ぶ運河として多彩な機能を有していた川だったが、近年、都市化の波を受け、
水源を絶たれて「枯れ川」になっており、また主要道路整備の為、暗渠化するなど、京都では「忘れられた川」
となっていました。

その堀川に再び清流を甦らせ、この様なビックイベントの会場として観光活用し、
都市部ど真ん中を流れる川を親水性の高い水辺空間としてにぎわいまで取り戻し
演出してしまうとは、まさに「京都、恐るべし!」です。

自然環境に恵まれながらも、その水辺空間を活かしきれていない保津川も、
川とのふれあいに対する住民の情熱や活かす発想などなど、見習うべき要素が、
この堀川にはたくさんあるのではないか?
そんなことを強く感じながら、蒸し暑い京都の夜を堪能してきた次第であります。


堀川は陰陽師・安部清明が十二神将の化身・式神を隠していた「一条戻り橋」
が架かっている川として有名でもあります。