保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

春の観光シーズンを前に保津川で川掃除。

2009-03-07 16:45:41 | 保津川エコ・グリーン委員会
春の観光シーズンを前に保津川遊船企業組合では5日、毎年恒例となっている
保津川渓谷の川清掃作業を実施しました。

「美しい保津川峡谷を観光客に見て貰おう!」を合言葉に船頭総出で行なわれた
川掃除は、亀岡市の保津川下り乗船場から京都・嵐山までの
約16キロ間・両岸で実施され、船を2艘出して漂着・漂流する
ごみを回収して下っていきます。

ほとんどの回収作業は船を川岸に着岸させ、歩いてごみを
拾うのですが、川中の岩場や中洲では船を迂回させ、
接近して船上から直接回収する作業も行います。
この作業には操船する者の確かな技術と流れ、渦を読む
正しい判断が要求される難しい作業でもあります。


この時期の保津川は、深い朝霧が渓谷に幻想的な空間を映し、
雪解け水を含んだ勢いある川水が岩とぶつかり白い水しぶきが
舞う、まさに「自然が創り出す芸術景観」
心洗われる気持ちのいい渓谷なのですが・・・・


そんな‘保津川の美’を汚すもの・・・それが「川のごみ類」
川が増水する度に漂着・漂流するごみたち・・・ペットボトルや
空き缶、スーパーのレジ袋 農業用肥料袋に農地に敷くビニール類
などが我々を待ち受けているのです。



まずは渓谷入り口にある「ガタロ岩」に上陸して、ごみの
回収作業をスタート。
「ガタロ」とはこの辺りでは‘河童’のことをいい、古くから
河童が上がる岩という言い伝えがあったそうです。
最近、これだけごみが漂着すると河童も上がることができず
さぞかしお困りのことと思いますが・・・


船はごみ漂着ポイント各所に着岸し‘上陸作戦’さながらの
勢いで順次回収していきます。

どこから流れて来たのか?こんな大きな鉄板まで…これは重いです!

おっと、畑や田んぼに敷く間切りビニール登場です!
軽く4~5mはありましょうか。

今回の掃除では空き缶が多く回収されました。
ここ最近、雨降り続きで河川が増水していたので、
浮かぶペットボトルやトレイなどのプラスチック類は
下流へ流れてしまったのでしょうか?
渓谷に流れ着いた空き缶のほとんどが砂を含んでいて、
そのままごみ袋に回収していくと重たくて担いて歩けないので、
岩や石に叩いて割り、缶中の砂抜きをしてから回収するのですが、
これが相当の手間なのです。
日が暮れるまでという限られた時間内で予定の工程を
終えなくてはならない春の川掃除では、空き缶一個、一個
の砂抜きをする作業時間はかなりのロスタイム。
しかし、見つけてた限りは全て回収しないと寝つきも
悪くなるというもの。
がんばって細かい作業を繰り返します。

川掃除は体力的にもハードですが、なんといっても危険を伴う
回収作業で、慎重さも大事です。
船の航路から見える箇所なら、傾斜の険しい崖でもしがみ付き、
枝に引っ掛かったゴミに手を伸ばし回収しなくてはなりません。
もちろん命綱などなし。苔や岩質によっては長靴が滑り、
落下の危険性も十分考えられます。
しかも片手にはゴミの入った重い土嚢袋を待って場合が多く、
正味、もう一方の手で体を支えているような状態です。
平地でも鋭いトゲを持ったイバラが行く手を遮ります。
手や足をすり切り、服を破りながらの作業です。

とはいえ、こんな作業を繰り返すうちに、船が嵐山に着く頃には、
2艘の船がゴミ袋の山で一杯になっていました。
嵐山に着いた船のごみの詰まった袋は、船上げ場で待っている
2tトラック一杯積み替えられ亀岡の埋め立て処分場まで運ばれます。

今回の川掃除は2月後半の悪天候続きで作業日程が、
結局2日間しか取れず、全てのごみを回収できなかった
のが少し心残りですが、一度も休憩を取らずに作業に
あたってくれた船頭たちの頑張りで何とか、春のシーズンを前に
美しい保津川を守ることができたと思います。

みなさん、お疲れ様でした。
今年も保津川の素晴らしい景観を守るため、頑張りましょう!