4ヶ月半ほども前のネタで恐縮です。が、本稿 出来栄えは兎も角、それだけの時間 温めていた話題である ということではあります。まず、当稿の主人公 田畑栄一先生 ご自身がおっしゃるところの、” 根っこの体験 " から話しを進めさせていただきます。
中学教師となって 5年目、先生は初めて 不登校の生徒の在席するクラスの担当となりました。
希望に燃えていた先生は、学校に戻って欲しい一心で、幾度ともなく家庭訪問したのですが、
卒業まで 願いが 叶うことはありませんでした。
時が経って その 10年後、同窓会でのことです。「先生!、田畑先生、お久し振りです! 」と呼び掛けられたのです。見れば、忘れもしない かの生徒。「今日は先生に お礼を言いたくて来ました」、「先生が、何度も家に来て下さったのが 嬉しくて・・・それが今も 支えになっています」。先生は 生徒と手を取り合って、涙に暮れたそうです。
先生は思ったです。関わり続けてゆけば、現象として 顕れなくとも、心に響いているのだ。目に見える現象 それのみが 教育ではない。目に見えない心の進化も 信じなくてはならないのだ と。
関わり合うツールとしての定番は、将棋・碁・オセロ・トランプ・けん玉 等々で、実際 よく利用されてきています。しかし これらで 協調性・コミュニケーション能力・創造力・プレゼンテーション能力の涵養とか言った 教育効果が得られるかと言ったら、疑問は残ります。それらに資することのできるモノって 何か無いだろうか・・・実は それは 先生のすぐ隣にありました。
先生が深く愛してる漫才です。それに 今、学校では ”笑い” が あまりに軽視されている という思いもありました。漫才を採り入れ、笑いを取り戻すのだ。漫才は 人を笑うことでも 人に笑われることでもない、計算された言葉で 笑わせるのが漫才。漫才は言葉の芸術と言えるものなのだ。
それに マイクの前で堂々としゃべれるとしたら、プレゼン能力の向上は 計り知れないものがある。これほど優れた教材って 他に何かあるだろうか・・・・・6年前のことです。
直ぐ 吉本興業さんへ TEL しますと、「協力します」と、支配人さんから ココロヨイ返事。で、本背景のもと『教育漫才』というカテゴリー(カリキュラムとしたほうが妥当かも)を確立すべく検討に入りまして、その過程や内容については、番組で触れてないので 分からないのですが、結果的に このような本が上梓されるまでに 漕ぎ着けてられます。
番組タイトルに ” 名物校長 ” とある通り、既に よく知られた存在になられてる先生は、令和 2年、埼玉県越谷市立 新方 (にいがた) 小学校 ( 全校生徒 203人 ) の校長先生に赴任されます。ただし コロナ禍の折柄、実質的 始まりは R2.6.1 。2か月遅れのスタートとなりました。
.
休校の影響は 予想以上でした。ペースが狂っちまって、集中できない子 チグハグな行動の子が多いように感じられます。中でも特に気掛かりは、笑わない生徒の多いこと。これは何とかしなくては・・・先生の動きに、一層 拍車が掛かります。
校長室は いつも開放。安心できる部屋になるようにと、遊び道具も各種取り揃えてます。
心の状態を見極めるため、授業に出たくない人は 校長室へ来なさいと 呼び掛けてます。
コロナだからこそ、今まで無かったものを作り上げよう。ピンチはチャンス と呼び掛けます。
夏休みが明け、落ち着きを取り戻したかに見える 9月16日、校長先生は 6年生 41名に向け、提案しました。もちろん 5回目の 6年生の担任になってる 吉野学之紀先生と一緒にです。
歓迎行事や運動会など、大きな行事が中止になってしまった。が、嘆いてばかりいてはダメだ。まして小学校最後の大切な年。楽しい想い出を作らないで何とする。先生は ” 笑う学校には 福 来たる ” という 信念を持っている。笑いで直ぐ思い付くのは 何たって 漫才だ。
どうだろう、みんなで漫才をやろうではないか。それに漫才は芸術なのだ。みんなで挑戦して、みんなで 笑いあふれる 温かい学校を作ろうではないか と。
総合学習の時間に取り組むことと。まずは、くじを引いて
コンビを作ることからスタートします。
次はネタ作り。漫才の基本は ”3段落ち” 。
/
普通のコト言って 普通のコト言って、3段目に落とす。このオチのところが勝負。
ただし この二つは絶対あってはならない。また 演ずるときは あくまで ”堂々と” やること。
子どもたちは 生き活きと 作り出します。
..
そして何回も練習します。
大きな舞台で練習します。
..
受けたりとか 滑ったりとかし、修正して、訓練するに見合って、その繰り返しをやることにより、表情がすごく生き生きしてき、声にも張りが出始めてきます。
この発達過程はスゴイと思いました。先生のアドバイスがあるとは言え、丸っきり zeroから生み出すのです。みんなの前で 元気に発表するのです。オー・マイ・ガー !!! とはこのことか。
『漫才は言葉の芸術である』という発想に衝撃を受けたですが、この子供たちの適応力の素晴らしさにも同様に・・・・・スゴッ、感心しました。
R2年12月 4日、取り掛かって3か月目、いよいよ発表会 !!! 。
『新方小学校 漫才グランプリ』略称『 N-1 』。保護者の方々に参加いただき 開催です。
第1部は、教室於いての 全組参加の 発表会。
...
みんな 大熱演。出席された親御さんたちの 感動、如何ほどのものだったことかと・・・・
第2部は、会場を体育館に移し、保護者の皆さんの投票で選ばれた
この ↓ 上位 4組の皆さんが 大きな舞台で演技し、『N-1』の幕が閉じられたのでして、
...
見事、一大イベントを やり終えた生徒の表情は、それはそれは充実感に満ち溢れていました。
6年生たちの熱意は 3学期に最高潮に達します。彼等の発案で、全校文化祭が挙行されました。
.
” 密 ” を避けるため、会場は 各教室を使った 分散開催です。
漫才は、5年生にも 4年生にも 拡がりを見せてます。きっと 良き伝統に育って行くのでは・・
6年生男子による ダンスは、一番の喝采を博しました。
卒業式を間近に控えた 3人の 6年生の、この 1年 振り返っての 感想です。
卒業式です。
..
生徒から ”寄せ書き” の プレゼントがありました。
田畑栄一校長先生は、このようにも述べてらっしゃいます。
「日本全国が漫才学校になると、いじめや不登校とか自殺がなくなるんじゃないかと思います」
【 教育漫才で、子どもたちが変わる。~笑う学校には福来る~ 】
NHK-Eテレ ETV特集『コロナに負けない~名物校長と笑う学校~』、素晴らしい番組でした。
なお タイトルに『けっぱり先生・・・』と冠しましたは、オイラが独身時代に読み感動した、山口瞳さんの『けっぱり先生』から拝借したものです。田畑先生は、その けっぱり先生に とてもよく似かよってる先生だなぁと 思えたからです。で(実際 どうだったのか知る由もないのですが、番組の BGM がそうでした)惜しむらくは 卒業式に、合唱曲『旅立ちの日に』は 本当に素晴らしい楽曲で オイラも大好きな歌ですが、これに加えて もう1曲『仰げば尊し』を歌ってほしかった・・・・つくづく、そう思います。けっぱり先生は、決してうたってくれるな と仰せでしたが、周りの人たちから自然に、この歌が 朗々と湧き起こってきたように・・・・
中学教師となって 5年目、先生は初めて 不登校の生徒の在席するクラスの担当となりました。
希望に燃えていた先生は、学校に戻って欲しい一心で、幾度ともなく家庭訪問したのですが、
卒業まで 願いが 叶うことはありませんでした。
時が経って その 10年後、同窓会でのことです。「先生!、田畑先生、お久し振りです! 」と呼び掛けられたのです。見れば、忘れもしない かの生徒。「今日は先生に お礼を言いたくて来ました」、「先生が、何度も家に来て下さったのが 嬉しくて・・・それが今も 支えになっています」。先生は 生徒と手を取り合って、涙に暮れたそうです。
先生は思ったです。関わり続けてゆけば、現象として 顕れなくとも、心に響いているのだ。目に見える現象 それのみが 教育ではない。目に見えない心の進化も 信じなくてはならないのだ と。
関わり合うツールとしての定番は、将棋・碁・オセロ・トランプ・けん玉 等々で、実際 よく利用されてきています。しかし これらで 協調性・コミュニケーション能力・創造力・プレゼンテーション能力の涵養とか言った 教育効果が得られるかと言ったら、疑問は残ります。それらに資することのできるモノって 何か無いだろうか・・・実は それは 先生のすぐ隣にありました。
先生が深く愛してる漫才です。それに 今、学校では ”笑い” が あまりに軽視されている という思いもありました。漫才を採り入れ、笑いを取り戻すのだ。漫才は 人を笑うことでも 人に笑われることでもない、計算された言葉で 笑わせるのが漫才。漫才は言葉の芸術と言えるものなのだ。
それに マイクの前で堂々としゃべれるとしたら、プレゼン能力の向上は 計り知れないものがある。これほど優れた教材って 他に何かあるだろうか・・・・・6年前のことです。
直ぐ 吉本興業さんへ TEL しますと、「協力します」と、支配人さんから ココロヨイ返事。で、本背景のもと『教育漫才』というカテゴリー(カリキュラムとしたほうが妥当かも)を確立すべく検討に入りまして、その過程や内容については、番組で触れてないので 分からないのですが、結果的に このような本が上梓されるまでに 漕ぎ着けてられます。
番組タイトルに ” 名物校長 ” とある通り、既に よく知られた存在になられてる先生は、令和 2年、埼玉県越谷市立 新方 (にいがた) 小学校 ( 全校生徒 203人 ) の校長先生に赴任されます。ただし コロナ禍の折柄、実質的 始まりは R2.6.1 。2か月遅れのスタートとなりました。
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休校の影響は 予想以上でした。ペースが狂っちまって、集中できない子 チグハグな行動の子が多いように感じられます。中でも特に気掛かりは、笑わない生徒の多いこと。これは何とかしなくては・・・先生の動きに、一層 拍車が掛かります。
校長室は いつも開放。安心できる部屋になるようにと、遊び道具も各種取り揃えてます。
心の状態を見極めるため、授業に出たくない人は 校長室へ来なさいと 呼び掛けてます。
コロナだからこそ、今まで無かったものを作り上げよう。ピンチはチャンス と呼び掛けます。
夏休みが明け、落ち着きを取り戻したかに見える 9月16日、校長先生は 6年生 41名に向け、提案しました。もちろん 5回目の 6年生の担任になってる 吉野学之紀先生と一緒にです。
歓迎行事や運動会など、大きな行事が中止になってしまった。が、嘆いてばかりいてはダメだ。まして小学校最後の大切な年。楽しい想い出を作らないで何とする。先生は ” 笑う学校には 福 来たる ” という 信念を持っている。笑いで直ぐ思い付くのは 何たって 漫才だ。
どうだろう、みんなで漫才をやろうではないか。それに漫才は芸術なのだ。みんなで挑戦して、みんなで 笑いあふれる 温かい学校を作ろうではないか と。
総合学習の時間に取り組むことと。まずは、くじを引いて
コンビを作ることからスタートします。
次はネタ作り。漫才の基本は ”3段落ち” 。
/
普通のコト言って 普通のコト言って、3段目に落とす。このオチのところが勝負。
ただし この二つは絶対あってはならない。また 演ずるときは あくまで ”堂々と” やること。
子どもたちは 生き活きと 作り出します。
..
そして何回も練習します。
大きな舞台で練習します。
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受けたりとか 滑ったりとかし、修正して、訓練するに見合って、その繰り返しをやることにより、表情がすごく生き生きしてき、声にも張りが出始めてきます。
この発達過程はスゴイと思いました。先生のアドバイスがあるとは言え、丸っきり zeroから生み出すのです。みんなの前で 元気に発表するのです。オー・マイ・ガー !!! とはこのことか。
『漫才は言葉の芸術である』という発想に衝撃を受けたですが、この子供たちの適応力の素晴らしさにも同様に・・・・・スゴッ、感心しました。
R2年12月 4日、取り掛かって3か月目、いよいよ発表会 !!! 。
『新方小学校 漫才グランプリ』略称『 N-1 』。保護者の方々に参加いただき 開催です。
第1部は、教室於いての 全組参加の 発表会。
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みんな 大熱演。出席された親御さんたちの 感動、如何ほどのものだったことかと・・・・
第2部は、会場を体育館に移し、保護者の皆さんの投票で選ばれた
この ↓ 上位 4組の皆さんが 大きな舞台で演技し、『N-1』の幕が閉じられたのでして、
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見事、一大イベントを やり終えた生徒の表情は、それはそれは充実感に満ち溢れていました。
6年生たちの熱意は 3学期に最高潮に達します。彼等の発案で、全校文化祭が挙行されました。
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” 密 ” を避けるため、会場は 各教室を使った 分散開催です。
漫才は、5年生にも 4年生にも 拡がりを見せてます。きっと 良き伝統に育って行くのでは・・
6年生男子による ダンスは、一番の喝采を博しました。
卒業式を間近に控えた 3人の 6年生の、この 1年 振り返っての 感想です。
卒業式です。
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生徒から ”寄せ書き” の プレゼントがありました。
田畑栄一校長先生は、このようにも述べてらっしゃいます。
「日本全国が漫才学校になると、いじめや不登校とか自殺がなくなるんじゃないかと思います」
【 教育漫才で、子どもたちが変わる。~笑う学校には福来る~ 】
NHK-Eテレ ETV特集『コロナに負けない~名物校長と笑う学校~』、素晴らしい番組でした。
なお タイトルに『けっぱり先生・・・』と冠しましたは、オイラが独身時代に読み感動した、山口瞳さんの『けっぱり先生』から拝借したものです。田畑先生は、その けっぱり先生に とてもよく似かよってる先生だなぁと 思えたからです。で(実際 どうだったのか知る由もないのですが、番組の BGM がそうでした)惜しむらくは 卒業式に、合唱曲『旅立ちの日に』は 本当に素晴らしい楽曲で オイラも大好きな歌ですが、これに加えて もう1曲『仰げば尊し』を歌ってほしかった・・・・つくづく、そう思います。けっぱり先生は、決してうたってくれるな と仰せでしたが、周りの人たちから自然に、この歌が 朗々と湧き起こってきたように・・・・