泣く男

試写会に行った、帰りの地下鉄での出来事。

車内で、ある男の子に釘付けになった。
その男の子は見た感じ年齢は10代後半～20代前半、高校生ほど子供っぽくないが
社会人ほど大人びてもいないので、多分大学生か専門学校生くらいだろう。
身長180cm前後の長身、細身でビンテージ・メイクしたジーンズを腰履きしたイマドキ風。
茶髪の髪はカリスマ美容室で切ってもらっているのか？自分の顔立ちをよく心得て
メイクした「オシャレに作り込んだ系」
色白で線が細く、顔立ちもはっきり言うけど「かなりのイマドキ☆イケメン」

そのイケメン君が、人目も憚らずしくしくと泣いていた。

「イケメン・ウォッチャー」を自認するアタクシとしては、気になって仕方がない。
こんなにカワイイ子（←この表現が既におばちゃんな件）が、何が悲しくて
人目も憚らずに泣いているのかしら・・・でも、本当に悲しそうな顔だわ。
悲しそうに泣いている顔がまた可愛らしいじゃないの♪←だからこのババアったら（苦笑）

彼女にフラれたのかしら？
それともお友達と決定的なケンカでもして絶縁しちゃった？
もしかしてお友達か身内にご不幸でもあったのかしら？
・・・等と、その可愛い泣き虫さんの顔を見ながらつらつら考えていた。


私の世代だと、「男は人前で泣くもんじゃない」というのが常識。
「泣く男はみっともない」とまで言う人もいる。
その一方で、映画やドラマを見て感動して泣く男を見て萌えるのもこの世代。
要するに「男は泣かないもの」という刷り込みが出来ているが為に
感動して涙する男を見ると、「まあ、何て感受性の高い人なのかしら♪」と
必要以上に萌えちゃう世代なんですね。ええ。とんだババアですよ。すまんね。

以前この日記で「ケンカすると直ぐに泣く女」をネタにした事があるが、
だったら「泣く男」はどうだろう？

うちのダーは滅多に泣かない。
本当にごくごくたまーに、映画やTVドラマやドキュメンタリー等を見て
感動したり共感してウルウルする事はあるけど、かなり派手なケンカをしても
泣くなんて事は本当にない。

もしケンカする度にダーがメソメソしくしく泣き出したら、私はどう思っただろう？
きっと「うぜーな、コイツ。男のクセに女々しく泣いてんぢゃねーよ」と
更に冷めた目で見てしまったかもしれない。

でも、数年前（かなり前だけど）
私もダーに対する鬱憤が本当に溜まりに溜まっていて、ある事でケンカになった時に
マジギレして、大泣きしながら「アンタの事が本当に嫌いなの！大っ嫌い！」と
叫びまくった事があった（この時は本当に離婚する気で腹に溜まったモノを吐き出しまくった）

その時ダーは、目にいっぱい涙を溜めながら、でも絶対にココで泣いてはいけない、
ココで泣いたら俺は壊れる・・・とでも思ったのか、目をカッと見開いて
天を仰いで唇が切れる位に噛み締めていた。
そして大きく深呼吸をして「お前の気持ちを察してやれなくてすまなかった」と
震える声で小さく言った。

もしこの時ダーがオイオイと泣き崩れて私に罵倒し返していたら、
私は今頃間違いなく旧姓に戻っていただろうと思う。
今はむしろ、この時のダーの対応に感謝している。


イマドキの男の子は、電車だろうが街角だろうが、悲しい事があると泣いてしまうのか。
それとも今日たまたま見かけたあのイケメン君だけが例外なのだろうか。
どちらなのか判らないけど、私はやっぱり「男は涙をみだりに見せるものではない」
という考えの人間なんだろうな、と思う。
だからこそ、ごくたまに見せる「ほんのちょっぴりの男の涙」にジーンとするんだろうなと。

男も女も、「涙をウリ」にするのはやっぱりズルイよね。