「親愛なる君へ」
台湾映画。ここんとこ続けて台湾映画観てるな。
先日見た「1秒先の彼女」の時に「2020年の台湾版アカデミー賞で主要5部門を受賞」と書きましたが、本作は同年の主演男優賞と助演女優賞を受賞されたんだそーです。
ってー事はだ、「1秒先の彼女」は内容的に評価が高く、本作は演者の力が際立っていたという事でオケですかね?^^;
あらすじ
ジエンイー(モー・ズーイー)は、今は亡き同性パートナーの家族である年老いたシウユー(チェン・シューファン)の家に間借りしながら、彼女と孫のヨウユーの面倒を一人で見ていた。そんな折、病気療養中だったシウユーが突然亡くなり、その死因をめぐってジエンイーは周りから疑いの目で見られる。警察の捜査によって彼に不利な証拠が出てきたため、ジエンイーは裁判にかけられる。(Yahoo!Movieから丸パク)
イマドキなLGBTQネタと+サスペンス要素を絡めた作品。
話は最初から主人公・ジエンイーが恋人(♂)の母親と恋人の残した息子・ヨウユー(彼はバイセクシャルで元嫁とは離婚済みで息子を引き取っていた)と住んでいて、恋人は何らかの理由で既に他界しているという設定から始まっています。場面は旧正月で上海に出稼ぎに出ていた恋人の弟が帰省してきたトコロから始まります。
そこからわずか半年足らずで恋人の母親が亡くなる訳ですが…まあぶっちゃけ金に汚い恋人の弟が家の権利書をコッソリ手に入れようとすると家の名義が甥っ子(ヨウユー)になっていたのでびっくり仰天。しかもその甥っ子はジエンイーと養子縁組をしていると聞いて「コレは家を乗っ取ろうとしたジエンイーの殺人だ!」と騒ぎ出す訳です。
調べていくと次々とジエンイーにとって不利な証拠ばかりが出てくる。
ヨウユーもモノ言いたげなんだけどなーんかスッキリしないまま話がどんどん進んでいくんだけど、ジエンイーが出会い系やってゲイのセフレ作ってたとかそのセフレからあかん薬物をコッソリ購入したとかとにかくどう転がっても言い訳できない証拠がゾロゾロ出てくるに当たって、遂にジエンイーが元恋人のおかんを殺害したことを認める供述を始める訳ですが…何故ジエンイーはやってもいない殺人を認めてしまったのか、何故違法薬物を手に入れようとしたのか、等々の答え合わせが後半から始まります。
ジエンイー役を演じたモー・ズーイーさん、始め台湾の役者さんまるっと全く存じ上げなくて申し訳ないんですが(苦笑)、モー・ズーイーさんは影のある田中圭君って感じのイケメンで物憂げな様子が凄く雰囲気があってステキ!
最初の取り調べのシーンで刑事に「どうして恋人が亡くなった後も恋人の家族と一緒に暮らしているんですか?」という質問に「もし自分が女性だったとしたら同じ質問をしますか?パートナーが亡くなった後もパートナーの家族の面倒を見ている事をおかしいと思いますか?」と切り返していて、このシーンがとても印象的だった。
なるほどなぁーと。確かにおっしゃるとーりだな。自分の友達にも旦那さんの実家を二世帯住宅にして住んでたんだけど旦那が病気で亡くなって、亡くなった後もそのまま舅姑と二世帯住宅で生活してる子居たなーと。そういうケースって割に聞くしまあそれもアリかーと思えるのに、それがどうしてパートナーが男性だと違和感を持ってしまうのだろうかと。実際自分、本作の最初の設定の段階で観てて「なんでこの人恋人が死んじゃったのにまだココに居るんだ?」って思ってたし。
ジエンイーがヨウユーを養子にして我が子として慈しんでいる様子をくだんの弟は「正常な状態ではない」と一刀両断してピリつくシーンもあります。
自分はジェンダー問題に関して割とフラットな考えだと自認しているつもりでいましたが、先程の「恋人の家族を恋人亡き後も面倒見続ける」件で改めて自分も無意識下で男女の性差で物事の常識を推し量っている部分がまだまだあったのだな、と思わされましたね。本当にハッとさせられました。
劇中でジエンイー本人も恋人の母親から口止めされて自分と恋人の関係をOPENに出来ない(ヨウユーにも説明出来ない)もどかしさを抱えているシーンや、恋人を喪った悲しみとやり場のない気持ちを出会い系でセフレを見つけてぶつけるシーン等、なかなかエグい絵ヅラのシーンも出て来ますが、一貫して幼いヨウユーを守りたいという慈愛満ちた表情や、糖尿病が悪化して足が壊死していく恋人の母親の辛さを思って一生懸命奔走するも何もかも上手く行かずに空回りして行ってしまう切ない様子等、ジエンイーの優しさがスクリーンから溢れ出ていました。
こんなに優しい人がどうしてこんなに辛い目に遭わなければならないのか、ただ同性の人を好きになっただけなのにどうしてこんなに迫害されなければならないのか、そして恋人をあんな風にして喪わなければならなかった辛さや後悔を思うと、本当に胸がヒリヒリするような何とも言えない気持ちになりましたね。
とにかくモー・ズーイーさんの演技が素晴らしかったのだなぁと。本当にこの人の半生を見せられているのではないかと錯覚する程の熱演でした。
最後にヨウユーが作った歌がまた泣かせるんですよ…柄にもなく「ああ、どうか皆幸せになって欲しい!」と叫び出したくなるような、そんな切ないお話でした。
台湾映画。ここんとこ続けて台湾映画観てるな。
先日見た「1秒先の彼女」の時に「2020年の台湾版アカデミー賞で主要5部門を受賞」と書きましたが、本作は同年の主演男優賞と助演女優賞を受賞されたんだそーです。
ってー事はだ、「1秒先の彼女」は内容的に評価が高く、本作は演者の力が際立っていたという事でオケですかね?^^;
あらすじ
ジエンイー(モー・ズーイー)は、今は亡き同性パートナーの家族である年老いたシウユー(チェン・シューファン)の家に間借りしながら、彼女と孫のヨウユーの面倒を一人で見ていた。そんな折、病気療養中だったシウユーが突然亡くなり、その死因をめぐってジエンイーは周りから疑いの目で見られる。警察の捜査によって彼に不利な証拠が出てきたため、ジエンイーは裁判にかけられる。(Yahoo!Movieから丸パク)
イマドキなLGBTQネタと+サスペンス要素を絡めた作品。
話は最初から主人公・ジエンイーが恋人(♂)の母親と恋人の残した息子・ヨウユー(彼はバイセクシャルで元嫁とは離婚済みで息子を引き取っていた)と住んでいて、恋人は何らかの理由で既に他界しているという設定から始まっています。場面は旧正月で上海に出稼ぎに出ていた恋人の弟が帰省してきたトコロから始まります。
そこからわずか半年足らずで恋人の母親が亡くなる訳ですが…まあぶっちゃけ金に汚い恋人の弟が家の権利書をコッソリ手に入れようとすると家の名義が甥っ子(ヨウユー)になっていたのでびっくり仰天。しかもその甥っ子はジエンイーと養子縁組をしていると聞いて「コレは家を乗っ取ろうとしたジエンイーの殺人だ!」と騒ぎ出す訳です。
調べていくと次々とジエンイーにとって不利な証拠ばかりが出てくる。
ヨウユーもモノ言いたげなんだけどなーんかスッキリしないまま話がどんどん進んでいくんだけど、ジエンイーが出会い系やってゲイのセフレ作ってたとかそのセフレからあかん薬物をコッソリ購入したとかとにかくどう転がっても言い訳できない証拠がゾロゾロ出てくるに当たって、遂にジエンイーが元恋人のおかんを殺害したことを認める供述を始める訳ですが…何故ジエンイーはやってもいない殺人を認めてしまったのか、何故違法薬物を手に入れようとしたのか、等々の答え合わせが後半から始まります。
ジエンイー役を演じたモー・ズーイーさん、始め台湾の役者さんまるっと全く存じ上げなくて申し訳ないんですが(苦笑)、モー・ズーイーさんは影のある田中圭君って感じのイケメンで物憂げな様子が凄く雰囲気があってステキ!
最初の取り調べのシーンで刑事に「どうして恋人が亡くなった後も恋人の家族と一緒に暮らしているんですか?」という質問に「もし自分が女性だったとしたら同じ質問をしますか?パートナーが亡くなった後もパートナーの家族の面倒を見ている事をおかしいと思いますか?」と切り返していて、このシーンがとても印象的だった。
なるほどなぁーと。確かにおっしゃるとーりだな。自分の友達にも旦那さんの実家を二世帯住宅にして住んでたんだけど旦那が病気で亡くなって、亡くなった後もそのまま舅姑と二世帯住宅で生活してる子居たなーと。そういうケースって割に聞くしまあそれもアリかーと思えるのに、それがどうしてパートナーが男性だと違和感を持ってしまうのだろうかと。実際自分、本作の最初の設定の段階で観てて「なんでこの人恋人が死んじゃったのにまだココに居るんだ?」って思ってたし。
ジエンイーがヨウユーを養子にして我が子として慈しんでいる様子をくだんの弟は「正常な状態ではない」と一刀両断してピリつくシーンもあります。
自分はジェンダー問題に関して割とフラットな考えだと自認しているつもりでいましたが、先程の「恋人の家族を恋人亡き後も面倒見続ける」件で改めて自分も無意識下で男女の性差で物事の常識を推し量っている部分がまだまだあったのだな、と思わされましたね。本当にハッとさせられました。
劇中でジエンイー本人も恋人の母親から口止めされて自分と恋人の関係をOPENに出来ない(ヨウユーにも説明出来ない)もどかしさを抱えているシーンや、恋人を喪った悲しみとやり場のない気持ちを出会い系でセフレを見つけてぶつけるシーン等、なかなかエグい絵ヅラのシーンも出て来ますが、一貫して幼いヨウユーを守りたいという慈愛満ちた表情や、糖尿病が悪化して足が壊死していく恋人の母親の辛さを思って一生懸命奔走するも何もかも上手く行かずに空回りして行ってしまう切ない様子等、ジエンイーの優しさがスクリーンから溢れ出ていました。
こんなに優しい人がどうしてこんなに辛い目に遭わなければならないのか、ただ同性の人を好きになっただけなのにどうしてこんなに迫害されなければならないのか、そして恋人をあんな風にして喪わなければならなかった辛さや後悔を思うと、本当に胸がヒリヒリするような何とも言えない気持ちになりましたね。
とにかくモー・ズーイーさんの演技が素晴らしかったのだなぁと。本当にこの人の半生を見せられているのではないかと錯覚する程の熱演でした。
最後にヨウユーが作った歌がまた泣かせるんですよ…柄にもなく「ああ、どうか皆幸せになって欲しい!」と叫び出したくなるような、そんな切ないお話でした。