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山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

飯じゃあ!

2025年03月19日 | 日記

 先日の日記で、久しぶりにものを食べるということができたことについて書いた。

 あれから数日。

 入院食も少しずつ変わってきた。

 前回、少し紹介したのがゼリーの食事。そして、その食べづらさについても触れた。

 ゼリーなんて、固くもなく、噛む必要もない。小さな子供でも簡単に食べられる食材なはずなのに、なぜまともに飲み込むことができないのか自分なりに考えながら食べ続けていると、大切なことに気付いた。

 それは、『食べる』という活動には、『呼吸』が必要だということ。

 普通に考えると、食べるのは食材で、呼吸するのは空気。それぞれ、別の目的で行われる活動だ。

 しかも、誤って食材を気管に吸い込んでしまったら大変なことになる。

 しかし、今回、食道と気道とを切り離してみると、食べる活動にも呼吸の力が大いに役立っていることに気が付いた。

 簡単に言えば、口に含んだ食べ物を食道に運ぶ手伝いを、人間は、無意識のうちに吸気を使って行っているということ。

 食べ物が気管に入らなければいいわけだから、そこまでを吸引力で運んだら気道を閉じてしまえばいい。

 こんなこと、いちいち考えながらやっているわけない。

 だけど、それを生まれた時から続けてきたから、ものを食べたり飲み込んだりする活動が簡単に出来ていたのだ。

 さて、現在のマタギは、気道が閉ざされてしまった状態。

 この状態で、どうすれば、この苦境を打破できるのか。

 数日間、色々試していくうちに、いくつかコツがあることが分かってきた。

 おかげで、当初は、1食食べるのに1時間もかかっていた食事が早く食べられるようになり、量的にもしっかり食べられるようになってきたのだ(詳細省略)。

 そうなってくると、調理部門の方々も食事の質を変え始めるんですね。

       最初期の食事

 ご飯もおかずも、ポタージュまでゼリーです。

       翌朝のご飯

 なんと、みそ汁までゼリー!

 これが食べられるようになると、1ランクグレードアップしました。

       おかずがゼリーじゃなくなった

 ピュレという名称がついていました。

 トマトピュレなんかと同じ意味だと思います。

 これが、ゼリーと違って素材の美味しさを舌で楽しめて嬉しいんです。

 ちなみに、写真のピュレは、手前が『肉じゃが』で奥が『赤魚の味噌味』だそうです。

 姿は全く分かりませんけど、味がちゃんとしているから嬉しい(病院食だから薄味だけど)。

 そして、次の段階、

       本日は、ご飯が変わりました

 分かる?

       お粥です

 柔らかいけど、確かにご飯粒です。

 嬉しいねえ!

 本当に久しぶりですよ。

 確かに、液体よりもゼリーよりも喉に引っかかる心配はありそうです。

 でも、もう大丈夫。

 何日もかけて呼吸を使わずに喉に送り込む食べ方を覚えたもんね。

       完食です

 ああ~、美味しかった。

 小さい変化だけれど、大きな喜び。

 これを積み重ねながら日常に近付いていくんだね。

 ご馳走様でした!

 春は、もうすぐそこまで来てるかな?


焦らずに

2025年03月17日 | 日記

 気が付いたら3月も半ばに達している。

 例年だと、自然界から寄せられる情報に一喜一憂しながら着々と海山に出掛ける準備をしている時期だ。

 マタギの身体の中の体内時計も、間違いなく春モードのスイッチが入っており、入院生活からのリハビリを心がけつつ、それを海山遊びにどうつながるかを考えている。

 先日来、点滴から解放されたおかげで歩き始めた病院周辺。

       意外ときれいです

 結構整備された公園になっています。

       交通の心配をせずに歩ける遊歩道

 よく見ると、

       春を待ちわびているのは、君たちもかい?

 春の気配を感じながら、体力回復のために身体を動かす。

 なかなか心地よい散歩道で気に入ってしまった。

 ただ、本日は、

       雨降り

       公園には誰もいない

 こういう日には、

       なぜか救急車のサイレンが大きく聞こえる

 こんな時に無理するもんじゃないよ。

 そういわれているような気がする。

 散歩の距離が稼げないので、代わりにスクワットとかストレッチみたいな運動をやってお茶を濁すことにした。

 やってみるもんだ。

 身体が重いじゃないの。

 こりゃあ、かなり体力も落ちてますね。

 そのことが分かったから収穫。

 ここで焦っても仕方がない。

 心に留めていれば、必ず体力は回復する。

 こんな日には、屋内でちびちびとできることをやって過ごしましょう。

 いずれにしても、退院はもう少し先の話になるはずだから、焦らず慌てず。

 先ずは、今の自分をきちんととらえることからかな。

 そこから少しずつでも前を向いて暮らしていきましょう。

 雨降りに水を差されたけど、ちょっと冷静になれた日でした。


地に足つけよう

2025年03月15日 | 日記

 「今、すごく順調に回復していることは確か。でも、無理は禁物よ。仮に退院したとしても、身体は、今までのマタギさんと同じじゃないからね。」

 ベテランの看護師さんが言う。

「マタギさんって、山菜料理大好きみたいじゃない。でも、今年は、あまりお勧めできない。だって、山菜って、アクと繊維質が強烈でしょう。退院できたとしても、食材には、かなり気を遣う必要があるから。」

 なるほど。

 確かに、今の状況が、赤ちゃんの離乳食みたいなものだとすると、来月から、渋い大人の山菜料理ってわけにはいかないかもしれないなあ。

「体力だって落ちているんじゃない?ここで、山に入って無理をしたら動けなくなるかもよ。」

 う~む。

 やっぱり、冷静に現実を見たらそうなるか。

 ブロ友さん達にも、似たような声掛けをしてくださる方がいたよなあ。

 現在のマタギのリハビリは、半固体を上手に飲み込む訓練。

 それから、運動療法士さんの指導のもと、自転車のペダル漕ぎとストレッチみたいなことをやっている。

 この状態から、突然山や川を渡り歩くってのはやっぱり無謀かなあ。

 でも、待てよ。

 今回の離乳食への移行で、点滴が外れたじゃん。

 だったら、外に出られるんじゃないかい?

 はい、決まり!

 時間を見つけて外を歩きましょう。

 体力の回復とともに、春の空気に包まれて、心と身体を癒そうじゃありませんか。

 決めたからには、即行動。検査や問診の合間の時間を見つけて外に出てみることにした。

 半月ぶりにスニーカーを履いてみると、なんだかフワフワして心もとない。

 それでも、久しぶりに浴びる日差しと春風は、とても心地よい。

 フラフラと病院周りを歩き回ってみると、

       まだ駐車場の隅には雪が残っているけど

       冬を越した花に

       春を待ちわびていた花が

 咲き始めていました。

 庭木の雪囲いはまだ外れていないんだけど、

       高木の蕾もまだ固いんだけど

 これは、間違いなく変わっていきますね。

 マタギのフワフワした足どりがしっかりしてくるのと、あたりに春の歌が響き渡るのと、どっちが先かな?

 望んでいる通りに山遊びや山菜料理を楽しむことはできないかもしれない。

 でも、それはそれ。

 季節と自分との、変化を味わう時間をもう少し楽しんでいきたいと思います。

 これなら、人にも自分にも無理がかからないもんね。


食事のリハビリ?

2025年03月13日 | 日記

 手術から約2週間が過ぎた。

 今回は食道と気管の大きな手術だったので、とにかく、命をつなぐことが最優先。

 息ができること。栄養が補給できること。

 それさえできるなら、なりふり構わないという感じだった。

 おかげ様で、声が出ないことは勿論だけど、飲食は一切なし。

 腸からと喉からの栄養補給ルートを確保し、そこからひたすら栄養を補給し続けてきた。

 しかし、ここまできて、

「どうも炎症は起きていないようだし、移植縫合部分に異常も見られないから、透視検査してみますね。」

という話。

 透視検査というのは、実際にものを飲み込んでもらい、それが途中でもれ出したりせずにきちんと胃腸まで届くかどうかを像映剤で確かめるものらしい。

 で、レントゲン室に入って変な味のする薬を飲み込まされた。

しばらくすると、

「大丈夫ですね。順調に来ているようです!」

お医者さん、とても嬉しそう。

 こちらも笑顔で答える。

 「じゃあ、今夜から液体で、明日からはゼリーを使って食事のリハビリを始めていきましょうか。」

 ええ? 食事にリハビリなんているの?? こんな当たり前のことに、と思った。

 まあ、何はともあれ、食事ができるというのは、超嬉しい改善だ。

 言いつけに従って、そのリハビリとやらをやってみましょう。

 ここまで、まともに書いてこなかったけれど、今回(2回目)の入院では、手術後、一切の飲食が禁止されてきた。

 ちょっと想像していただければ分かると思うのだが、これって、かなり厳しい仕打ちなんです。

 24時間、一切飲み食いすることなくひたすら時を過ごす日々の何と空しいことか。

 そこから解放されるんだったら、どんな言いつけにでも従います!

 そういう心境にさせられます。

 そうして、その日の夜、出されたのが、

       大嫌いな液体栄養ドリンク

 でも構いませんよ。

 いままで封印してきた『飲む』という人間の根源的な生命活動ができるんですから。

 そうして一口、口に含む。

 !!!

 あああ、何という快感! なんという美味しさ! 

 飲むって、こんなに素晴らしいことなんでしたっけか。

 今まで、超不味いと思い込んでいた経口補水液が、魔法の薬のように口からのどを潤していくのが分かる。

 喜んで二口め。

 ちょっと力を入れて飲み込んだら、違和感とともに、液体が鼻から噴き出してきた。

 なんじゃこれは!!

 なんで素直に胃に送られないの?

 慎重に3口目。

 なんとなく、胃に向かうルートと鼻に向かうルートがあることは感じられるが、その先がよく分からない。

 間違いないのは、何も考えずにグビッと飲むと、鼻からドバっと出てくること。

 こりゃあ、一筋縄ではいきませんがな。

 結局、かなりの量を鼻から噴き出しつつ、久しぶりに『飲む』快感に浸ることができた。

 そうして翌朝。

 個体を出すというから、何が出てくるのかと思っていたら、

       小さなゼリーが1パック

 たったこれだけなんだけど、液体よりも更に飲み込むのが厄介

 なるほど、これは確かに『食事のリハビリ』だ。

 これまで当たり前だったことのはずなのに、2週間休んだだけで、こんなに退行してしまうんだ。

 でも、これは乗り越えるしかないよね。

 早く乗り越えて、『食べる楽しみ』を取り戻さなければと心に誓うマタギなのでした。

       窓の外におらほの山(月山)

 この山が見えるようになったということは、冬型が緩んだということ。

 ああ、もう一つの春が待ち遠しいマタギです。


人はそれを未熟者と呼ぶ

2025年03月11日 | 日記

 「お任せします。よろしくお願いします。」

お医者様の入院計画書に署名したのはマタギ本人である。

 今回のような病気の治療や回復のためには、自分勝手な思い込みや生兵法は禁物。

 先生の出してくれる処方に身を任せて過ごすべきなのだ。

       関係ないけどドクターヘリ

 ところが、時が進むにつれてじっとしていられなくなってくるんですね。

 手術が終わって、日数を経るにしたがって、自分の体調が変わってきたことに気付くと、うずうずし始めるんですね。

 「あらあ、手術の痕も綺麗になってきましたね。」

とか、

「なんだか、すごく順調に回復しているみたいですよ。」

なんて言われる。 

 自分自身にも、なんとなくそういう実感がある。

 そうなると、じゃあ、次は何をすればいいんだろうと、勝手に思考が働き始めてしまうのだ。

 ところが、先生はそんなに慌てない。

 だったら次は、という一手を語ってくれないのだ。

「マタギさんの経過は良好ですね。私も、マタギさんに関しては全く心配していませんので。」

ここまでは語ってくれる。

       毎日1回ぐらいは飛び立っていきます

 つまり、「マタギさんは心配だったと思うけど、もう心配いらないからね。」というメッセージに留まっているのだ。

 こっちとしては、せっかく傷口が塞がったんだから、次はもう一歩踏み出して食事とか運動とかの計画が変わってくるはずだよな、みたいなことを考え始めている。

 でも、先生の方は、患者の変化に気付いても軽々には動いてくれません。

 治療なんて、生き物、良い日もあれば悪い日だってあるだろうし、目先のことに目を奪われていたら、誰が舵を取るんだというところだろう。

 ついでに言うと、マタギの経過を見てくれる先生方も嬉しそうなんですよ。

 でも、迂闊に口を滑らせたりしない。

 そりゃあ、そうだよね。只今治療の真っ最中。ここで方針や計画を転換させて、あとで落胆させてしまったら、お互いの信頼関係に大きなひびが入ってしまうってもんだ。

       結構スマートで格好いいです

 こっちとしても、頭では分かっているつもり。

 でもねえ、これだけ拘束の多い生活を送っている中で、自分の身体に明るい兆しが見えたら、心が浮き立ってきてしまいます。

 ・・・それでも、

 粛々と

 任せたからには、信じ切る。

 それが大人の対応ってものよのう。

 でも、なんだか言い出しそう。

 「それなら、次は?」

       みんながんばっているんだよなあ

 未熟者よ  慌てずに。  落ち着いて、落ち着いて