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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

惨めに負けても、奇異な幸福感!(明るい感情を大切に 6/9)

2011-12-17 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

 昨日は、風邪を治そうと一日寝ていたが、時折好きな本を読んだりした。その中で新平家物語(吉川栄治歴史時代文庫53 講談社 )の7巻を読んでいたが、ちょうど頼朝の旗揚げの場面であった。

 以仁王の令を受けて、頼朝は北条氏とともに旗揚げし、最初に平家側の大庭景親等と石橋山で戦う。佐奈田与一の奮闘などがあったが、源氏はあっさり惨敗する。このときの頼朝の描写が生き甲斐の心理学で考えると実に的を得ている。その部分を引用してみよう。

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「こういう目に遭ったのも、よいことだったと、後にはいえるかもしれぬ。落命してしまえば、おしまいだが、一命をとりとめた。みろ、わしはまだ生きている

一面、ふしぎな心理も、頼朝の五体を、熱くしていた。

歓喜に似ている、奇異な幸福感といったようなものだ。ひとり慰められてくる。

敗軍、破滅。当然あらゆるものは失った。けれどなお、この生命、三十四歳の若い五体。まだそれがあると気づいたとき、惨たる不運のすべてが、ほのぼのとした、よろこびに変わっていたのだ。妙なといえば妙な心理にちがいない。けれど、頼朝の現在には、たしかに、そんな歓喜もあった。

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 船出をしたのは良いが、あっさり完敗する。しかし、そのあと(まだ読んでいないが)奮闘して鎌倉幕府を興すわけであるが、その完敗の意味は何だったのだろうか?なぜ、完敗を生き抜くことができたか。この問いに吉川栄治は歓喜に似ている、奇異な幸福感と答えている。実に的を得ているように思う。

 生き甲斐の心理学では、理想と現実のギャップから這い上がるときに大切なことは、感謝や満足の領域を大切にすること(この場合は、惨敗でさまざまなものを失ったが、五体は無事。それに歓喜するところ)を言っている。生きていることが歓喜!そこから這い上がる。

 因みに、現代日本の基礎を作った古代日本も、百済支援で船団を作り、斉明天皇をはじめ、後の天智天皇、天武天皇、持統天皇…等で新羅・唐と戦う。そして、あっさり白村港の戦いで惨敗する。これも頼朝に似ている。明治維新の時も、同じようなパターンが見え隠れする。

 明るい感情を大切に 6/9

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