人間の感情の本質は不安感といわれる。昨日一日の感情の動きを考えても、風邪をひいての体調への不安、ものを無くしたりでの不安、時間に遅れるのではという不安、・・・結構不安が支配しているなと思う。
ただ、一日のうちにも、温かい日差しの中でコーヒーを飲んだり、クリスマスのプレゼントを買ったり、今まで気になっていた人に会えたり・・・ちょっとした平安感が支配する至福の時間もある。
若いある時期は仕事とか勉強とか、そういう目標のために、ちょっとした幸福感などは、息抜きとして手段化され矮小化されていたなあと、ちょっと残念に思いだすことがある。目標はいつも自分の先にあり、当然ながら平安感は、健康のためや目的達成の手段のようで、その深い意味など考えることもない。
しかし、世の中の人をいろいろ観察したり、理論的にも生き甲斐の心理学を勉強したりすると、平安感という一見頼りない一時的な感情も、深遠な世界があることに気づく。目標に向かって戦略的・戦術的に活動することも当然大事だが、平安感の湧きおこる今ここを大切にすることも大いに意義深い。
月蝕を観たり、美しい三輪山登山をしたり、お寺や神社で、ご朱印帳を見事に書いて頂いたり、そんな時の平安感は得難い。人生の中の得難い瞬間ではないか。
ただ、平安感とか明るい感情を、一貫して得ていくためには、技術が必要だ。自分とは何か・・・アイデンティティの統合への道を歩んでいること。必要に応じ、こころの鎧兜を脱いでリラックスできること(防衛機制のコントロール)。そして、日々刻々と変わる状況に対応する健全な判断が必要なのだろう。
でも、まず大切なのは、湧きおこる明るい感情をのんびり味わうことではないだろうか。
明るい感情を大切に 1/9