緑の街の水先案内人

都城市で緑の街の水先案内人として移る日々を写真と日記で綴ります。

重要文化財指定・旧吉松家住宅

2008年10月18日 17時53分15秒 | 文化
10月18日(土)

今朝の地方紙をめくっていましたら三面に串間市西方「旧吉松家住宅」が国の文化審議会により十七日に重要文化財に指定された事が報じられています。十三日に渋谷区にあります重要文化財「旧朝倉家住宅」を娘と孫と妻とで見学したばかりでしたので何故かしら親近感をおぼえます。この記事で「国の登録有形文化財」と「重要文化財」の違いが良くわかりました。重要文化財に指定された旧吉松家住宅を後世にしっかりと残したいものです。今後とも木造建築物だけに万全の注意が必要になります。


重要文化財に指定された旧吉松家住宅(串間市西方・撮影:2007.5.16)

双方の建物は宮崎県と東京都と離れていても大正八年に建築された木造建築で当時の和風様式を伝えています。旧朝倉家住宅は戦後永年政府関係施設として用いられて来ただけありまして屋敷全体補修維持がしっかりしていると見ました。どちらにも板戸絵があり、建築主が材木店勤務歴や山林経営など木材との関わりもあり政治家として活躍した経歴は似通っています。「旧吉松家住宅」は昭和六〇年まで子孫が居住していた事など、また、旧朝倉家住宅も近年まで農林水産省や経済企画庁渋谷会議所など政府関係施設として使用されております。


玄関の西面板戸絵


玄関の正面板戸絵


玄関の東側板戸絵

木像建築物は無人化しますと痛みが早く来るようで、旧吉松家住宅を見学した折りにまだ補修が不十分と気になりましたが、様々なイベント会場として使用されておるとお聞きして少し安心しました。重要文化財に指定されましたのきっかけに保守点検をすべきかと思います。外野席のから一言です。また、一つは大正時代の建築物が国の重要文化財になるご時世ですから、「大正も遠くなりにけり」の感がします。それだけに九〇年前を振り返る事を求められているのでしょう。


床の間

旧吉松家住宅には当時の貴重な建築材料ガラス板が取り入れられております。建築後に追加工事された面もあるでしょう。それでも気づきますことは両住宅には灯り取りに障子をふんだんに使っています。当時、壁面の灯り取りは障子しかありませんから当たり前と言えばそれまでですが、繊細な細工が届き形や場所に工夫されています。


床の間を北面から南面を見る

大正時代の和風建築様式、贅を尽くした家屋を日向と東京とに見学して思いますことは、建築様式から来る影響、居住者もしくは訪問者に与えるやすらぎ、どこか共通性があるのではないかと思います。あの障子を通して届く明かりに大正人を見る思いがします。建築物の中から人々が現れいずるです。畳と障子と襖と板天井の空間に生活していた人々、重要文化財指定とは振り返ってほしい


復元された台所

あえて申しますと、串間市も中心街ですら過疎に悩み空家が目立ちます。旧吉松家住宅は中心街の中にあり、昼間ですら人通りが絶える時間が多いくらいです。県内の中小都市はその点では五〇歩百歩の感があります。重要文化財に指定されたとは言え活気が復活するわけでもありませんが、これで串間市名所が増えた事だけは間違いありません。都井岬へと中心街は素通りしていました。街にある建物一つ一つを大切にして行く、それも辛抱を求められますが地味で大きな成果が得られる方法です。重要文化財指定の意義は大きいと感じます。


右手は母屋の東面、左手は土蔵

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
島津邸 資料館 (渡り鳥)
2008-10-23 12:40:19
 低脳や やがておかしき 島津邸 
 
島津邸の裏側に、ぜひ御撮影においで下さい。市街地の数少ない野鳥の眠る森と池が、そのまま残るか心配しています。動植物を愛しない人には、所詮文化財の保護は無理かと・・・・

 もっとあのパラダイス的池周辺調査を明らかにし、資料館(必要なし)作成廃止、小鳥の集まる自然と調和した優しさを残していただきたい。
 御貴殿のの温かみのある写真を期待します。

 飫肥はことさらと良かったったですが、お孫さんがいいですネエ。お孫さんのためにも良い地球環境を残しましよう。

                  取り急ぎ
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鴨のねぐら (家主)
2008-10-23 15:45:50
工事期間、島津邸池の鴨は市内を回遊しています
昼間、鴨は池には近づきません夜はねぐらになりますかな
あれだけ木を切ったら池は鴨のねぐらには無理かも
うっそうとした風情は素人には理解出来ません

近所ですので伐採風景ほぼ毎日見ています
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何と素晴らしい日本文化 (よくれぼ鴉)
2008-10-25 11:50:08
 行くとなったらさっと行動に移すのが私の欠点であり長所。自分の目で確かめないと気が治まらないのです。
見事な竹林の絵、その中でもみずみずしい筍。
すくっと大地を割り、主張する筍に命の息吹を感じました。写真は何よりも訴える!
この日本が今失おうとしている日本古来の建築様式、食文化、生活環境・・・御貴殿の写真は、時にしばしばふさぎこみ、お先真っ暗となげく私に、いくばくかの安堵感を与えるものです。

 世の中に使命感などない。感情の赴くまま、私はペンを取る。御貴殿の写真が、今の私の支えです。名前を述べなくてすみません。いつの日か紅梅園の下で梅酒を酌み交わしたいものです。

          幸を祈る
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