jurgen's Heurige Blog (ゆるげんのブログ)

I will, I will いっぱい足りないの切なくて
I feel, I feel いっぱい会いたいのボクだって

さらば国分寺書店のオババ/椎名誠 角川書店

2006年11月05日 | 読書
自分にとって初めて読んだ椎名作品はこれ。
ただしあのときは情報センター出版局の単行本。
当時「がんばれ!! タブチくん!!』で一世風靡していたいしいひさいち氏の挿絵が収録されていたが、今回の文庫版には沢野ひとしのものに替わっていた。
「本の雑誌血風録」にこの本が出来上がっていく過程が載っていたので、
また読みたくなってしまった。
駅員の清算金疑惑、電車のバカデカアナウンス、ドン冷えビールのエピソードは覚えていたが、その他のエピソードはすっかり忘れていた。

まだサラリーマンだった椎名の才能をいち早く発見し、
本作品を編集した情報センター出版局の星山編集長がいなかったら、
作家椎名誠はこの世に存在しなかったかもしれない。
当時ヘッドハンティングがあった出版社への転職にとどまっていたかもしれない。
星山さんに義理を通すため、本書の文庫化に長年首を縦に振らなかったそうだ。
この作品が爆発に売れるとあちこちからいろんな仕事が舞い込んでくるようになる。
椎名誠にとって人生のターニングポイントとなった作品といっていいだろう。
嵐山光三郎による巻末の解説も秀逸。