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地方自治の危機(13)… 【実例4】「業者決定根拠を情報公開できない」とは? 

2015-04-20 14:17:24 | 地方自治
【実例4】プロポーザル方式の随意契約
<疑問点>諏訪湖周2市1町が合同でごみ焼却設備を新規に作るために組織された湖周行政事務組合は、「環境影響評価準備書」の業務委託の発注を、「幅広い知識および高度な専門能力が必要、云々」を理由としてプロポーザル方式の随意契約とした。しかし事後完成した、生データを並べた部分の多い分厚な「準備書」を見ても、一般的な専門知識があれば作成することが出来、総合評価方式の競争入札も十分可能であったと考えられる。
  また、ごみ焼却場は方々で建設されているので、「環境影響評価準備書」も特殊なものでなく、先人(他市町村)の指導を仰ぐ努力をすべきであり、一から慣れないプロポーザル方式にする必要性は低かったのではないかと推察される。
  この方式を認めるとして、どのように高度な専門的能力を有する委託業者を選んだのか、選定根拠が分かる書類(決定価格7,800万円)を見せて頂くべく、担当部門にお願いしたが、見せていただけなかった。それでは監査委員あるいは裁判所へ異議申し立てしてもよいか尋ねたところ、担当部長さんには「どうぞ」と言われた。
 このプロポーザル方式の透明性確保について、例えば大阪府は「公募型プロポーザル方式実施基準」にて、選定の手続きや選定の過程等の透明性を高めるため、契約交渉相手と評価点、選定理由などを相手方が決定した後、速やかに公表することを定めている。湖周行政事務組合には、そもそもプロポーザル方式の実施基準が無い。
 公金を使う仕事なので、企業の極秘情報は伏せるにしても、本工事の請負者選定の根拠は、組合員が納得できるように公開する義務があると考える。全く非開示では、いったい何があったのか余計に知りたくなる。
 仕方が無いので、湖周行政事務組合の監査委員に監査を請求したが、「請求は地方自治法242条1項の要件を具備しない不適法なもの」として却下された。自治体の「まずはお断り」の慣例を知らなければ、お願い側は、かなり傷つくことになる。
 裁判所なら、ある程度の情報公開を命ずるだろうとは思ったが、非開示の取り消し訴訟まではしなかった。しかし今になれば、本稿で既述の他テーマについての裁判経緯や、参照した文献などから、裁判では何を言っても自治体が勝つようにできているということが分かったので、苦労してまで正義ぶった旗を振らなくてよかったと嫌に納得した。そして、湖周行政事務組合の部長さんの言われたことばの意味が改めて了解できた。
 なお、予定価格に当たる本事業の予算が、組合の予算書によって予め公開されているが、業者と価格交渉するのに、発注側の懐具合を予め公開するものだろうか。

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