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地方自治の危機(追記18)… 弁護士とは(その5)

2016-11-04 19:19:56 | 地方自治
 先日、たまたま「ラジオ電話相談」という番組を聴いた。「長男の母親が要介護4のレベルで認知症も少し出て、家で看るには限界となり老人施設に預けた。しかし外にいる、長男の妹二人が、施設に預けることを承知しない」と、長男のお嫁さんからの相談である。しかも「在宅で看るべき」と主張する妹たちの家へ、母親は行きたがらないと言う。
 回答者は弁護士さんで、「妹さんも交えた話し合いのとき、外に出た娘の世話になることに遠慮する姑がかわいそうだとか、施設に入れるのは世間体が悪いとかを斟酌しないで、今まで自宅で介護してそれが不可能になったことのみ主張するべき」という趣旨のことをアドバイスしていた。そうすればこの問題は、「母親と娘の問題になる」と。
 わたしは、かつて母親を介護してめぐり合ったことがらや、その後介護施設での「傾聴」ボランティアなど、高齢者福祉の世界を思いがけず勉強してきた。電話相談のようなケースはよく聞いた。大抵は、施設に入れない方が良いと主張する人(多くは外野にいる)に、「それではあなたが面倒を看てください」といえばそれ以上は何も言わなくなる、という結論だった。電話相談の場合は、被介護者である母親が外の娘の所に行くのを拒むというので、思わずわたしは、何と回答されるか注目したのであった。
 母親が通常の健常者であったら、回答者の弁護士らしい意見は尤もであるとも考えられるが、認知能力が落ちた高齢者である姑をいままで介護してきた相談者(嫁)には、納得しかねる回答ではないかと思う。見当識を混乱させるので、認知障害のある高齢者の居場所はできるだけ変えないことが原則である。そして親の面倒見は、子ども全員に義務があるのだから、妥当な回答としては、「妹達に交代で実家に来てもらい、母親の介護をしてもらったらどうか」となるのではないか。ただ妹達がどこに住んでいるかも問題ではあるが。
 長々書いたが、わたしの言いたいのは、「弁護士は、様々な状況にいる人間のことを考えるのだから、現場の経験が薄い分野に法律論・原則論を振り回すのは如何なものか」ということである。
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