気になること

視点を変えて、近頃気になること

地方自治の危機(2)… 【実例1】住民監査請求の門前払い

2015-04-21 14:53:27 | 地方自治
  【実例1】随意契約の必要条件と説明資料の欠如
  <論点> 自治体が種々業務を外部に発注するとき、「一般競争入札」によらなければならないことを地方自治法は定めている。担当部門が施行業者を任意に決める「随意契約」による場合、税金が公明正大な手続きで使われたことを納税者に説明することは容易でないためである。尤も「一般競争入札」では、価格以外の希望条件を選びにくいので、法律は例外を認めている。その際、当然にきちんとした説明文書が必要であるが、その意味を理解せず、あいまいな処理が繰り返されてきたようであり、以下に憂えるべき実例を挙げる。
  「一般競争入札」の原則を変えて「随意契約」にできるのは、地方自治法施行令第167条の2 第1項1号~9号に当てはまる事業の場合である。 諏訪市の「平成24年度 資源物(資源ごみ)の中間処理(注3参照)業務委託契約」の発注起案書には、その条件のうち「『7号』(時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき)を適用して随意契約にする」と書いてあるが、その具体的理由が書いてないので随意契約に出来なかったはずであり、競争入札にしなかった分、市に損害を与えた可能性がある、と市に監査を請求した。
 (注3)「資源物の中間処理」とは、家庭ごみのうち、紙類・プラスチック・缶・金属などリサイクルできる資源ごみを各地区のごみ出しステーションから収集して、製紙会社や製鉄所など最終再生業者に引き渡せるごみの品質になるように選別・保管する処理である。

 行政からも議会からも独立した組織として「諏訪市監査委員会」がある。上記疑問を、地方自治法242条に基づき住民監査請求したが、諏訪市監査委員は「請求は242条1項の要件を具備しない不適法なもの」として却下(門前払い)した。しかし次項のように、監査請求を前提とする住民訴訟を裁判所が取り上げたのであるから、門前払いはありえないものであった。取り上げて検討すれば、地方自治法により請求住民に意見陳述の機会を与え、結果を公表する必要が生じるので、これを避けるために却下したと考えられる。すなわち、考えることを避けた。
  住民監査請求は「違法」なことが疑われる場合ばかりでなく、「不当(実質的に妥当性を欠いていること)」な行為も対象になるのだから、監査委員は、多少「242条1項の要件に合わない」と考えても広く俎上に上げ、難しい内容なら市の顧問弁護士にも最初から相談して監査すべきである。何故なら、これが住民訴訟になると顧問弁護士は、市のお金を使って一途に行政の弁護をせざるをえないので、何が「正」かという弁護士本来のあるべき姿としての判断ができない。住民訴訟に任せても市民が負けるケースが多いとのことなので、今まで通りでは、市民が監査請求と住民訴訟などに骨を折っても、何の結果も残せない「くたびれもうけ」のみとなってしまう。市の監査委員が考え方を変えることをお願いしたい。。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地方自治の危機(3)…【実例... | トップ | 地方自治の危機(1)…(諏訪... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

地方自治」カテゴリの最新記事