難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

要約筆記事業の位置づけ 奉仕員か要約筆記者か

2007年12月21日 20時50分26秒 | 生活
地方自治体で、要約筆記者養成事業で通訳課程のカリキュラムで養成することに躊躇しているところが多い。理由は、国の要約筆記者養成のカリキュラムの通知がまだだからという理由だ。
しかし、国の方は地方分権だから、技術的助言しか出来ない、決定するのは地方自治体だと繰り返し言っている。
通知が出ていない以上、各都道府県は要約筆記がどういうものか、要約筆記事業の法的位置づけなどを自ら積極的に理解して、要約筆記奉仕員を要約筆記者に転換し、要約筆記者養成事業を始める責任を有している。

医療福祉機構の助成事業で、全難聴が全要研などの協力も得て策定された通訳課程のカリキュラム案も公表している。テキストも前期が発行され、今年度は後期も発行される。
実施するためのカリキュラムもテキストもある。それをどう使って指導するかも、指導者養成事業が福祉医療機構の助成事業と全難聴の自主事業で実施されている。
この養成された指導者が奉仕員カリキュラムの内容を指導することは出来ない。奉仕員カリキュラムの内容と通訳課程のカリキュラムでは要約筆記のとらえ方が全く異なるからだ。

要約筆記者派遣事業をあれこれの理由をつけて実施していない市町村は聴覚に障害を持ったものがコミュニケーションの保障を受ける権利を奪われた状態に放置していることになる。
いついかなる時でも要約筆記者が派遣できるように十分なレベルの多くの要約筆記者を養成する責任が都道府県にある。

要約筆記事業が社会福祉法第二種事業に指定されていること、身体障害者福祉法の「意思疎通」を図る事業であること、直接的に聴覚障害を持つものに接して支援する事業であること、その場のコミュニケーションの成立が社会参加と自立の基礎であることなどを理解すれば、どうして「奉仕員」に任せることが出来ようか。放置できないではないか。

要約筆記奉仕員を要約筆記者として派遣する責任は市町村にある。
また、市町村の必須事業であり、実施内容についても責任を有する。市町村がもっと具体的に言えば首長が責任を問われることのないレベルの要約筆記者を派遣する必要がある。自治体サービスの利用によって生じた問題は、首長が問われるのだ。


このことは、これまで要約筆記奉仕員が担ってきたことを否定するのでもなく、むしろ要約筆記奉仕員に担わされていた責任を自治体が持つことが障害者自立支援法で明確になったということを理解すべきだ。これまでの事業を担っていたことと今法律で規定されていることは別の問題だ。
要約筆記奉仕員は、直接的なコミュニケーション支援と難聴者等の社会参加促進のための社会啓発や心理的サポートをしてきたことを総括して、自治体の担うべきサービスとボランティアの担える活動とを分けて行なうべきではないか。

ラビット 記


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