Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その108

2009年03月30日 | 制作裏話
制作裏話「キングギドラ スタンダードカラー」編 Part.7

■ゴジラの敵怪獣を作るという事

 この「スタンダードカラー」は、いろいろと造型部分や色等にこだわりや裏話があって、ここでもたくさん書いてきたのですが、正直に言うと本当は不安だらけでした。
 ゴジラ以外を作るのは初めてで、ちゃんと形になるか原型の段階から商品完成まで不安な気持ちが強くありました。ワックス原型、金型、成型…。サンプルが上がった時は心の底からほっとしたぐらいです。
 しかし形になることへの安心ができてもまだ不安は消えません。その後は売れるのか…という不安です。

 私はゴジラファンですから、ある程度は「どのゴジラが人気があるのか」というのは、何となくではありますが私なりに感じてはいるつもりです。しかし、敵怪獣となると全くと言って良いほど予想がつきません。キングギドラは東宝怪獣の中でも人気の高い怪獣ですし、知名度もあります。しかし人気や知名度がそのまま商品の売り上げに比例するかと言えばそうではないらしいんです。

 以前弊社商品をお求めのお客様を聞いたり(どんな東宝怪獣を集めているか等)、東宝怪獣を販売された事のあるメーカーさんの商品のカラバリの種類数を大まかに数えて、私なりに推測してみると、どうやら怪獣によってそれらの傾向も微妙に違うようです。
 例えば今ではこれでもかといろんなメーカーさんが作られているヘドラ。最近ではヘドラばかりを集めている方も多いと聞きますし、弊社への他怪獣のリクエストも「ヘドラを」と言う方はかなり多いのですが、「ヘドラフィギュアファン」は多いものの、「劇中のヘドラファン」と同じかと言うと必ずしもイコールではないようです。
 知名度ではゴジラに次ぐと思われる「モスラ」も、これまで多くのメーカーさんが作ってこられましたが、一部を除けば大きな売り上げにはつながらないらしいんです。
 ガイガンやキングギドラ、メカゴジラ等はこれもまた傾向が違うようで、いずれも人気はあるのですが、これらはどうやらメーカーさんによって完全に売れるものと売れない物の差が出るようです。
 やはりカッコ良いもの、クオリティの高い物、レトロ具合が良い感じのもの等を発売されていた所は、そのソフビにも人気が出てたくさんのカラバリが発売されました。それだけ売り上げがあったと言う事なのでしょう。逆にカラバリが少なかった所は、造形的もしくは色的にお客さんの支持が得られなかったのではないかと推測しています。
 だからメーカーさんによって「ギドラ(もしくはガイガンやメカゴジラ)は作れば売れる怪獣」と思っている所もあれば、「作っても売れない怪獣」と思っている所もあるんじゃないかと思います。
 結論から言うと「良い物を作らなきゃ(作れなきゃ)ダメ」と言う事なのでしょう。

 そんな事を思っていたので、キングギドラの発売前は「羽沢組はゴジラ以外ダメじゃん、ヘタクソ!」と言われたらどうしようとビビっていたのは事実です。価格もいつものゴジラより高いし、売れ残ったら…と考えると胃が痛くなるので考えないようにしていました。こんな感覚は初めてのソフビの「キンゴジ(2種)」の時以来でした。
 それでもお陰さまで「スタンダードカラー」はすぐに完売し、追加販売できたぐらいです。たくさんのお誉めもいただき、安心と共にたくさんの感謝でいっぱいです。
 不安が大きかった時ほど安心感を得られると嬉しさも倍増です。
 ゴジラに比べて、作業もコストの面でも生産は大変な怪獣ではありますが、後に複数のカラバリも発売する事ができました。
 慢心する事なくこれからも喜んでいただけるゴジラや怪獣達を作っていきたいと思います。
 たくさんは無理かもしれませんが、いつかまた敵怪獣も作ってみたいと思います…………………たぶん(笑)。

▲元々弊社のゴジラと並べたいがために企画した「キングギドラ」。
後に共演ゴジラでもある「大戦争ゴジラ(「スタンダードカラー」は完売)」を
作る事ができたので、並べられる楽しみも生まれました。