Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その104

2009年03月25日 | 制作裏話
制作裏話「キングギドラ スタンダードカラー」編 Part.3

■シャレにならないギドラの原型

 劇中で見られた「初代キングギドラ」を目指すべく、原型を作り始めた時、最大のネックは全身のバランスでした。
 たくさんある造形的なこだわりやそれについての詳細は、以前にここで書いた「こだわり」をご覧いただきたいのですが、その中でも一番こだわった「姿勢」は作る上での大変さでもやはり一番でした。

 劇中のような「前傾姿勢」に見えるように首の長さや角度の調節、斜めからもしっかり形が見える翼の形状。これらでちゃんとフィギュアとして立つ事がまず大前提です。
 頭をちゃんと3つ付けた状態での首、2つの翼、尻尾、これらでちゃんと重心を取らなければなりません。ゴジラのように下半身がどっしり安定しているわけではないので、油断すると前のめりに倒れてしまうのです。そんな初歩的なミスはもちろんできません。
 そして当然ですが、成型状の抜きの方向や角度も考えながらです。
 さらにはいつもの「カッコかわいく」からはずれないように、リアルすぎず、かと言ってレトロっぽくならないようにしなくてはなりません。
 自分で決めた事とは言え、造型する上での条件があまりにも多すぎて、ストレスもたまります。
 何度も首や翼の付け根をやり直しました。粘土を盛ったり削ったり……。
 この時初めて「劇中のギドラはシャレにならんぞ!!」と実感しました。そして「あーやっぱりゴジラが作りたいー!!」度早くも50%です。

 全体のバランスは、各パーツを細かく作りながらまたさらに整えていく事になるのですが、各パーツの中で一番どうしようか困ったのは実は頭です。
 前にも書きましたが、角や突起が多く、その先の方向のほとんどが成型時の抜き方向と反対になってしまいます。ですから実際の劇中スーツの物とは方向、角度が違う突起や角もありますし、長さもかなりアレンジしています。頭の3本の角もあごの下の小さな突起もあれでギリギリでした。あれ以上劇中スーツに近付けるには別パーツにするしかありませんし、強引に作っても成型不良を起していたでしょう。そういう意味ではリアルではなくディフォルメで救われた部分は多々あるのです。
 もちろん可能ならもっと近付けたかったのが本音ですが、ディフォルメタイプのソフビですから、現状ではそのへんは仕方がないのです。
 各突起や角を作っている時もやはり「シャレにならんぞ!!」と心の中で叫んでばかりです。そしてさらに「あーやっぱりゴジラが作りたいー!!」度の数値は70%に上がりました。

 こうして原型時にはゴジラを作っていた時には感じなかった、多くのストレスを抱えていたわけですが、「あーやっぱりゴジラが作りたいー!!」度をさらにあげたのは全身のウロコです。もはや90%!! 私にはギドラのウロコより、ゴジラのボコボコの皮膚を作っている方が心身に良いようです。

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