Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その106

2009年03月27日 | 制作裏話
制作裏話「キングギドラ スタンダードカラー」編 Part.5

■全身ゴールドのキングギドラ

 キングギドラと言えば全身金色です。商品第一弾カラーとして、最初に全身金色のバージョンを企画するのは皆さんが望むものでしょうし、弊社としてもある意味ギドラを作るなら真っ先に作るべきものだと考えました。

 これまで数多くのキングギドラソフビが各社から発売されてきました。しかし、金色イメージの物でもボディの部分部分だけにスプレーされているものは多くありますが、意外にも全身全てを金色に塗ったものは数えるほどしかないのです。
 その金色で塗られたソフビでもほとんどがオーソドックスなゴールド、きれいなゴールドです。もちろん玩具、フィギュアとしてその方がカッコ良いでしょう。きれいにムラなく塗るべく成型色の地色は金に近い色のイエロー系、黄土色系で作られています。
 
 弊社が目指したキングギドラは、劇中で見られた「初代キングギドラ」です。
 造形的にもそうですが、塗装でもきれいなカッコよさではなく、昭和の怪獣映画の雰囲気を持った、戦いの中で砂埃にまみれ、所々ゴジラ達に痛めつけられた感じのイメージを表現したかったのです。劇中でのキングギドラの全身は、きれいなゴールドにはどうしても見えません。
 そこで思い付いたのが、濃いめの成型色に全身ゴールドを塗る事でどうしても出てしまうムラによって古さや汚れた感じを出そうという事です。

 いつもの弊社のゴジラ達に比べて、キングギドラの全身を塗るのは時間がかかります。形状的な理由もありますし、ゴジラよりパーツが多いからでもあります。
 しかし2007年末から2008年2月の発売前までの弊社は、とにかくハードスケジュールでした。「新春ゴジラ福袋(08)」を正月に発売し、「ゴジラ福袋プラス」と「ミレゴジ 新宿決戦バージョン」も「キングギドラ スタンダードカラー」と同じく2月のワンフェスに間に合わせなくてはなりません。ですからいつものゴジラより時間がかかるキングギドラを塗る時間はなく、塗装は外注にお願いしました。「キングギドラ」の発売日の確定が遅れたのはそのためです。

 塗装をお願いする際は、あえて「できる限りムラが少なくなるように」とお願いしております。
 「ムラなくするには金に近い色で成型した方がよかったのに……。どうしてもムラは出てしまいますよ」と言われてしまいましたが、「あえてどうしても出てしまうムラこそが狙いなんです」と。内心は悪事を企む悪代官のような私です。
 結局その辺の意図を理解していただいたのかはわかりませんが、結果的に弊社の希望した難しい塗装をしていただきました。感謝しております。

 ここでのこういった意図をご覧いただいた方々には、色に対してのこだわりもご理解いただいたと思うのですが、このサイトをご覧いただいていない方にとってはこのムラのある塗装に対して、もしかしたら「羽沢組は塗装は下手かも」と思われたかもしれません。その辺の対応は今後の課題かもしれませんね。
 買っていただく際に「塗装ムラはわざとですからね、わざとですよー!!」と一人一人に言うのも変だしカッコ悪いし……。
 どの商品のどのこだわりについても「わかる人だけにわかってもらえればいい」というようなドライな考えは弊社にはありません。同じようにお求めいただく皆さん全員にご理解いただきたいといつも思っているのです。