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Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

そフビ制作裏話 その295

2012年08月22日 | 制作裏話


1.出現シーンについて

 今日から昨年7月に発売を開始した「決戦ゴジラ 出現バージョン」の制作裏話を書きます。商品の詳細、こだわった所につきましては、2011年5月23日の記事、2011年6月22~26日の「こだわり」をご覧下さい。
 こちらの商品は現在も発売中です。ご希望の方は弊社までお電話でお申し込み下さい。




「はじめて」いろいろ
 ゴジラに詳しいファンの方々の多くは覚えていると多いと思いますが、ライトなファンの方々で『三大怪獣 地球最大の決戦』でのゴジラの登場シーンをはっきり言える方はどれぐらいいるでしょうか。
 この作品の一番の目玉はなんと言ってもキングギドラの登場です。ゴジラが他の怪獣とタッグを組むのも初めてなら、ラドンがゴジラシリーズにリンク(?)するのも初めて。さらに同じ年に2つ公開される新作ゴジラ映画も初めて(同年に『モスラ対ゴジラ』)の事。マニアックな事を言えば、ゴジラのスーツの改修流用も初めてのゴジラです。
 初めてづくしが多い作品な上に、ストーリーも金星人(王女)がらみだったり、隕石の落下等で見所が実に多いのです。
 ですからゴジラの登場シーンと言うと、フィルム的に秒数的は少ないし、他作品と混合してしまっている人も多いと思われるので「あれ、どんな感じだったっけ?」と忘れらがちな所はあるでしょう。

 忘れていた方々に思い出していただきたく連続のイメージ画像(2011年5月25日~6月1日掲載)を作ったりしたのですが、こういった登場の仕方をするゴジラもまた初めての事なのです。
 そういう意味でも覚えておいていただきたいという思いがあり、この商品の企画意図の一つになっています。

そフビ制作裏話 その294

2012年06月19日 | 制作裏話


Part.5 お客様の反応

 今日は「メカゴジラ ブラックバージョン」発売後の反応について。



■配色のアイディア、ご意見お願いします!!
 発売後はおかげさまで好評をいただき、感謝するとともに安心致しました。一番多かったお声としては「(ボディに塗装した色が)写真より全然いいですね」というご意見でした。嬉しかったのですが、本当ならこういう微妙な色の商品でもちゃんと事前に写真で伝えられてたらいいのです。写真撮影をもっと上手くならなきゃと反省しております。ある意味そういう部分では課題ですね。

 それと、発売前から「未塗装でもいいので黒のメカゴジラを!」「メカゴジラなら未塗装の黒いやつも!」というご意見がいくつかあり、「未塗装版メカゴジラ(黒成型)」も同時に少数発売致しました。メカゴジラが好きな方は、本当に「黒」が好きなんだなぁというのも実感。こういったパターンでのリクエストは今までなかったので勉強になりました。

 メカゴジラは、劇中イメージ、オリジナルイメージと、いろいろなパターンで配色のアイディアが出て、もっともっと展開したくなるキャラクターです。私自身も「ブラックバージョン」は、作っていて楽しい商品でした。
「メカゴジラ」自体、配色等のリクエストもいただく事の多いので、皆様に飽きられない程度にいくつかやってみたいと思います。もちろん今後も皆様のご意見はとても参考になりますので、商品化の際は「これなら東宝さんの許諾はOK」と言える範囲までのものは検討の余地があると思います。ぜひ幅広くお寄せ下さい。よろしくお願い致します。

「メカゴジラ ブラックバージョン」発売中です。ご希望の方は弊社までお電話にてお申し込み下さい。のこりあとわずかです。

そフビ制作裏話 その293

2012年06月18日 | 制作裏話


Part.4 ブラックイメージ

 今日は「ブラックイメージのメカゴジラ」としてのアイディアについて。



■ブラックイメージのメカゴジラ、いろいろ
 これまで「ガンメタブラック」塗装は、「GMKゴジラ」や「ファイナルゴジラ」等で行ってきました。「メカゴジラ ブラックバージョン」も含めて、それぞれ色の調合比はそのゴジラ、バージョンに合うように変えてあります。
 詳しい事は「こだわり」に書きましたので割愛しますが、この「メカゴジラ ブラックバージョン」は、金属感が出るように調整したつもりです。かなり黒に近くはなっていて、画像で見ると特にそう感じるのですが、地味な色合いに見えがちです。
 他社さんのブラックイメージのメカゴジラソフビがわりと明るめだったり、複数の色を使用し派手な感じでしたので、逆に渋い感じを目指してみました。ある意味表現しづらい微妙な色と言えます。この辺は画像で伝えられないのが残念なのですが、実物で感じていただきたいと思います。

 さらに、ブラックイメージでもっと明るい雰囲気を持った配色も考えてはいたので、それも商品化してみたかったのも事実。ダークグレーをベースにした物、カラフルなメタリックカラーの物……etc。
 特に個人的希望ですが、より鉄っぽさや金属感を出したバージョンも作ってみたいのですが(塗装済み完成品としてはありそうでなかったですよね!)、もう少しメカゴジラが好きな皆様のご意見を伺ってからと思っていますので、イベント時や電話注文の際等でかまいませんのでよろしくお願い致します。参考にさせていただいてから検討してみたいと思っています。
 こうしてブラックイメージというだけでも、いろいろな配色アイディアが考えられるのはメカゴジラの魅力でしょう。今でも考えるだけでもかなり楽しいです。

そフビ制作裏話 その292

2012年06月16日 | 制作裏話


Part.3 ガンメタブラック

 今日は「ブラックイメージのメカゴジラ」の塗装に使用した「ガンメタブラック」という色について。



■本当の「ガンメタブラック」って!?
 ブラックイメージのメカゴジラという事で、黒成型の全身に塗装する色をいろいろと考えたのは昨日書いた通りです。
 候補はいくつかあり、最終的には4~5種類ぐらいで悩みました。どれも捨てがたく、本音を言えばその中から複数の種類を発売したいぐらいでした。コストや時間、お客様の懐事情等を考えるとやはり時期的には1種類に絞らざるを得ません。

 結果としてガンメタブラックをベースとした配色をチョイスしたのですが、一番の決め手となったのは、これまでありそうでなかったソフビメカゴジラの色になると判断したからです。確かにこれまで他社さんの塗装済み完成品メカゴジラソフビで「ガンメタブラック塗装」とうたって発売された物はいくつかありましたが、いずれも黒成型にシルバー、またはほとんどシルバーに近いメタリックカラーを部分的にスプレーしている物だけでした。
 とは言え、「ガンメタ(ガンメタリック)は絶対的にこの色である」という定義は実はないのです。名前の由来も調べてみると諸説あります。「黒に近いグレー」という人もいれば「黒のメタリック」という人もいます。それらに少しだけ「青が入っている」とか「緑が入っている」とか、色に関わる仕事をしている人でも判断は分かれます。(もちろん「シルバーという人はいません」)
 デザインの仕事もしているので、日頃から職業柄一般に言われる色の名前にはこだわる事にしていますから、曖昧な色の名前の表現は基本的に避けるようにはしているのです。それでも模型好きの方やフィギュアコレクターにとって「ガンメタブラック」というのは聞き慣れた色名ですし、模型等の塗料、自動車の塗装色等では、大まかなくくりで「黒に近いメタリックブラック」がそう呼ばれている事が実に多くあります。
 ですからこの「ブラックバージョン」で使用する「ガンメタブラック」も弊社の判断で作った、いわゆる「黒に近いメタリックブラック」なのです。

そフビ制作裏話 その291

2012年06月15日 | 制作裏話


Part.2 配色について

 今日は「ブラックイメージのメカゴジラ」にするための配色について。



■黒いメカゴジラの配色パターンは無限!?
 ブラックイメージのメカゴジラを考えた時に、配色のアイディアはいろいろありました。
 元々劇中に黒いメカゴジラは登場しませんから、自由に展開を考えられます。ある意味オリジナルカラーメカゴジラにできる訳です。
 メタリック系のカラーをボディにスプレーするにしても、いろいろな色が似合うキャラクターでもあります。商品では結果的に、ガンメタブラックをスプレーしていますが、この色にしてもほんの少し他の色を混ぜたりする事で違った印象の色になります。ブルー、グリーン、レッド、ゴールド……etc、個人的な感想かもしれませんがどれも似合うと思うのです。
 メタリック系じゃないにしても、ツヤ消しで黒に近いダークグレーを部分的に吹いても「鉄」っぽくなってカッコいいと思います。そのダークグレーすらほんの少し他の色を混ぜる事でまた印象が違ってくるのです。
 単純に「黒いメカゴジラ」と言えど、配色の候補は無限と言っていい程あります。ゴジラ等の配色検討では、なかなかなかった嬉しい悩みです。「どういう風にしようか…」と決め兼ねている時でも楽しい時間でもあります。
 まず一番先に思ったのは、他社さんの商品ではやらなかった色にしたいという事です。全ての他社さんの黒イメージのメカゴジラソフビを持っている訳ではありませんし、全ての存在を把握している自信もありませんが、知る限りは同じ配色は避けましたし、意識的に近い雰囲気にならないようにしたつもりです。

そフビ制作裏話 その290

2012年06月14日 | 制作裏話


Part.1 黒いメカゴジラ

 今日から昨年発売を開始した「メカゴジラ ブラックバージョン」の制作裏話を書きます。商品の詳細は2011年3月10日の記事を、「こだわり」は2011年4月23~27日の記事をご覧下さい。こちらの商品は僅少発売中です。ご希望の方は弊社までお電話でお申し込み下さい。



■コレクターにとってはあって当然のバリエーション?
 Gメモリーズセレクションで「メカゴジラ」を作ろうと企画した時には、すでに黒のイメージのバリエーションは考えていました。ですから「スタンダードカラー」同様、3年程前からずっと考えていた物です。
「スタンダードカラー」発売前から「ブラックのメカゴジラも!」と数人の方からリクエストをいただいていた事からもわかるように、メカゴジラソフビが好きな人にとっては黒のイメージのバージョンはどうしても欲しくなるようです。私もそうなのです。不思議です。

 これまでメカゴジラソフビを発売されてきた他社メーカーさんのいくつかもブラックイメージのメカゴジラは発売されてきました。メカゴジラそのもののデザインは、黒が似合うからなのかもしれませんし、悪役だからというのもあるのかもしれません。
 自意識過剰かもしれませんが、皆さんからリクエストをいただいた時、言葉のニュアンスとして感じたのは、「羽沢組だったらどういう配色で黒いメカゴジラを作るのか?」という期待をされているんじゃないかと言う印象を持ちました。いつもと違う言い方をされていた方が多かったからです。事前に「ブラックバージョン」を作ると言ってはいなかった頃でしたが、「(羽沢組が)当然黒のメカゴジラも作るはず」という前提で初めから話されている方が何人もいらっしゃったからそう感じたのです。
 それだけメカゴジラソフビコレクターにとって「黒いメカゴジラ」は「あって当然」のバリエーションなのかもしれません。



そフビ制作裏話 その289

2012年05月25日 | 制作裏話


Part.10 メカゴジラを作ってみて


▲尻尾を浮かせて2本脚で立たせられるのもこだわりでした。

 長々と「メカゴジラ」の裏話にお付き合いありがとうございます。これからもまたいつかメカ怪獣に挑戦してみたいと思っております。

■次への挑戦
 原型制作から発売、完売までいろいろあった「メカゴジラ スタンダードカラー」でした。
 私自身いろいろと経験させてもらいました。特に原型の部分では考える事も多くあります。

 私自身が苦手だからそう思うのかもしれませんし、経験豊富な原型師さんやキャリア豊富のメーカーさんから見れば「甘ちゃん」と言われるかもしれませんが、ソフビに限らずメカの原型を作られている方はすごいなぁと改めて思いました。
 特にメカゴジラのような怪獣のカテゴリーに入るメカものは難しいと実感しています。
 実際のメカゴジラはメカとはいえ、着ぐるみの怪獣です。真っ平らな部分は実はありそうで全くないのです。全ての面が微妙な曲線・曲面で作られています。リベット(ねじ?)部分を除けば、きれいな正円状の面も全くありません。それでいて完成されたキャラクターです。これらの微妙な面を作るのにも経験や観察力が必要である事がわかりました。真っ平らや正円状のような規則性のある面の方が作るのは楽ですから。
 ソフビを作られている方の中には、粘土類を一切使わずワックスから作る方もいらっしゃるそうです。その方がメカの面がきれいに出るというのです。まだまだ私はその域には遠いようです。
 先日も某ソフビメーカーさんから聞いたのですが、現在ソフビで怪獣・怪人を作りたいという原型師さんはたくさんいらっしゃるそうですが、メカとなるとなかなか見つからないそうです。ましてやメカゴジラのようなタイプとなると皆さんが断られるようです。経験があればある程、難しいのがわかるから避けられるのでしょう。僭越ながらメーカーさん側のお気持ちも原型師さん側の気持ちもよくわかります。

 メカは苦手……と何度か書かせていただきましたが、もうやらないという思いはありません。タイミングを見てまた次のメカ怪獣に挑戦してみようと思っております。たとえまたえらく時間がかかってもやりたいです。諦める事は大嫌いですし、今回の「メカゴジラ」の経験を無駄にしたくありませんから。
 がんばります!!

そフビ制作裏話 その288

2012年05月24日 | 制作裏話


Part.9 リクエスト



 「メカゴジラ スタンダードカラー」をきっかけにたくさんの次へのリクエストもいただきました。

■今後の「メカゴジラ」の企画いろいろ
 追加生産した「メカゴジラ スタンダードカラー」ですが、現在はこれもすでに完売しております。その後も今に至るまで、再販、もしくは「シルバー系」の新規カラーのリクエストも何度もいただいております。
 この「スタンダードカラー」の再販の予定はありませんが、「シルバー系」のバリエーションは考えております。ただ、いつものように他社さんのレトロタイプソフビで行っている配色のような感じにはしません。塗装済み完成品のメカゴジラソフビはこれまで各社からででおりますが、似た配色の物が多くあります。Gメモリーズセレクションではそういった配色はこれまでも避けてきましたし、似たような色合いの物を出してもどうかと思いますので、羽沢組ならではのこだわった独自の色を考えたいと思っております。
 他社さんのレトロタイプで見られたような色合いをご期待されている方には申し訳ありませんが、できるかぎりそういった配色の物以上に喜んでいただける物を目指して企画したいと思います。ですのでまだいつというお約束はできませんが、発表までお待ちいただきたいと思います。

 また「メカゴジラ2」「VSメカゴジラ」「機龍」等へのリクエストにもできる限り応えたいと思いますし、私自身も欲しいキャラクターです。ですから「NO!」ではないのです。
 ただ正直に言いますと、今回の「メカゴジラ」でも痛感した「メカへの苦手意識」がまだありますし、メンタル面(笑)だけではなく技術面、経験でもなかなか難しいところがありますので、もう少し時間を下さい。それにこれらを作るとなれば、「75ゴジラ」「ラドゴジ」「釈ゴジ」も欲しくなりますしね。やるなら企画自体、対戦したゴジラと一緒に考えたいと思います。

そフビ制作裏話 その287

2012年05月23日 | 制作裏話


Part.8 お客様の反応



 おかげさまで好評をいただいた「メカゴジラ スタンダードカラー」。たくさんの皆様のお気持ち、お声があったからこそ作って良かったと思えました。

■たくさんいただいた次へのリクエスト
 発売前からたくさんの方々にお声をかけていただいたように、「メカゴジラ スタンダードカラー」は好評をいただき、早いうちに完売致しました。予想以上でしたので、初回生産分が完売直前には次の追加生産を決めたぐらいです。たくさんの皆様にお求めいただき感謝しております。
 造形にも配色にも喜んでいただき、そういった皆さんのお声をいただくと、完成までのいろいろあったネガティブな事もふっとびます。3年間諦めずに良かったと思いましたし、一番安心する時です。
 また、改めてメカゴジラが好きな方が多い事がわかりましたし、今後のリクエストもたくさんいただきました。
 毎回の事ですが、いつもより喜んでいただけた商品の感想をたくさんいただく時というのは、リクエストもいつもよりたくさんいただける傾向にあります。
 気の早い方は発売前からでしたが、発売後は「メカゴジラ2」をはじめ、各メカゴジラ、対戦した「74ゴジラ」を作ってほしいとたくさんの方からお声をいただきました。間違いなくこの初代「メカゴジラ」がなければ、いただけなかったリクエストと言えます。「メカゴジラ」をきっかけに弊社商品をお求めいただくようになった方もいらっしゃいます。
 喜んでいただけた事も嬉しいですし、こうしてリクエストをいただけるというのも幸せな事です。

そフビ制作裏話 その286

2012年05月22日 | 制作裏話


Part.7 スケジュール



 相変わらずのスケジュールでの生産の弊社ですが、この「メカゴジラ」は今までで一番スケジュールに影響を与えた商品でした。

■怒濤の生産体制でした
 この「メカゴジラ」の完成までには予想外の時間がかかったので、弊社のスケジュールにも大きく影響しました。
 原型が間もなくできるだろう頃にも、ギリギリまで造形がうまくいかずに遅れたりしましたので、粘土原型ではなく、ワックス原型ができるまで油断できませんでした。
 昨年はGメモリーズセレクション5周年でしたから、いくつか盛り上げたいと思っていたのですが、震災の影響もあって「メモリアルセット」ぐらいしか目立った事はできませんでした。その「メモリアルセット」も当初春に予定していたのですが、先に発売(2月)を考えていた「メカゴジラ」がまた遅れるとなって、急きょ「メモリアルセット」の発売を先にしたりしました。
 年末年始に「福袋」を作ってすぐにまたセット物でしたから、弊社としては怒濤の生産体制でした。
 そしてすぐに「メカゴジラ」です。当初弊社で塗装も全て行うつもりでしたが、時間がなさ過ぎてそれもできそうもなく、外注にしたのでした。デザイン業務にもすでに影響していましたので。
 この「メカゴジラ」は、1月から発売を予告していましたので、スーフェスやワンフェスでたくさんの方々に「楽しみにしています」と言っていただきそれが励みになりました。2月のワンフェスでサンプルを展示したのですが、これも東宝の許諾がおりたのが2日前という慌ただしさ。当時の担当者様にも感謝です。シルバーの色のアドバイスを下さった川北監督にも見ていただけて「いいじゃん」とおっしゃっていただきましたし、後日中野監督にもお誉めいただきました。
 本当にたくさんの皆さんのお気持ちやお言葉が完成まで乗り切れた要因である事は言う間でもありません。

そフビ制作裏話 その285

2012年05月21日 | 制作裏話


Part.6 たくさんのこだわり


▲原型ができてから参考用に「決戦ゴジラ」と並べてみた時の写真です。
東宝へのプレゼンのために用意した物です。


 こだわりが多ければ多い程、いろいろと手間も時間もかかりますし、難題も生まれてきます。

■こだわりと目指すものと塗装について
 以前たくさん書かせていただいた「こだわり」にもあるように、あいかわらずたくさんこだわった作った「メカゴジラ」ですので、詳しくはそちらをご覧いただきたく思います。

「キングギドラ」を作った後には、並べられるゴジラが欲しくて「決戦ゴジラ」を作りました。そして「メカゴジラ」後も同様に「74ゴジラ」を作りました。対戦怪獣を作っても、Gメモリーズセレクションは、ゴジラありきが基本である事は変わりません。
 それでも対戦怪獣のファンもいらっしゃるし、私自身も好きじゃない怪獣は作る気はありませんから、思い入れもこだわりもたくさん入ることになります。「ゴジラ以外はヘタクソ」と言われたくありませんし(笑)。
 メカゴジラにはメカゴジラの根強いファンもいらっしゃいますし、ゴジラは買わずともメカゴジラなら買うという方もいらっしゃいます。ディフォルメとはいえ、そういう方々にも納得していただけるものを目指したつもりです。
 これらのこだわりは、姿勢やパーツ等の原型部分でもそうですし、成型後の塗装でもそうです。「スタンダードカラー」としてのシルバーの色も、普通のシルバーにはしたくなかったのです。

 塗装に関しては、スケジュールの都合でこの「メカゴジラ スタンダードカラー」は外注にお願いしました。
 が、全身のシルバーは色合い、塗り方がどうしても納得できず、納品後に結局70%ぐらい弊社でスプレーし直しました。さらに目や耳の部分、腕のMGマークも1体1体全部筆で弊社担当者が修正、加筆しています。
 こだわりの多い物や、微妙な色合い、求める技術を考えるとなかなか外への塗装発注は相変わらず難しいところです。

そフビ制作裏話 その284

2012年05月19日 | 制作裏話


Part.5 原型(5)



 今日は「メカゴジラ」の原型を作ってみて感じた事、思った事です。

■未だに苦手意識はあります
 ソフビの原型を作るにあたっては、ディフォルメなのでリアルタイプ、もしくはもっと本物に似ている要素を多く入れた物のような作り方はできません。分割パーツを増やせばもっとリアルには近づけられます。が、販売価格を考えるとパーツ数には限りがあります。そして毎回の事ですが、ソフビですから成型時の抜きの方向が重要になります。
 メカゴジラで例えると、膝の突起や各背びれ、尻尾の突起等、足首から先等、かなりディフォルメアレンジせざるを得ません。
 ましてや頭の角度もGメモリーズセレクションのゴジラに向かい合わせで自然になるように、やや下向きですし、脚もあえてがに股にしたりと姿勢にもこだわりをたくさん入れています。今までのゴジラ同様、ギリギリの角度で成型時に抜けるように作る事も必要なのですが、このメカゴジラはゴジラ以上に調整に時間がかかりました。メカなだけに微妙な角度を変えるだけでバランスが変わってしまうのです。

 私にとってメカゴジラは、今までで一番難しい原型の商品でした。
 また作れるのかと問われたら、突起や形状がいろいろついているメカには苦手意識が今でもあるぐらいなので自信はありません。でも経験を積まなければその苦手意識も解消されないのでしょう。
 いくつかのメーカーさんのメカゴジラソフビを私も集めているのですが、今回自分で作ってみて、他社さんのカッコいいメカゴジラソフビを作られた原型師さんが本当にすごいと思いました。言い方は悪くて申し訳ないのですが(悪意はありません)、ディフォルメの際の上手なごまかし方ができている物と残念な作りをされている所の差がよりわかるようになりました(笑)。
 こういった事も自分で経験しないと気がつかなかった事でした。

そフビ制作裏話 その283

2012年05月18日 | 制作裏話


Part.4 原型(4)



 今日も「メカゴジラ スタンダードカラー」の原型制作時の当時のエピソード。最初に始めてから原型ができるまで3年もかけてしまいました。

■ディフォルメとトータルバランス
 材料を変えてみたり、作り方を変えてみたり……。メカゴジラの原型制作は何度かやり直すことになりました。
 特に頭部パーツは、結局7~8個ぐらい作ったと思います。
 そんなこんなでどうにかいけそうだと判断できるまで3年もかかってしまいました。
 材料としては固めの石粉粘土が中心ですが、部分部分によって固さの違う物を混ぜています。細かな所や特にシャープに出したい部分はいくつかの種類のパテを使用。とはいえ、未だにもっと自分に合った物、作りやすい材料はあったのではないかという疑問は残っています。こういう部分でも経験の浅さが出る物だと思いました。

 材料、作り方の部分以外でも悩む事は多々ありました。ディフォルメのアレンジです。
 以前「こだわり」でも書きましたが、メカゴジラはディフォルメアレンジの仕方がゴジラとは違うのです。
 大きくアレンジする所と小さく抑える所が隣接してあるとすれば、ゴジラはその間をぼこぼこのモールドで造形して自然なつながりにできます。が、メカゴジラはメカですので、それができません。ゴジラのような作り方をしていくとアレンジした所と抑えた所の差がはっきりわかり過ぎで不自然になります。他社さんのレトロタイプ商品のように簡略したり省いたりすれば多少は自然に見えるのでしょう。しかしGメモリーズセレクションではできる限りそういう事はしないできましたから、そういう部分でもゴジラソフビの原型にはない悩みでした。
 そして似てなくちゃいけない、全体のパランスをとらなきゃいけない……。
「カッコかわいく」を作るにはトータルバランスが必要なのです。ゴジラ以上にそれを思い知らされました。

そフビ制作裏話 その282

2012年05月17日 | 制作裏話


Part.3 原型(3)



 今日も「メカゴジラ スタンダードカラー」の原型制作時の当時のエピソードのつづきです。

■材料探しと作り方探し、そして繰り返し
 いよいよメカゴジラの原型制作に取りかかります。
 ディフォルメゴジラしか作った事がないため、テイストの違う物の原型を作るという事はいちから勉強する事でした。
 ゴジラは堅さの違う複数の石粉粘土(主にファンドやラドール等)、スカルピー等でいつも作っていました。はじめはこれらで作り始めてみましたが、メカらしいシャープさや冷たさがどうしても出ません。そこでパテ系の物をいくつか試してみましたが、慣れないためなかなか思うように盛ったり削ったりできません。
 それまでの弊社のゴジラたちを作るときもそうでしたが、私の身近にはこういった造形物を作っている人もいませんし、自家製のガレージキットを作る友人もいないので、全て独学しかありません。雑誌やホームページをいろいろと見まくり、メカもの、ロボット物を作っておられる人たちの作り方や使用材料はどうなのかと、調べる所から再スタートです。
 メカ系のものを作られている方の多くはパテが主流のようですが、そのパテも数えきれないぐらいの種類が売られており、人によって使っているのが様々。結局自分でいくつか試して、自分にあった物を探すしかない訳です。
 そして形作りを始めてみてもやはり思うようにはなかなかいかないものです。
 それなりの形になっても、Gメモリーズセレクションの「カッコかわいさ」らしいディフォルメテイストにはなかなかならない場合が多く、自分にイラ立つことも多くありました。
 また最初からやり直し……。とはいえ、他の仕事や次のGメモリーズセレクションの準備や生産等がありますので、やり直すにしても数日、数ヶ月後になります。
 そしてまたゼロから何度目かの再スタートです。その間も、もっと合った粘土やパテがないものか、もっと自分にあった作り方はないものかと考え込む日々です。こんな事を繰り返す事が何度もありました。

そフビ制作裏話 その281

2012年05月16日 | 制作裏話


Part.2 原型(2)



 昨年発売した「メカゴジラ スタンダードカラー」の制作裏話。原型制作時の当時のエピソードです。

■当時、結局チョイスしたのはキングギドラ
 メカゴジラとキングギドラを同時進行で原型制作をスタートさせたのが2007年の秋頃だったと記憶しています。
 当初は圧倒的にキングギドラの方が難しいと思っていました。今後ゴジラだけではなく、いろいろな東宝怪獣を作る上で「キングギドラができれば後はもう怖い物はないだろう」と高を括っていました。メカゴジラの方がまだ作りやすいと考えていたのです。
 しかし、実際に商品完成までこぎつけたのはキングギドラの方でした。
 実際、そのキングギドラは大苦戦でした。原型も迷ったりやり直したりの繰り返し、ワックス原型すら大幅な修正、ゴジラの倍以上かかる塗装作業、大幅なスケジュールの遅れ……と、ゴジラ以外を作った事がないという経験の甘さが一番の原因と思われますが、完成にこぎつけるまで常に問題・トラブルの連続でした。(この辺の話は2008年2月14~18日の「こだわり」、2009年3月23~30日の「制作裏話」をご覧下さい。)
 しかし選んだのはこの大変だったキングギドラです。
 初の敵怪獣の商品化する上で、メカゴジラではなく、これだけ大変だったキングギドラをチョイスしたのは、そのメカゴジラがさらにキングギドラを上回る難しさがあったのです。

 メカゴジラの原型を作る上で最初の問題は、材料です。根本的な所でした。要するに粘土系かパテ系か…からです。
 怪獣とはいえ、メカものです。それまで作ってきたゴジラの作り方が当てはまらないのです。キングギドラの方がまだゴジラの作り方をアレンジする事で作る事が可能だったのです。