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韓国、「日本と協調」尹氏、大統領選に当選して1年、新自由主義説いて左派と「妥協せず」

2023-03-10 16:37:11 | 日記
韓国、「日本と協調」尹氏、大統領選に当選して1年、新自由主義説いて左派と「妥協せず」


2023年03月10日

  • 韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評

   
韓国大統領の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が、当選したのは昨年3月9日(就任は5月)である。僅差の勝利であった。敗北した左派陣営は、悔しさも手伝って尹氏の哲学である「新自由主義」を時代遅れと批判して止まないのだ。

左派は、軍事政権を民衆のデモで追放したことに無上の誇りを持っている。それを理由にして、好き勝手なことをやっているのも事実だ。未だに、公営企業数がOECD(経済協力開発機構)の中で最大という非効率な経済運営をしている。だが、これを変えようとすれば、左派が絶対反対という狼煙を上げるのだ。

「新自由主義」では、公営事業でも民間で行なえるものは民間に任せて効率化を図ることを原則とする。日本は、この線に沿って公営事業は郵便局も含めてすべて民営化した。韓国では、全くの手つかずである。尹氏と言えど、これだけは「沈黙」を余儀なくされている。韓国国民は、李朝時代から公務員(昔の両班:ヤンバン)になることに憧れてきた。その夢が、現在まで続いており、国営事業の整理はタブーになのだ。韓国の経済民主化は、ほとんど不可能である。それでも、尹氏は新自由主義を唱えなければならない。苦しいところだろう。

『聯合ニュース』(3月9日付)は、「尹大統領当選から1年 『自由・連帯』掲げ政権運営加速へ」と題する記事を掲載した。

韓国の錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は当選から9日で1年を迎えた。記念行事などは開かず、南東部・蔚山市で行われた石油化学プラントの起工式に出席した。経済状況が厳しい中、政権交代を果たした大統領選勝利を祝うより、国民生活を重視する姿勢をアピールする狙いがある。

(1)「尹大統領はこの1年間、「自由」と「連帯」に重点を置き、文在寅(ムン・ジェイン)前政権とは異なる道を進んできた。経済政策では「民間主導の成長」を掲げ、輸出を拡大して経済危機を乗り越えるとして、大胆な規制緩和を通じた企業支援を強調してきた。労働・教育・年金などの改革にも乗り出した。尹大統領は自由で公正な国づくりのためには少数の利害関係が絡む「利権カルテル」を断ち切る必要があると認識している」 

尹氏の思想的背景は、米国のノーベル経済学賞受賞のミルトン・フリードマンの『新自由主義』にある。この「新自由主義」は、左派から誤解され非難されている。だが、実態は左派的な要素を加味したものである。自由放縦な競争に枠をはめた、規律ある競争と同時に、競争からこぼれた人達への公費による福祉支援強化を前提にしている。つまり、「弱肉強食」という古典的自由主義を大きく修正したものだ。韓国左派は、新自由主義を目の敵にしているが、韓国経済の将来は、この思想のうちどれだけを実現できるかにかかっている。その意味では、実験場である。

韓国は、宗族社会の遺制を引きずっている。未だに大卒の第一希望は、公務員志望である。2~3年就職浪人しても公務員を希望する背景には、李朝時代の「ヤンバン」による楽な生活を夢見ているのだ。

(2)「自由と連帯の価値は対外政策にも反映された。尹大統領は自由民主主義と市場経済の価値を共有する国との連携、特に韓米同盟の強化や韓日関係の回復を最優先課題に据えた。日本との関係改善が欠かせないと判断し、今月には両国関係の最大の懸案だった徴用被害者への賠償問題を巡り、韓国が自ら解決するという決断を下した。世界的な複合危機の中、外交や経済、安全保障などあらゆる分野で日本との協力が重要という認識が反映された結果とみられる。来週と予想される尹大統領の日本訪問、4月の国賓訪米を通じ、韓米日3カ国の連携はさらに加速する見通しだ」

尹氏は、「新自由主義」の実現に努力をしている。この対極が文在寅・前大統領であった。文氏は、「民族主義」の基盤に立って「親中朝」を鮮明にしていた。韓国国民は、こうした全く相容れない思想基盤の大統領を選んでいるのである。左派と右派が、ほぼ交代で政権を担ったのだから、韓国経済が本当の意味での市場経済化できなかったのは当然で不幸と言うほかない。

(3)「尹大統領は今月8日に開かれた与党「国民の力」の党大会に出席し、新しく選出された党執行部と一体になることの重要性を強調しながら「皆が力を合わせ、新しい国民の国をつくろう」と訴えた。党大会では自身に近い金起炫(キム・ギヒョン)氏が新代表に選出されたことから、党内の求心力を高めて改革を含む国政運営に弾みをつけたい考えだ。ただ、野党や市民団体などが改革の方向性などを巡り反発を強めていることは課題となる。検事総長出身で、要職に検事を重用していることから「検事政権」との批判を受けている人事問題の解消にも取り組む必要がある」

尹政権は、「検事政権」とも揶揄されている。多くの政府ポストが、検事出身者によって占められているからだ。これは、文政権が市民運動家や左派弁護士で構成されたのと似通っている。これこそ、韓国社会の「宗族制」という伝統が表面化したものだろう。相手陣営から登用するという度量も必要だ。韓国社会は、そこまで脱皮できない証明と見られる。

ただ、尹政権が日韓関係改善で舵を切ったことは、歴代右派政権でもできなかったことである。李明博政権・朴槿惠政権も反日の殻に閉じこもって、「反日」を利用していたのだ。その点で、尹氏は「新自由主義」の理解者らしく理詰めで日韓関係を捉えている様子だ。韓国では、初めての大統領である。

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