韓国制裁、やるならこの手法! 外為法に基づく直接投資規制、民間は韓国からの企業撤退も
最近の文在寅(ムン・ジェイン)政権の日本に対する態度は常軌を逸している。
韓国最高裁による、いわゆる「元徴用工」などへの判決、レーダー照射事件、慰安婦像問題の解決放棄などである。
これらは、どのような立場から見ても韓国に非があるが、背後には、文政権の対日政策の変化が存在している。
これが麻生発言につながったとみられる。
これまで政府が言ってきたのは、国際司法裁判所(ICJ)への提訴であるが、関税引き上げ、送金停止、ビザの発給停止が加わった。
すぐに思いつくものとしても、
貿易保険の適用からの除外、
フッ化水素などの輸出禁止、
日本国内の韓国企業の資産差し押さえ、
駐韓日本大使の帰国、国交断絶などさまざまなレベルの対処法がある。
韓国への制裁というと、勇ましいことを言う人が多いが、現行制度の理解不足ではないか。
法の支配は必須なので、現行制度内か新規立法が必要だが、前者の方が即効性がある。
今回出た関税引き上げについては、現行制度内の対応は難しく、基本的に立法が必要となる。
世界貿易機関(WTO)ルールとの整合性が懸念されるが、対韓進出で不利益を被ったとしてWTO提訴も同時に進めることがあり得る。
おそらく現政権では、100以上の制裁措置が具体的に検討され、
実行の迅速性・容易性、日本への影響などの比較考量が行われているはずだ。
筆者としては、現行制度の枠内で新規立法が不必要な外国為替及び外国貿易法(外為法)での対応をお勧めしたい。
筆者は旧大蔵省の官僚時代に外為法を担当したことがあるが、「国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき」にはいろいろな手が打てる。
閣議決定して対韓直接投資を規制するのが筋であるが、現在の事後届け出制を、事後チェックや事前届け出に変更することも可能である。
この場合、緩い制裁になるが、それで韓国の出方を待つというのも状況次第ではあり得る。
日本企業でも韓国からの引き揚げの動きは既にある。
昨年の日本からの対韓直接投資は約3割も減少した。
昨年の対韓直接投資については、
日本が落ち込んだにもかかわらず、中国からの急増や欧米の堅調により、
全体としては2割程度の増加になっている。
ただ、中国は米中貿易戦争の影響、欧州はブレグジット(英国のEU離脱)の混乱のために、今年はどうなるか分からない。
韓国経済は外資引き揚げに対して極めて脆弱(ぜいじゃく)だ。
こうした状況において、日本企業が韓国から引き揚げることは、韓国からの輸入品に対する関税引き上げより、はるかに強力だろう。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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