【社説】規制・労働改革なしに景気回復は可能なのか=韓国
政府が昨日、「2020年経済政策方向」を確定した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が開いた拡大経済長官会議でだ。焦点を「経済回復」に合わせた。
政策目標を「景気反騰および成長潜在力向上」に設定した。
2%台が厳しい今年の成長率に刺激された。
しかも需要・輸出不振などでGDP物価(デフレーター)が0.8%下落したことで何とか2%水準まで眺められることになった。
物価要因を除いた経常成長率は1.2%にとどまる見込みだ。
来年も不透明だ。国際機関と国内民間研究機関はほとんど韓国経済が来年2%ほど成長すると予想している。
一方、政府は2.4%を目標に掲げた。「予想値」でなく政策手段を総動員して実現させるという「目標値」だ。
しかしこれについても「過度に楽観的」という声が出ている。
こうした状況を打開するために政府は「投資活性化」を最優先課題にした。税制優遇などのニンジンを出して規制廃止も約束した。
企業が投資して雇用が生じてこそ所得と消費が増え、経済が活気を帯びるという判断だ。
文大統領は昨日、「一件の雇用、一件の投資でも作ることができるのなら政府はすべてやるという覚悟で率先してほしい」と長官らに注文した。
政府が「成長のための投資活性化」を最優先課題としたこと自体は歓迎する。しかし効果があるかどうかは未知数だ。
昨年と大きく変わった政策が見えないからだ。昨年も政府は「経済の活力を高める」という「2019年経済政策方向」を発表した。
企業投資の活性化と規制革新を前に出したのも今年と同じだ。「投資を支援して良質の雇用を増やす」とも述べた。
しかし結果はどうだろうか。設備投資はますます減少し、同時に製造業の雇用は消えている。
企業は国内から手を引いて次々と海外に出て行った。
いわゆる「投資亡命」現象だ。
今年上半期、韓国企業の海外投資は291億ドル(約3兆2000億円)と、昨年より27%増加した。
反企業・労働組合寄り政策と言葉だけの規制改革が問題だ。
これが国内投資を減らし、企業を海外に追い出した。規制が緩和されるどころか、きめ細かくなっている。
150万人が利用する配車サービス「タダ」までがストップする状況だ。
事業ができないのに投資するはずはない。
丁世均(チョン・セギュン)首相候補が一昨日、初めて業務報告を受ける席で「なぜ国民が規制の改善を実感できないか」と叱責したほどだ。
また、国際機関が勧告する労働柔軟性の向上は労働組合の反応を意識して言及もしない。
労働市場を柔軟にすることで雇用が増えるフランスの現実を眺めているにもかかわらずだ。
それだけではない。政府は国民年金を動員して経営に深く関与するとして企業を締めつけている。
企業は税制優遇を与えるからといって投資するわけではない。事業をする環境になってこそ資金を投入する。
そのためには規制・労働改革が急がれる。昨年の政策の失敗がこれを立証した。
言葉だけでなく改革事例を一日も早く企業に見せることで、政府の意志を明確にする必要がある。
そうしなければ来年の512兆ウォンのスーパー予算でも経済回復効果を出すのは難しいだろう。