ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#704

2022-02-26 01:02:38 | 刑事ドラマ'80年代

’80年代アイドル特集第5弾は、武田久美子さん! 本格的なデビューは映画出演で、そのあと歌手デビューもされてるけど、グラビアを主戦場とするアイドル、いわゆるグラドルとしての印象が強いのは、これより3年後に披露される「貝殻ビキニ」姿があまりに鮮烈だったからかも知れません。

たぶん当時、そんなことするアイドルは他にいなかったでしょうから。宮沢りえさんの「ふんどし」カレンダーもきっと武田さんの功績あればこそでしょう。

さて、まだ現役バリバリのアイドルが『太陽にほえろ!』にゲスト出演されることは極めて稀だったと思うけど、この時期(’86年春から夏にかけて)だけはちょっと異例で、他にも元ピンクレディーのMIEさんや香坂みゆきさん、美保純さん、萬田久子さん等、すでにメジャーだった女優さんの起用がやけに続いてました。

その理由について番組側からのアナウンスは特に無かったけど、我々ファンの間じゃ「穴埋めしてるんだな」っていう暗黙の了解があったように思います。

なにしろ4月に山さん(露口 茂)が「殉職」という形でついに番組を卒業された上、ボス(石原裕次郎)までもが体調悪化につき長期離脱! 番組の顔であるお2人が不在となっては豪華ゲストでも呼ばなきゃ画面が寂し過ぎる!

それと、大御所お2人分のギャラが浮いたことで、普段よりゲストに予算を費やせるっていう物理的な理由もあった事でしょう。そこはまさに怪我の功名。

そんなワケでこの当時の七曲署捜査一係メンバーは、ドック(神田正輝)、マミー(長谷直美)、デューク(金田賢一)、ブルース(又野誠治)、マイコン(石原良純w)、そしてトシさん(地井武男)の6人!



また、当時の七曲署署長=大和田警視(草薙幸二郎)が、係長代理=橘警部(渡 哲也)の着任まで約1ヶ月間、一係の指揮を執るという異例づくめのシーズンでした。



で、今回。誰がアイドルのお相手役を務めたかと言えば、誠に残念ながら、よりによってこの人ですw




☆第704話『未亡人は十八歳』

(1986.7.25.OA/脚本=大川俊道&小川 英/監督=手銭弘喜)

マイコン刑事の主役回をレビューするなんて人は、たぶん世界じゅう探しても私1人しかいないでしょうからw、これは貴重な記録と言えるかも知れません。

ある夜、有名作曲家の奥寺(山口嘉三)が轢き逃げに遭って死去するんだけど、彼が前日に若い男と言い争ってたという目撃談が浮上し、藤堂チームは殺人事件の可能性を視野に入れて捜査を開始。

それでドックと2人で奥寺の葬儀に出向いたマイコンが、20以上も歳上の奥寺と結婚して僅か3日後に未亡人となった18歳の妻=絵里香(武田久美子)と出逢い、なぜか仲良くなっちゃいます。マイコンのくせに!



天真爛漫で元気いっぱい、自由奔放に振る舞う絵里香にマイコンは惹かれて行くんだけど、同時に疑問も沸いて来ます。新婚ホヤホヤだった夫が亡くなった、それも殺されたかも知れないのに、彼女はなぜそんなに元気でいられるのか?

しかも、奥寺に1億円の生命保険が掛けられており、その受取人の名義が絵里香となれば……

マイコンがカッカするんじゃないかと気遣う先輩刑事たちに、彼は言います。

「カッカしたりしませんよ。ガッカリはしましたけど」



マイコンはしっかり、保険金殺人を前提にした捜査を進めてました。

「状況を正確に判断すると、その可能性が極めて高いんです。ホームズ(パソコン)もそう言ってます」

かつての新米刑事たちなら「そんなバカな!」「彼女はそんな子じゃありません!」とか言って、確かにカッカしそうなもんだけど、この意外なクールさがマイコンらしいというか、’80年代らしいと言えるかも知れません。熱血はすっかり古くてダサいものになっちゃいました。

さて、そうとも知らずに絵里香は、捜査を手伝わせて欲しいとマイコンに頼んで来ます。

「被害者は私の夫なんだし、私にも知る権利があるわ」



だけどマイコンはきっぱり断ります。

「絵里香さん、こんなこと言いたくありませんけど……だいたいあなた、ご主人が亡くなったというのに、随分と明るいじゃないですか。1億円の保険金が入るからですか?」

「保険金?……まさか、刑事さん」

「はっきり言います。僕はあなたを疑ってます。あなたを見てると、あなたが少しもご主人の死を悲しんでるように見えない!」

締まらない顔をビシッとキメて言い放ったマイコン。マイコンのくせに意外とやるじゃないか!……と感心したのも束の間、すぐ絵里香にびえ〜ん!と泣かれて超うろたえますw まさに瞬殺。百万年早いわっ!

エリカ様はどうやら「どんな時でも元気で明るくいて欲しい」っていう、プロポーズの時に奥寺から言われたことを忠実に守って来ただけ。

「だから悲しくても元気で頑張ったのに……それなのに!」



「私だって泣きたかった! 思いっきり泣きたかったわよ!」

「す、すみませんでした! 僕の誤解でした! 一緒に捜査しましょう! ご主人を殺したヤツを捕まえましょう!」

しかしこれ、ヘタすると絵里香がすごい悪女に見えかねない。今回の’80年代アイドル特集の中でも、特に強いフェロモンをお持ちの武田久美子さんですから、それを武器にして刑事を手玉に取ったと思われても仕方ない。

まあ実際のところ手玉に取ってるんだけどw、彼女は犯人じゃないし、自分が保険金の受取人になってることも知らなかった。

我々視聴者がそれを信じられるのは、マイコン刑事=石原良純さんの側にフェロモンがまるっきり感じられないお陰かも知れませんw 少しでも色っぽい空気が流れると怪しく感じちゃいますから。



あんなにフェロモンを(無意識にせよ)放出しちゃう美少女に抱きつかれても、色気のいの字も出ないマイコンがある意味スゴイ!w

今回ばかりはマイコンが主役だからこそ成立するストーリーなのかも知れません。どんなに三枚目を演じても色気が出ちゃう前任者のボギー(世良公則さん)とはホント対照的。これもまた怪我の功名!



さて、松山夕子という謎の美女が現れて、事件は急展開。夕子役の美津井祐子さんは『太陽にほえろ!』に3回目のご登場で、この翌年から特撮ドラマ『超人機メタルダー』に「美人秘書K」役でレギュラー出演される事になります。

その夕子の証言により、奥寺が死んだ前日に言い争ってた相手が黒田(杉 欣也)という彼女の元カレであること、そしてソイツが夕子のチョメチョメ写真をネタに金をユスり取ってたことが判明。

相当なプレイボーイらしい黒田は、かつて絵里香とも交際してた時期があり、どうやら彼女のチョメチョメ写真も持っていた。

奥寺はそれを取り戻す為に、密かに持ってた拳銃と写真を交換したんだけど、今度はその拳銃をネタにユスられてしまい、覚悟を決めて警察に自首しようとしたもんで、黒田に口封じで殺されちゃった、という顛末。



そこまで判ったところで、絵里香はマイコンを花瓶で殴って気絶させ、彼の愛銃スタームルガー・セキュリティシックス(マイコンのくせに!)を奪って行方をくらまします。

どうやらその行く先は、黒田の居場所。彼女はヤツを殺すつもりなのか!?

「返して! あの人の拳銃を!」



だけどあっけなくスタームルガーを奪われてしまい、絶体絶命! そこにお約束どおりマイコンが駆けつけ、消化器を使って黒田をひるませ、へなちょこパンチで何とか倒して、逮捕するのでした。



「あなた、取り戻しました……拳銃。もう安心よ」

絵里香は黒田を殺すつもりはなく、ただ夫の拳銃を取り戻したかっただけのようです。

「だって、これを悪いことに使われたら、奥寺の責任でしょ? そんなこと、放っとくワケにはいかないわ。私、奥寺の妻ですから」

「絵里香さん……」



しかし、殺すつもりは無かったと言っても、刑事から拳銃を奪った罪は相当なもの。よもや懲役刑になりやしないかと気を揉むマイコンに、ブルース先輩が言います。

「アホかお前、彼女いくつだと思ってんだ?」

「……あっ、18歳! 家庭裁判所だ!」



今回も、実に他愛ないお話でしたm(_ _)m いや、前回レビューした#535より他愛なさに拍車がかかってるというか、荒唐無稽になっちゃってますよね。

決して毎回そうだったワケじゃないけど、観た後になんの余韻も残らない「なんだかなあ」って回が当時、どんどん増えてたのは確か。程なくして裕次郎さんが降板されて番組は終わっちゃうけど、仮に裕次郎さんがお元気だったとしても長くは続かなかったかも?

いや、なんだかなあって回は昔からあるにはあったんだけど、刑事さんたちのカリスマ性や演技力、そしてアクションの魅力でカバー出来てたんですよね!

それが今回はマイコン刑事ですw カリスマ性はかけらも無く、演技力は上手い下手を論じる以前の問題で、アクションは泣けて来るほどヘナチョコ。救いどころが1つもありません。

私はマイコン刑事も石原良純さんも決して嫌いじゃないけど、今回みたいな内容だとちょっとキツイ。せめてストーリーの良さでカバーしてくれないと!

だから、豪華ゲストの起用はそんな番組そのものの衰えも「穴埋め」してるんですよね、きっと。武田久美子さんも当時はまだ演技が拙いんだけど、マイコンよりは全然マシですw

っていうか、相手役がもっとしっかり「受け」の芝居が出来る人だったら、武田さんの魅力がもっと引き出せた筈なんです。MIEさんの時もそうでした。つくづく勿体ない。マイコン刑事、やっぱキツイっす。

武田久美子さんは当時ホントに18歳。刑事ドラマへのゲスト出演は他に『さすらい刑事旅情編III』第10話ぐらいしかWikipediaには記載されておらず、そういう意味でもこのレビューは貴重な記録になりそうです。


 

コメント (5)
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