☆第95話『愛のシルクロード』
(1974.5.10.OA/脚本=長野 洋/監督=木下 亮)
チンピラの刺殺死体が発見され、すぐに大学生の伊藤(山西道広)が容疑者として浮かびます。
ジーパン(松田優作)とシンコ(関根恵子)は、伊藤のガールフレンド=弥生(杉田景子)に話を聞きに行くんだけど、彼とは1年前に別れたから何も知らない、と素っ気ない塩対応。
そんな弥生を見て、伊藤が殺人を犯したことを既に彼女は知ってると直感するシンコ。女のカンは侮れないと見たボス(石原裕次郎)は、弥生の張り込みをゴリさん(竜 雷太)とジーパンに(爪切りしながらw)指示します。
かくして弥生の日常生活を見守ることになったジーパンは、清楚で誠実な彼女の人柄に惹かれて行きます。ところが、密かに伊藤と連絡を交わしてた弥生に、あろうことか拳銃を盗まれてしまう!
……容疑者の恋人、あるいは自身が容疑者である女性に新米刑事が惚れちゃう話と、拳銃を奪われちゃう話という、定番メニュー2つを合体させたようなストーリー。
タイトルにある「シルクロード」は、犯人の伊藤がいつか行きたいと夢見てた場所で、その為に貯めた資金をチンピラ2人に奪われたもんで逆上し、1人を刺殺し、残るもう1人を射殺すべく、弥生にジーパンの拳銃を盗ませたワケです。
弥生を演じたのは、優作さんと同じ文学座出身の杉田景子さん。TBSの昼ドラ『愛子』で主演デビューを果たし、その次の仕事が『太陽』本エピソードへのゲスト出演。’81年に早くも引退されてるので、数少ない出演作の1つです。
個人的な感想を言えば、優作さんの相手役としては物足りなさを感じます。ジーパンがああいう地味な女性に惹かれちゃうのは、ドラマ上のキャラクターとしては有りだけど、松田優作の相手役となると、やっぱり桃井かおりさんレベルの存在感が無いと釣り合いません。
その点、決して派手じゃないシンコ=関根恵子(現・高橋惠子)さんがジーパンとお似合いのカップルに見えるのは、いま思えば凄い事かも知れません。やっぱりスターのオーラってやつがあるんでしょうね。
今回、一週間も張り込みを続けるジーパンの食生活を気遣うシンコや、弥生に惹かれてる彼の様子に嫉妬するシンコの姿も描かれ、いよいよ「恋愛フラグ」なるものが立ち始めてます。話数は既に95話。ジーパンの殉職が第111話ですから、この辺りから最終章がスタートしたワケです。
優作さんもデビューから1年近く経って余裕が出て来たのか、例えば今回も「ああ、知ってる知ってる。シルク道路ね」みたいなw、優作さんらしいアドリブがちょこちょこ見られるようになってます。
山さん、長さん、ゴリさん、殿下らのキャラクターや、BGMの使い方にも違和感が無く、みんなが知ってる『太陽にほえろ!』の形が、いよいよ完成した時期とも言えましょう。