源氏物語と共に

源氏物語関連

大君 皇女のプライド

2013-01-21 12:30:52 | 登場人物
バタバタしていたら、早や松の内も過ぎました。
今年もよろしくお願いします。
 
さて総角(あげまき)
大君の死の場面
 
個人的には、大君にはあまり魅力を感じなかったけれど、
米田明美先生のお話をお聞きして、大変納得できるものがあった。
 
大君は最後まで、皇女としてのプライドを持って死んだ。
 
匂宮と中の君との結婚後、
なかなか宇治を訪れられない匂宮。
宮中では大事な匂宮が3日もいなかったとあって、
母・明石女御が外出禁止令を出す。
 
しかも薫が宇治で紅葉狩りをしようと、その紛れに八の宮邸へと計画するも、
あの夕霧大臣までかけつけ、川で紅葉をふいた船(画像参照)と
管弦の調べの様子だけが、八の宮邸に届くのみで、
とうとう訪れる事ができなかった。
 
大君は、中の君は、もてあそばれたと思って
八の宮の遺言も守れずと自分を責め、病気になってしまう
 
しかも、阿闍梨が夢で八の宮を見て、現世の姿で
「なんの執着もなかった現世だが、
すこし気がかりな事があって浄土に行けないのが、残念である。
往生を助ける供養(お経)をせよ」と、ハッキリと言われたと言う。
それで、現世の姿という事は、まだ極楽へ行っていないからと、
お経を唱えにくる。
中の君、もうたた寝をしている時に八の宮の夢を見たと言い、
自分の夢にも現れないのは、私が悪いからとますます病は重くなる。
 
当然、薫がかけつけ、宇治に看病でこもってしまい、
都では、よほど大切な人が宇治にいると噂が流れる。
 
宇治は都と違って雪が早い。
 
ふと薫が、今日は、宮中の大事な行事
豊の明り (今で言う所の新嘗祭)の日だったな~と思い出す場面があった。
 
そして大君は、亡くなる最後まで薫に顔を見せなかった。
この時代に顔を見せるのは夫婦のみ。
皇女のプライドを守ったといえる。
 
細い腕でかけた布団を引き上げ、顔を隠し(もはや扇で隠す力が無い)
人形のように着物だけを着せられたような薄い姿の状態の中、
中の君について薫が語った時のみ、少し返答した。
 
中の君を私と思って結婚してほしかったのに、
匂宮と結婚させたことを、うらめしく残念に思うと言って、
最後は消え入るように亡くなった。
 
死の場面を長く描かれているのは、紫の上と、大君だけだそうだ。
やはり2人とも、源氏物語では、重要な人物なのでしょうという事であった。
 
しかしながら、中の君はその後は匂宮の第一男子を生み、
人生は、逆転してしまう。シンデレラストーリーともいうべきかもしれないが、
やはりその後の夕霧六の姫との結婚などを考えると、色々思う事がある。
 
八の宮は源氏によって、政治的に失脚したが、
その娘はまた宮中に返り咲いた事になる
薫も光源氏よりも出世は早く、将来皇女二の宮と結婚して
傍目には申し分のない幸せ者であるが、
内面はそうでない。
 
源氏物語というのは、なかなか深いものがあり、
それが魅力の一つでもあり、1000年も伝わったのでしょう
 
この時代の皇女や貴族の娘達の没落も沢山あったのでしょう、
それを紫式部は描いて伝えてくれたという事でした。

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