ハナママゴンの雑記帳

ひとり上手で面倒臭がりで出不精だけれど旅行は好きな兼業主婦が、書きたいことを気ままに書かせていただいております。

女王陛下の葬儀 《後編》

2022-09-22 22:10:53 | 王室

《 前編からのつづき 》

 

午後1時40分頃ウェリントン・アーチを離れた霊柩車は、ウィンザー城に向かってゆっくりと走行。

沿道ではたくさんの人々が、女王陛下に最後のお別れをしました。

 

午後3時前、ウィンザー城の南にある何の変哲もない田舎道アルバート・ロードに、突如として非日常の光景が展開しました。

ここに着くまでに沿道の人々が投げた花が、霊柩車を飾っています。

 

ウィンザー城からほぼ真南にまっすぐ伸びる、4km近い長さがあるロング・ウォーク。

アルバート・ロードを数百メートル進んだ葬列は、ロング・ウォークへと右折し、お城までの約1.5kmを、ゆっくりと行進していきます。

 

ロング・ウォークの両側は、女王陛下の棺を見送る人々で一杯でした。

 

下左はお城から見たロング・ウォーク。

 

ロング・ウォークはお城の手前で一度下ってから上りになるようですね。

お城まで350mの位置にあるケンブリッジ・ゲートからは、一般の立ち入りは禁止です。

 

ケンブリッジ・ゲートとお城の間の道の両側には、人々から捧げられた花束が、まるで花壇のようにきれいに並べられていました。

ケンブリッジ・ゲートを抜け、お城へとゆっくりと進む葬列。道端で見送るのは、・・・

 

・・・女王陛下の愛馬、ポニーのエマだそうです。

 

 

緑豊かなウィンザー城。葬儀中継のコメンテーターによると、女王陛下にとってバッキンガム宮殿はオフィスで、ウィンザー城はホームでした。

それゆえ週末は、できるかぎりウィンザー城で過ごされたそうです。スコットランドのホリールード宮殿/バルモラル城と似たような関係ですね。

コロナによるロックダウンが始まって以降、女王陛下はフィリップ殿下と時間の大半をここウィンザー城で過ごされたそうですが、

それ、今となっては本当によかったと思います。

城門をくぐり、城内へとすすむ葬列。

 

女王陛下の愛犬ミックとサンディーも、お見送りしました。この2匹は今後、アンドリュー王子に引き取られるそうです。

 

葬列が中庭をぐるりと回ると、車でウィンザー城入りしていた女王陛下の4人の子供たちとその他が、葬列に加わりました。

 

こうして棺の後ろを歩くのも、とうとうこれが最後です。

 

中庭の芝生にも、人々の献花がきれいに並べられていました。

 

ウィンザー城内にある聖ジョージ礼拝堂が、女王陛下の永眠の場所になります。

チャールズ国王とカミラ王妃が再婚したのも、ハリー王子とメーガン妃が結婚したのも、

最愛の夫フィリップ殿下の内輪のみ(コロナ禍のため)の葬儀が執り行われたのも、ここ聖ジョージ礼拝堂でした。

 

予定通り午後4時頃、葬列は礼拝堂に到着。

 

女王陛下の棺の運搬も、これが最後となります。大任を立派に果たしてくれた兵士の皆さん、お疲れさまでした。

 

祭壇で迎えられる女王陛下の棺。とても美しい聖堂です。

納棺前の最後の追悼礼拝です。ここではウィリアム王子一家とハリー王子夫妻は並んで座っていました。

えぇっ、王冠ドロボウ!? なんてことはなくて・・・

国家へのおつとめが終わった女王陛下の棺の上から、王権の象徴である王冠と宝玉と王杖が、下ろされたのでした。

 

この三品は(三種の神器みたい)それぞれが紫色のクッションの上に大切に載せられました。

チャールズ国王の戴冠式のときまで、厳重に保管されるのでしょう。

 

続いてチャールズ国王が王旗を、さらに宮内長官がふたつに折った杖を、棺の上に載せて追悼礼拝は終了しました。

杖を折る儀式は “breaking of the wand” といい、仕えてきた君主の死により忠義が終わったことを象徴するのだそうです。

 

女王陛下の棺は、午後4時35分頃、地下の納棺堂へとゆっくり没していきました。

ウエストミンスター寺院でも聖ジョージ礼拝堂でも、式の最後は一人のバグパイプ奏者の演奏で締めくくられました。

これは女王陛下の希望だったそうです。

バグパイプを単独で演奏したのは、女王陛下直属のパイパーのポール・バーンズ氏。

幼少の頃からスコットランドでバグパイプの音色に親しんで成長した女王は、王位についたあと、常に近くにバグパイプの音色が聞こえるようにと、

専属のパグパイプ奏者を雇ったのだそうです。女王陛下のパイパーは、毎朝女王が眠る窓の下で15分間、バグパイプを演奏するのが

任務のひとつだったとのこと。バグパイプの音で目覚めるなんて、優雅でいいわぁ

 

聖ジョージ礼拝堂の地下の納棺堂に下ろされた女王陛下の棺は、約3時間後の午後7時半頃、

家族のみが立ち会いのもと非公開で、ジョージ6世(女王陛下の父君)記念礼拝堂に、埋葬されたそうです。

こうしてエリザベス女王は、両親・妹・最愛の夫フィリップ殿下とともに、永眠につかれました。

17ヶ月前に亡くなったフィリップ殿下はこれまで一時的に王家地下納棺堂に安置され、女王陛下の棺の到着を待たされたそうです。

ようやく一緒に永眠できることになり、さぞや安堵されたことでしょう。

 

私は知りませんでしたが、この王家地下納棺堂には、6回も結婚したことで有名なヘンリー8世や、

英国史上唯一処刑された君主であるチャールズ1世も埋葬されていたんですね。ひとつ利口になりました。

 

ジョージ6世記念礼拝堂の画像です。

女王陛下の父君ジョージ6世と母君エリザベス(母娘同名)のお名前が見えます。

ここは一般人立ち入り禁止だそうです。

エリザベス女王陛下、愛するご家族とともに、どうぞ安らかにお休みください。

 

エリザベス女王の死を悼む一般市民から捧げられた花は、

ひとつひとつラッピングやリボンやカードを取り除いて、

堆肥づくりに再利用されるそうです。

ムダにせず、良き目的のために、リサイクル。

きっと女王陛下も、「イイネ!」 してくださることでしょう。

 

*       *       *

 

王室ファンというわけではありませんでしたが、いざエリザベス女王の葬儀の日が来てみたら、

『ながら見』とはいえ、一日中葬儀の中継を見続けてしまいました。

そして女王陛下の逝去を、私が想像していた以上に心から悼み悲しんでいる様子の一般市民を見ていて、感動すら覚えました。

これが在位70年の重みというものでしょうね。

日本の元号でいえば、戦後間もない昭和27年に王位につき、昭和を終え、平成を通り抜け、令和4年まで在位されました。

私だけでなく世界の大半の人々にとって、もうずっとず~っと長いこと、エリザベス女王が英国王室の顔でした。

そんな居て当たり前だった人が、ある日突然いなくなる。

その信じ難い変化に、急には理解がついて行かないのだと思います。

名づけて、ペットロスならぬ女王ロス?!

チャールズ国王の戴冠式が執り行われる頃には、女王の死を受け入れられているのでしょうか。

 

フィリップ殿下は失言が多いことで有名でしたし、チャールズ国王もたびたび、自分の率直な意見を公にしてきました。

でも女王陛下には、70年余にわたる在位期間中、そういうことは一切なくて。

政治的には neutral、でも外交的には useful だったそうです。

そんな女王陛下の亡きあとを引き継ぐのは、かなり荷が重そう・・・・・

でもチャールズ国王には、母君の仕事ぶりを見て学ぶ機会は長すぎるほどあったわけですから、

学んだことを活かして、ぜひとも良き国王になっていただきたいものです。

 

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