浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【映画】「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」

2019-06-22 22:51:58 | 映画
「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」をシネマ・イーラでみた。ナチスドイツは、60万点に及ぶ絵画を掠奪した、そしてまだ10万点ほどが行方不明であるという。

 未だ関係者が隠しているのだろうが、追及は今も続けられている。

 みていて、まず思ったこと、ヒトラーやゲーリングは、ピカソやマチス等の絵を「頽廃芸術」と呼んだが、しかし彼等はその「頽廃芸術」の作品をみずからのものにしようと最大限の権力を駆使したのだが、大衆には「頽廃」とし、自らはそうした絵を愛好していたというこの二枚舌。独裁者・最高権力者らしい行動である。そうした言説を真に受ける人びと、つまりだまされる人びとがたくさんいたということでもある。

 掠奪した作品(主にユダヤ人からであるが)、それが発見されることがある。ナチスに協力したある画商の息子のアパートで発見された絵画。発見されたことをバイエルン州政府は公表しなかった。メディアが察知して報じたのだが、行政権力はナチス支配下の蛮行をきちんと批判しているのだろうかと思った。

 そしてゲーリングやヒトラーは、「高貴な人びと」、つまり貴族を出自としている人びととの交流を楽しみ、そうした「上流」の文化を真似しようとしたようだ。これはどこの国でも見られることだが、浅ましいというしかない。

 掠奪といえば、はじめてロンドンの大英博物館に入ったとき、最初に思ったことは、これはほとんど略奪品ではないか、であった。大英帝国が植民地として支配したところ、侵略したところから、大量の美術品、それだけではなくミイラまで奪い、それを堂々と展示していることに驚いた。過去の歴史についての反省はないのだということも思った。

 美術品の掠奪は、日本も行っている。秀吉の朝鮮侵攻では、陶工まで連行してきた。また朝鮮から、植民地支配の下で、多くの美術品を奪ってきている。

 おぞましい歴史を、今日は学んだ。
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