小沢信男の『通り過ぎた人々』を読んでいたとき、「労働者文学」でその才能を見出された人のことが書かれていた。そこで、ネットで「労働者文学」を検索したら、「労働者文学会」のHPがあった。労働者文学は、かつて労働組合員の文芸活動を組合がバックアップして支えていた。しかし現在のように労働運動があまり盛んでなくなり、さらに連合という労働組合らしからぬ組織に労働組合が統合されてしまっていることから、労働者文学が下火になっているのかと思ったら、まだがんばっているところもあることを知った。
そのなかに「いてんぜ通信」があった。最近私は、「いてんぜ通信」に文を送っている方から、「いてんぜ通信」をいただいたばかりであった。「いてんぜ」を逆さにすると、「全逓」である。郵政労働者が組織していた労働組合は「全逓」と言っていた。全逓労組の組合員が寄稿していた「通信」ということになる。しかし今、全逓労組はない。郵便局ではたらく労働者の組合はあるのだろうが、どんな動きをしているのか不明である。
「いてんぜ通信」は、おそらく私の知人のように、退職した人びとによって運営されているのだろう。
いずれにしても、労働組合運動が下火になっている現在でも、「労働者文学」を担っている方々がいることに、少し安心した。