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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「民衆ことば」

2013-07-15 23:49:45 | 日記
 竹内好『日本とアジア』(ちくま学芸文庫)を読んでいたら、「民衆ことば」という文字にでくわした。意味は「民衆用に支配者がつくり、それを民衆が消費した」、たとえば戦時中の標語「撃ちてしやまん」、「ゼイタクは敵」など。

 現在でも、「民衆ことば」がマスメディアからつぎつぎと流され、民衆はいつのまにかそれを消費させられている。

 たとえば「ねじれの解消」。自民党がみずからの悪政を推進していくためには、参議院の議席が足りないことから、今回の参議院議員選挙において与党である自民党、公明党の議席を大幅に増やさなければならない。

 そこで衆議院と参議院の議席、与党が多数を占めないと「決められない政治」(これも「民衆ことば」)が横行する、だからこそ今回の参議院議員選挙において自民党の当選者を増やして「ねじれ」をなくそう、と自民党は言っているのだが、マスメディアも同じことを報じる。

 だから民衆に消費されてること、最近の新聞社などが行う世論調査でも、「ねじれの解消」はあたかもよいことであるかのようになっている。

 「ねじれ」があるから慎重な審議ができるのであって、「ねじれ」がなくなれば、与党が推進しようとする悪政がどんどん行われていく。

 「民衆ことば」の狙いをしっかりと認識するのが大切だ。


想像力

2013-07-15 07:01:16 | 日記
 いったい日本はどこの国と戦闘を交えようとしているのだろうか。

 第二次世界大戦後、主権を持った国家間での戦争はなくなっている。しいていえば、1982年のイギリスからはるか離れた南大西洋の島、フォークランド諸島をめぐってのイギリス・アルゼンチン間の戦いくらいか。アフガニスタンへの当時のソ連軍の侵入・・しかしそれも国家間の戦争ということではなかった。

 いずれにしても、宣戦布告から開始される戦争はない。

 さて、民主党の細野幹事長がこういう発言をしている。『読売新聞』の記事だ。

民主党の細野幹事長は、「神学論争はやめた方がいい」と述べ、参院選後に本格化する議論に前向きに応じ、自衛隊の役割拡大を容認する考えを示した。

 細野氏は、政府の有識者会議(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)が検討している集団的自衛権の4類型のうち、〈1〉米国に向かうミサイルの迎撃〈2〉国連平和維持活動(PKO)で一緒に活動している部隊が攻撃を受けた場合の武器使用――について、「問題があるなら、それはできるようにする。そういう議論なら積極的にやっていく」と述べ、容認もあり得るとの認識を示した。


http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2013/

 第二次大戦後の戦争をみると、ベトナム戦争、イラク戦争など、アメリカ軍の軍事介入について、その正当性が疑われるものが多い。アメリカはみずから軍事的緊張をつくりだし、戦争を生み出しているといって良い。そういう国家であるアメリカに対する「攻撃」に、日本が一緒になってよいのか。

 たとえばの例であるが、アジアのA国がアメリカとの軍事的緊張が高まり、A国がミサイルを発射した。そのミサイルを迎撃すれば、当然A国からみれば日本は「敵国」となる。日本には米軍基地があるからよけいに、A国は日本に対する攻撃を徹底的に開始するだろう。だがしかし、A国からアメリカは遠い。アメリカが攻撃される割合は、日本に対する攻撃よりも圧倒的に低い。

 かくて日本は灰燼となり、日本国民には大量の戦争犠牲者が生み出される。かくてアメリカは被害のすくないままにA国を攻撃する。

 かくて激しい戦争被害は、A国と日本の庶民が受ける。

 それよりも、アメリカとA国との軍事的緊張がたかまり、それが戦争にならないように、他国と協調しながら平和をどうしたらもたらすことができるかに全力を投入すべきである。日本がA国とアメリカとの間の仲介に全力を尽くすなら、A国も日本への攻撃を躊躇するであろう。

 最近の政治家は、戦闘へ、戦争へと導こうとする傾向が強い。なぜ、平和を維持するためにどうするべきかを考えようとしないのだろうか。

 日本はいかなる国家からも「敵」とみなされないようにする。そういう外交を展開すべきだ。

 20世紀、21世紀、残念ながら日本が「同盟」を結ぶアメリカが、もっとも好戦的である。世界各地で戦争を起こし、インターネットなどで非合法な諜報活動を展開するおそろしい国である。そういう国家との間で「集団的自衛権」を容認し、軍事的な共同作戦を展開しようとすることは、世界各地でアメリカと同様に、日本を「敵」とする国家が増えるということでもある。

 諸外国との協調の中でこそ、日本の経済は成り立っている。日本は、「敵」をつくってはならないし、「敵」とみなされてはならない。

 集団的自衛権の容認、その相手国はアメリカである。アメリカの力は現実に落日の日々を迎えている。だからこそ、アメリカは自分の力ではみずからの威信を維持できないので、日本やイギリスなどを利用しようとしているし、あるいはTPPで、参加国の富を奪おうとしているのだ。

 そういう国家と運命共同体となり、世界各国から「敵」とみなされながら、アメリカの落日に歩調を合わせるのは、愚の骨頂である。

 日本の政治家よ、覚醒せよ!