この地震大国で、日本政府や電力会社は、積極的に原子力開発を推進してきた。原発の危険性を市民団体が主張しても、電力会社や政府は、市民団体をせせら笑うように対応してきた。絶対に安全であるという驕りをもって、「君たちは何を言っているんだ・・・・!」と、市民団体の指摘や要請をほとんど無視してきた。
「原発が絶対安全なら、なぜ都市部に設置しないのか。送電のコストを考えたら、都市の中心においたほうが効率的ではないか」、この問いに、彼らはまったく誠実に対応してこなかった。「安全です、安全です・・・」をただ繰り返してきただけだった。
原発の安全を担保する冷却装置を働かせる電力が切れた際、ディーゼル発電機を4機動かせばよいとしていた慢心。原発は危険なのだ、だから何重にもわたる安全を確保する手段が求められていた。だが、政府も電力会社もそれを怠ってきた。
こういう政策を推進してきたのは、自民党政権である。このことをしっかりと認識しておく必要があるだろう。原発が危険であることは、それが立地している自治体や住民は十分に知っていただろう。しかしそれに対して、政府や電力会社は札束で頬を撫ぜながら、建設を行ってきた。その札束はもちろん電気料金を払っている国民から集めた金の一部である。電気料金は、電力会社が損しないように、一定の利益が上がるように設定されている。電気・電力を供給する事業は、公的なものであるからだ。しかしその裏で、利権に結びついた怪しい動きが、原発の建設時などにしばしばあったことも事実だ。
さて、その驕りが、たいへんな事態を招いている。このままだとどんどん深刻化していくだろう。あちこちの情報を集めれば集めるほど危機的であることを痛感する。
放射性物質が風に乗って関東各地へ運ばれている。
関東各地で15日、通常より高い放射線量が観測された。茨城県内では最大で通常の100倍程度の毎時5マイクロシーベルトを観測。神奈川県内でも通常の10倍近い値が出た。東京都も大気中からヨウ素やセシウムなどの放射性物質を検出。さいたま市や宇都宮市、千葉県市原市でも高い値が検出された。
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011031501000389.html
http://www.asahi.com/national/update/0315/TKY201103150269.html
「朝日」や「日本経済新聞」などの記事を読むと、4号機がきわめて危険な状態にあることがわかる。
4号機、放射性物質を隔てるのは建屋のみ2011年3月15日13時46分
福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの火災はこれまでの爆発事故より深刻だ。プールは原子炉圧力容器や格納容器の外にあり、外部と隔てるのは鉄筋コンクリート製の建屋しかない。1、3号機と同様に水素爆発が起きて建屋が吹き飛び、高濃度の放射性物質が大気中に大量に放出される恐れがある。
使用済み燃料は原子炉で燃やした核燃料を貯蔵しておくプールで、原子炉の隣にある。しかし、使用済みでも燃料は熱を帯びており、1時間あたり数トンの水が蒸発している。このため、常に水を補充して冷まさなければならない。今回、電源切れで水の補充が止まり水が蒸発したとみられる。このため使用済み燃料がむき出しになり、燃料を覆う合金から水素が発生し、酸素と反応して爆発したとみられる。
対策は、速やかにプールに水を注入して使用済み燃料を十分に水で冷やすことだ。4号機は地震前から原子炉が停止中だったため水を入れるのは1、3号機より容易だ。
しかし、すでに建屋内で火災が起きて一部損壊。高濃度の放射性物質が外に出ているとみられている。作業員の被曝(ひばく)の問題から作業は難航するとみられるが、建屋が水素爆発で吹き飛ぶことは防がなければならない。
専門家は、建屋の大爆発で大気中に高濃度の放射性物質が大量に飛散するのを防ぐ対策が最も重要だという。
http://www.asahi.com/national/update/0315/TKY201103150234.html
また東京電力の一貫した隠蔽体質が、今回も露呈している。それが事態を悪化させているとも思える。
これは「朝日」の記事に詳しい。
http://www.asahi.com/politics/update/0315/TKY201103150229.html