hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

でんかのヤマグチ 経営のヒント

2012-09-25 | 企業経営
昨日の講習会で、「でんかのヤマグチ」の話がでた。
講師のお話では、今のような混沌とした時代において、経営のヒントが隠されている。
そこで、アマゾンから「でんかのヤマグチ」の本が2冊出ているので、買って読むようにとのお話であった。

実は、私は2年前に「でんかのヤマグチ」について、仲間と勉強会を開き、様々な資料を調べてレポートを作成した。
そこで、当時の資料を紐解き、再現したいと思う。


●概要

でんかのヤマグチは、東京都町田市にある家電販売会社で、もともと松下電器系列の販売店でいわゆる電器屋さんである。
創業/1965年、資本金/1000万円、売上12億円(2008年3月)、社員数50名(うちパート10名)。
なお、2011年3月の売上高は13.1億円となっている。
町田市は、東京のベッドタウンであり人口約42万人が密集し、町田駅周辺には、「ヤマダ電機」、「ヨドバシカメラ」、「コジマ」、「ノジマ」、「ジョーシン」、「ソフマップ」などがひしめき合う激戦区であり、量販店にとって草刈り場になっている。
通常、このような状況下であれば、まちの電器屋は家電量販店に席巻され、あっという間に淘汰され、その姿を消してしまう。
しかし、「でんかのヤマグチ」はしっかりと今も街に息づいている。


●量販店と異なる経営戦略

96年に売上拡大路線を捨て、高価格ながらサービスを充実させて、粗利益重視型に経営方針を変えている。売上は16億円から12億円と3/4にダウンサイジングしたが、粗利益率は25%から38%へと右肩上がりで改善している。
ヤマダ電機など家電量販店の粗利益率は25%であるから、いかに優れた経営体質になっているかがわかる。
2008年3月期の最終利益も2992万円で前期比41%増。過去3年で4倍になっている。

このような利益を生み出す企業体質をどのように構築したか。
そのヒントは、「でんかのヤマグチ」の経営理念にある。


●経営理念と明確なストアコンセプト

経営理念は

でんかのヤマグチは
当店を利用していただく大切な大切なお客様と、
お客様の為に働く社員のためにある


これを履行するための行動指針をストアコンセプトとして、
「4つのモットー」を掲げ徹底している。


1 お客様に呼ばれたらすぐトンデ行くこと
2 お客様のかゆいところに手が届くこと
3 お客様に喜んでもらうこと
4 お客様によい商品で満足してもらうこと


店の看板には「電球1個!よろこんでトンデ行きます。」と記されている。
この言葉通り、お客様から些細なことでも呼ばれたら文字通り飛んで行く。
例えば、『テレビ番組の録画予約の仕方がわからない』と電話がかかれば馳せ参じ、『タンスの移動を手伝ってほしい』という要望にも笑顔で迅速に対応している。

さらには水回りの修理、果てには旅行中のペットの世話までしてくれる。
商品のフォローサービスという次元を超えた徹底的な顧客奉仕をしている。
パソコンなどの操作がわからず、家族に聞いても丁寧に教えてくれないというケースが往々にしてある。
そんなときに親切この上ない応対をしてくれたら、顧客は高い満足感を得ることになる。
なお、昨今のデジタル化と高齢化を追い風として、顧客は、デジタル機械に弱い高齢者がこの会社のお客様であり、顧客の平均年齢は64歳である。



●お客様とのリレーションシップの作り方

「でんかのヤマグチ」は、他店より高い家電製品を扱っており、特徴として顧客に対して様々なサービス・奉仕はしているが、決して客に迎合はしていない。
その証拠に、「過剰な値引きを要求」、「過去にトラブルがあった」、「過去5年に1万円以上の購入がない」という客はすべて切るという方針を徹底している。

社員にいやな思いをさせないという“経営理念“に徹底している。
それでなければ社員は心から笑顔で仕事は出来ない。

その結果として、家電量販店がひしめく悪環境下でも揺るぎない理念経営と真心のホスピタリティサービスでしっかりと地元の高齢者から支持をされている。

また、いつもの営業員がすぐに駆けつけることで「安心感」や「満足感」が高まり、指名買い、購買頻度の向上、新たな顧客の紹介につながっている。

このように、顧客満足度を徹底している。
さらに、顧客ロイヤリティを上げることで、顧客の心をつかみ、強い絆が構築されている。
利益を追求するのではなく、顧客のロイヤリティを上げることで、顧客の定着率があがり、優良なリピータ客となる。その結果が量販店を上回る収益となっている。

まさしく、核家族・高齢化社会の中ででんかのヤマグチと顧客とは相思相愛のWin-Winの関係を構築し新たな価値を共創している。



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