hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

人を動かす その11 誤りを指摘しない

2012-06-25 | スキルアップ
本日は、
D・カーネギー著
『人を動かす(創元社)、
Part3 人を説得する十二原則 
11 誤りを指摘しない』から引用する。

●子供の質問の仕方とは?

先日、ある研究会にはじめて出席した。
テーマは、前年度の課題研究の発表である。
発表終了後、質疑応答を兼ねた意見交換会である。
最初に、研究会の代表者が、「ズバッ!」と、問題点をあげ、論理の矛盾を指摘した。
その問題点は、誰でもわかることであり、私もその点について質問しようとしていた。
代表者に続いて、私も質問をした。
本来なら、疑問点を2つ3つ用意しておき、前の人(研究会の代表者)の質問と重なることは避け、別な質問をするのが大人の対応である。

しかし、私は、2つの間違えをしてしまった。
最初の間違えは、質問を重ねてしまったのである。
前の方の質問に対して、その答えが納得できなかったのである。
そこで、発表者の気持ちを全然考えもせずに、さらに突っ込んで質問をしてしまった。
発表者は、最初の質疑でかなり落ち込んでいるはずである。
その際のやり取りは、かなりシビアで、問題点をずばずば指摘し、発表者の自尊心を傷つけるようなものであった。
であるため、私の質問は、相手の傷に塩をぬるようなものであった。

二つ目の間違えは、相手が間違っている、ということを前提に、ストレートに質問をしたことである。
例え、質問が重なったとしても、質問のやり方はある。
まして、はじめての参加であるから、紳士的振る舞うのが、大人の世界である。
しかし、私のやり方は拙く、まだまだ未熟であり、発表者に対して申し訳ないと、思っている。


●ベンジャミン・フランクリンの失敗とは?

D・カーネギー氏は、ベンジャミン・フランクリンの自叙伝から引用している。
この自伝で、フランクリンは、いかにして自己の議論好きな悪癖を克服し、有能さと人当たりの良さと外交的手腕にかけては、アメリカ一流の人物になれたか説明している。

『ベン、君はだめだよ。意見のちがう相手に対しては、まるで平手打ちをくらわせるような議論をする。それがいやさに、君の意見を聞くものがだれもいなくなったではないか。君がそばにいないほうが、君の友人たちにとってはよほど楽しいのだ。君は自分が一番物知りだと思っている。だから、だれも君にものがいえなくなる。事実、君と話せば不愉快になるばかりだから、今後は相手にすまいと、皆がそう思っているんだよ。だから、君の知識は、いつまでたっても、今以上に増える見込みはない。今の取るに足りない知識以上にはね。』

『このひどい非難をすなおに受け入れたのが、フランクリンの偉いところだ。この友人のいうとおり、自分は今破滅の淵に向かって進んでいるのだと悟ったあたり、彼は偉大であり賢明だったわけだ。そこで彼はまわれ右をした。従来の傲慢で頑迷な態度を、たちどころに投げ捨てたのである。』

私は、友達に、フランクリンと同じようなことを言われ、その時は改めようと思ったが、まだまだ引きずっている。私も、フランクリンのように、まわれ右をし、投げ捨てなければならないと、改めて思う次第である。


●第二の天性とは?

さらにフランクリンは次のように言っている。
『私は、人の意見に真っ向から反対したり、自分の意見を断定的に述べないことにした。
決定的な意見を意味するような言葉、たとえば、“確かに”とか“疑いもなく”などという言葉はいっさい使わず、そのかわりに
“自分としてはこう思うのだが・・・”
とか
“私にはそう思えるのだが・・・”
ということにした。
相手が明らかに間違ったことを主張しても、すぐそれに反対し、相手の誤りを指摘することをやめた。
そして、
“なるほどそういう場合もあるだろうが、しかしこの場合は、少し事情が違うように思われるのだが・・・”
という具合に切り出すことにした。
こうして、今までのやり方を変えてみると、ずいぶん利益があった。
人との話し合いが、それまでよりよほど楽しく進む。控え目に意見を述べると、相手はすぐに納得し、反対するものも少なくなった。
私自身の誤りを認めるのがたいして苦にならなくなり、また、相手の誤りも、たやすく認めさせることができるようになった。』

まさにこのとおりである。
私は、このように引用することで、多くのことを学んでいる。
今回のテーマ「誤りを指摘しない」も私の課題の一つである。
多くの先人達が、どのように克服したかを知ることは、非常に勉強になるし、励みにもなる。
あとは、経験を積み、考えなくとも実行できるようになることである。

フランクリンもこの点について、述べている。
『この方法を用いはじめたころは、自分の性質をおさえるのにずいぶん苦労したが、しまいには、それがやすやすとできるようになり、習慣さえにもなった。・・・改革を提案すると、みなすぐに賛成してくれたのも、市会を動かすことができたのも、主として、第二の天性となったこの方法のおかげである。』

「第二の天性」
これは習慣である。
はじめはできなくても、繰り返し繰り返し行うことで、だんだんとできるようになり、そのうち習慣にもなる。
つまり、この「第二の天性」はゴルフと同じように、スキルである。
別な表現をすれば、毎日毎日、実践つまりトレーニングを積むことで、少しずつではあるが、レベルアップが可能であり、まさにスキルである。
ということで、「誤りを指摘しない」というのも、「人を動かす」ということも、スキルであれば、最初はできなくとも、ゴルフと同じように正しくトレーニングを繰り返すことで、必ずできるようになる、と信じている。


●大人の対応の仕方とは?

その昔、ISOを担当していた時のことである。
ISO9000は、仕組みの品質を確認するシステムである。
会社全体の仕組みの相関関係を検討した際、矛盾点に気が付いた。
そこで、自分なりに検討して新たな制度を提案したことがある。
しかし、担当役員からは、「検討する」という言葉だけで、私の提案を受け入れてもらえなかった。
今考えてみると、私が性急だったと思う。
相手の立場や理解度を考えずに、自分の考えた制度を推進することばかりを急いでいた。
担当役員に、従来の制度の欠点を素直に認めるゆとりを、持たせる配慮に欠けていたのである。
その結果、案の定、私の案は廃案となってしまった。

今思っても、返す返す残念である。
今であったら、どのように提案するだろうか?

そのヒントが、D・カーネギー氏はにより述べられているので、引用する。

『今度は、まず出席者に問題点を探してもらった。次に指摘された問題点を取りあげて議論し、今後の処置をどうするか、みんなの意見を聞いた。
それから、適当な間をおいて提案を行い、それについて議論してもらい、修正を加えながら固めていった。
会議が終わりに近づいて、私の考えた制度そのものを提示した時は、全員が賛成するところまできていたのである。
この経験から、私は、相手の間違いを頭からきめつけるやり方は、効果がないどころか、結局は、相手の自尊心を傷つけ、みんなからも敬遠され、話し合いもできなくなるのがオチだと悟った。』

もっともな対応である。
このような見方もできるのでないだろうか。
目的は、結果をだすことである。
条件は、相手が納得して賛同を得る必要がある。
しかし、相手は、その制度について理解していない。
であるならば、最初の対策は、相手にその制度について理解し、納得してもらうことである。
そのためには、相手の自尊心を満足させることである。
そうすることで、双方満足して、結果をだすことができる。

つまり、相手の立場を考えて、相手の自尊心を傷つけることなく、結果をだすのが“大人の対応”である。


●結論

『人を説得する原則2』

『相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない』


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。