とうとう出た。
以前から、すき屋の時間外労働は、問題であった。
牛丼チェーンの価格競争が、その一端を担っている。
すき屋、吉野家、松屋で、しのぎを削っている。
価格競争の中で、原材料には限界がある。
牛丼と言って、牛肉を半分にすることは許されない。
それと似たようなことだが、
肉の代わりに玉ねぎや豆腐で補って単価を下げているケースはあるが。
販売価格の低下と共に、コスト削減をしなければならない。
その一番早い方法が人件費削減である。
企業であるから、利益をあげるのは当然である。
その、一つの手段として、人件費をさげることは十分にあり得る。
しかし、しかし、である。
外食産業の外部環境が、昔に比べて、かなり変化している。
以前の牛丼チェーンは、牛丼に特化しており、
吉野家を筆頭として、松屋、すき屋の3社であり、この3社で競争していればよかった。
しかし、今は違う。
同じ牛丼チェーンとして、なか卯、東京チカラ飯などもある。
昔は、牛肉そのものに高級感があり、
さらに、
「早い、安い、旨い」
というように、魅力ある商品であった。
しかし、今では、市場が豊かになったせいか、
牛丼そのものが、“差別化”の対象になっていない。
そのために、牛丼店そのものが、ただの飲食店の一つになっている。
ということは、同じ牛丼を販売するにしても、
市場価値からしたら、一昔前と全く違うといってもいいのではないだろうか。
同じ牛丼を売っても、違うビジネスモデルであるということである。
経営者が、このことに気づいていれば、別な手法でビジネス経営をしていると思う。
今の経営陣の方々は、若い時からやる気があり、会社の将来を考えて、がむしゃらに働いてきたと思う。
そのパワーや、行動力には頭が下がる。
そのような方々だから、今の激戦区の中で、経営トップとして、がんばっているのだと思う。
でも、外部環境が変われば、当然やり方が変わってもいいのではないだろうか?
今の大きなライバルは、マックではないだろうか?
常に商品の付加価値を高めているマック。
一番の違いは、笑顔で迎えてくれるマックに対して、
一方では、片言の日本語で挨拶も儀礼的。
経営者は、この違い知っているのか?
「24時間、365日、お客様のために」というのが経営方針のようだが、
誰のための経営方針だろうか?
夜間の売上が20%あるという。
これは、経営者目線である。
今の時代、24時間、365日、牛丼を食べたい人がいるのだろうか?
「牛丼」が“差別化”された時代なら、OKかもしれないが、今は違う。
ラーメンを食べたいときもあるし、おにぎりの日もある。
お客様が望んでいるものは、経営者の考えと、違うと思う。
お客様が何を望んでいるのか、経営者の方々は、知っているのだろうか?
この原点を見間違うと、経営の方向性がずれてしまう。
その結果、負担は従業員にのしかかる。
さらに、今回のように第三者委員会から指摘され、
マスコミに報道されれば、株価は下がるし、
ブラック企業として、企業評価は下がるばかりである。
従業員も離れていくだろう。
そうすれば、一人あたりの負担は増えるばかりである。
まさに、負のスパイラルである。
経営者の方の想いは、“このようなはずではなかった”はずである。
さて、今後、経営者の方々が、どのように対応するかが、経営手腕の見せ所である。