hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

経営理念を考えよう

2012-10-09 | 企業経営
●中小企業への支援

一つの企画がある。
中小企業の経営者を支援しようと思っている。
自分一人では、多くの中小企業経営者を一度に支援することができない。
そこで、公的機関を利用して、支援を考えている。

中小企業庁をはじめ、様々な機関が支援策を講じている。
しかし、その利用率は定かでないが、利用していない企業が多いことも事実である。

例えば、「経営革新計画」を行う場合、自分の懐具合を公表することになる。
たとえ守秘義務があっても、人間の心情として、いなやようだ。
特に、最近の経営状況は芳しくない。


●財務指標

『建設業の財務統計指標(平成22年度決算分析)』という
東日本建設業保証株式会社からのデータを引用する。

東日本管内にある建設業(26,607社)の財務指標の平均値は次の通りである。

総資本経常利益率 :-0.80%
売上高総利益率  :18.23%
売上高一般管理費率:19.74%
売上高営業利益率 :-1.43%
売上高経常利益率 :-1.05%

あくまでもこれは平均値であり、これを上回る企業もあれば、大幅に下回る会社も当然ある。
この数字を見る限り、他の人には公表はしたくないだろう。

これでは、赤字決算となり、税金も納めることはできない。
一説によれば、日本の企業の80%は法人税を納めていないという。


●成長戦略

どこの企業の経営者も、現状を打破して、成長したいと思っているはずである。
どのように現状打破するかは、様々な方法がある。
どの道を選ぶかは、各人の自由である。

一つ言えることはある。
経営は人の集まりである。
人を動かすことをスキルと考えれば、正しいやり方がある。
ゴルフもスキルであるが、正しいグリップ、正しいスタンス、正しいテークバック、正しいフォロースローなど、正しいやり方がある。
将棋であれば、定石である。この定石が正しい打ち方の基本であろう。

同様に、経営も基本があり、正しいやり方がある。

それが、経営革新計画であり、手順がある。

まずは、会社の現状把握である。
次に、会社の将来のあるべき姿を明確にすることである。
これは、企業理念や行動指針にあたる。
特に経営理念は重要である。


●経営理念の要件

経営理念は、
社会に対しては「企業の存在理由」を、
企業内に対しては、「企業の未来の姿・希望」「価値観」を表明するものである。
経営トップや社員の意思決定、リーダーシップの拠り所になるものである。

そのために、経営理念には3つの要件が必要である。
(1)ミッション(使命感)
(2)ビジョン(夢・希望)
(3)バリュー(価値観)


(1)ミッション(使命感)

ミッションとは、「企業が存在する理由」であり、「社会に対する役割は何か」である。
企業の存在は、市場や顧客が判断する。
判断基準は、市場、顧客、社会にとって役立つ付加価値を作り出しているかであり、
成果を上げた企業のみが、存在することができる。
そのために、企業は、ミッションを明らかにしなければならない。

(2)ビジョン(夢・希望)

ビジョンは、企業の将来の姿である。
質的、量的そして対外的、対内的に、企業の将来の姿を明らかにする。
ビジョンの元、経営者は長期計画、短期計画を策定し実行する。
ビジョンは、すべてのステークホルダー、特に従業員に夢や希望を与え、
そこに向けて奮い立たせる。
経営トップのリーダーシップの拠り所となる。
つまり、「錦の旗」ということである。

(3)バリュー(価値観)

企業・組織が何に価値を置いているか、
何を重要視しているか、
何を最優先しなければならないか、
を従業員に周知徹底する必要がある。
価値観は、企業活動の行動基準・判断基準となり、行動価値基準である。


●価値観の変化

近年、企業倫理に関する不祥事が多くみられる。
「利益を上げるためには何をしても良い」と考えるなら、その企業は顧客や社会から見放される。企業の存続さえ不可能となる。
法律を遵守する、環境に配慮するなど、当たり前のことを当たり前にやるだけでなく、より積極的に社会に貢献する姿勢が求められ、企業に対する期待が変わってきていることを認識する必要がある。


●基本に戻ろう

当たり前のことを、当たり前にやること。
顧客に喜ばれ、社会に貢献すること。
このような企業のみだけが、社会から受け入れられる。
「利他の心」で活動する企業は、社会や顧客から評価されるだろう。

すべて、経営者の考え方、心で決まる。

この経営者の考え方、経営者の心が「経営理念」である。