hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

顧客満足度を高める3つの鍵

2012-10-04 | 企業経営
●3つの理念

昨日は、素晴らしい講演を聴くことができた。

瀬戸川礼子先生。

ジャーナリストとして、
2000人以上の経営者から取材活動を行っている方である。

その経験からして、いくつかの共通点があるという。
業績が芳しくない会社は、
「地域が悪い」「業界が悪い」と他人を悪く言っているという。
著書の中でも、倒産した企業の経営者は
「自分が悪かった」と決して言わないそうである。

一方で、成功している会社にも、共通点があるようだ。
そのポイントが、
「顧客満足を高める3つの鍵」である。
・理念の浸透
・理念の表現
・理念の評価
この3つを実現することが、お客様の満足度を高める条件である。


●3つの鍵の特徴

・作るのにお金はかからない
・地域、業種、規模は関係ない
・すぐに作ることができる
・盗まれない
・みんなが喜んでくれる
・仕事とプライベート両方に役立つ
・不変的である

言われることは、もっともなことばかりである。
今回、そのヒントを8社の事例を用いてわかりやすく、かつ具体的に説明してくれた。


●理念の浸透


鍵の一つ目が、『 理念を浸透させること』である。

まずは、企業の目的として、「あるべき姿」を示すことである。
多くの企業において、HPを見ると書かれている。
ポイントは2つめである。
そのあるべき姿に対して、「そこに行くためには、どうやって行くのか」ということである。
「何のためにやっているか?」ということを、子供にわかるように説明できるか、ということである。
「売上を上げてどうするのか?」ということを、社員全員が言えることができるか、ということである。

その事例として

・美容室「オオクシ」のフィロソフィー
・「花の宿 松や」の1日5回の朝礼

さらに、
2つめの鍵「理念を表現する」方法として

・「日本レーザー」の社長の笑顔
・「近代ホーム」のレポートランキング
・「ザ・リッツ・カートン大阪」のFirst Class Card
・ヨリタ歯科クリニック

さらに、さらに、
3つ目の鍵「理念を評価する」方法として

・川越胃腸病院
・日本理化学工業

特に、2000名の経営者からの取材によれば、「理念を評価する」方法を採用している企業は非常に少ないという。

この点は、「川越胃腸病院」の事例を用いて、わかりやすく説明してくれた。


●規範の四原則

「規範の四原則」(田口佳央氏)というものを教えていただいた。

企業理念(あるべき姿、そのための考え方)

企業としての規範(公平性、収益性)

社会の規範(法律、交通ルール)

人間としての規範(道徳)

全ては、「人間としての規範(道徳)」が重要であり、基礎となる、ということである。
江戸時代の武家社会では、道徳を重んじていた。
幼少のことから、人間としての基礎(道徳)を学び、人間形成に努めていたことは周知のごとくである。
しかし、戦後の教育は、「道徳」に対する考え方が変わり、軽んじられている。
その結果、社会でのトラブルなど、すべてにおいて「人間としての規範(道徳)」が出来ていないためと、考えられることが多い。

特に最近の学校のいじめなの原因の一つとして、道徳の欠如が考えられる。
子供たちの若い親(20代、30代、40代)も、人間としての規範(道徳)を教えられていない。
そのため、家で道徳を教えることはないだろう。
道徳心が欠如している親の背中を見て育った子供も、当然道徳心は育っていない。


●最近の若者は・・・

企業として、「企業理念」を徹底することが重要であることは、言うまでもない。
しかし、「砂上の楼閣」である企業が多い。
それは、一番の基礎である「人間としての規範」が出来ていないためである。

そのため、人間としての規範が不十分な社員をどのように育てるか、ということが企業として最大の課題だと思う。
まずは、そのことに経営者が気づくことである。
そこに、気づかず、「最近の若者は・・・」と言い出した点で、その先はない。
気付いていれば、考えが変わる。
若者をいかに育てるか、という視点に立つことができる。
昔のように「俺についてこい」方式では、成果を上げることは難しいだろう。
社員の現状を把握し、「はしご」をかける必要がある。
ワンステップ、ワンステップ登れるように、「はしご」をかけるのである。
相手によっては、ワンステップが50cmもいれば、10cmもいるだろう。
そのように、経営者自らが意識して、教育することで、「企業理念」を実行する社員が育つのである。
それを、実践している企業が、上記の「近代ホーム」である。
経営者の松本氏は、1年間毎日、新入社員とメールを交わし、人生哲学を教えている。
10人いれば、10通りのアドバイスを毎日行うのである。
そうすることで、今までやんちゃだった若者が、一人前となり、立派な社会人となっていくのである。
これは、瀬戸川氏著の「グレート・スモール・カンパニー」に書かれている。

社員育成に困っている経営者や管理職の人にとっては、必読書である。

また、「近代ホーム」は、口コミだけで、2年先までの仕事が詰まっている。
業績を上げたい企業経営者にとっても、必読書である。