感想

バラとおわら風の盆と釣りなどの雑記

塩の道 Ⅲ

2007年04月25日 | 雑記
宮本常一の「塩の道」は、学生や一般向けの講演を本にまとめてあるため非常に平易で、また胸に落ちる文章になっています。塩の道の歴史を辿ることで、歴史の表舞台に出ない庶民の生活をあぶり出し、われわれが全く省みることもなく、また教えられることもない生活史という分野を切り開いた氏の研究の集大成であろうかと思います。論文形式ではないので、いたるところに結論、推論がちりばめていますが、本の中ほどにある以下の一文こそ、宮本常一が生涯を通して伝えたかったテーマだったと思います。

「われわれの目の見えないところで大きな生産と文化の波が、そのような形(記録には残らない※)で揺れ動き、その上層に、記録の残っている今日の歴史があるわけです。これはとりもなおさず、じつは国民のわれわれが国全体を支えていたということをご記憶いただきたいのです。」

※原文のままですと、前の章を読まないとわかりにくいので※の( )の部分を追加しました。

コメント (2)
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