エネルギー資源の不足や高騰が深刻になるにつれて、新たな燃料の創出に向けた技術開発が活発化しています。その中には、これまで「採算が合わないと。」とか「技術が伴わない。」などの理由で利用されていなかった化石燃料の採掘も含まれています。
そしてこれらの技術開発による新たな化石燃料の採掘が、環境破壊、温暖化ガスの増加、大気汚染、水質汚染、生物多様性の喪失に拍車をかけています。そのひとつがオイルサンドです。
オイルサンドとは、その名のとおり油を含んだ砂(砂岩層)で、カナダのアルバータ州で発見されたものが最も大きく、その量は石油埋蔵量の最も多いサウジアラビアに次ぐ世界第2位といわれています。オイルサンドの採算ラインは1バレル60ドル程度といわれていますが、技術開発によってさらに低コスト化を図る努力がなされています。近年の原油価格の高騰で、オイルサンドによる油の採算性が良くなり、生産量が増えてきています。
オイルサンドは地中や地表付近に存在し、採掘には原生林を切り開く必要があります。このため、森林破壊とそこに住む生物の多様性が失われています。また、EROEI(Energy Returned On Energy Invested、投入エネルギーと回収エネルギーの比)は、1:3で、原油の1:30と比べ採掘のエネルギー効率がかなり悪いのが現状です。
大量のエネルギーの使用に伴って、温暖化ガスが発生するほか、窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)、浮遊粒子状物質(SPM)などによる大気汚染も問題です。さらに、採掘には大量の温水や蒸気を必要とし、これによって生じた大量の排水が水質汚染を引き起こすことも懸念されています。
排水については、日本企業の開発による超電導磁石を利用した排水処理技術で、その処理が短時間に低コストでできることが実証され、実用化が期待されています。このように、新たな技術が開発されることで、これまであまり見向きもされなかった化石燃料の採掘が進み、地球温暖化や環境破壊、環境汚染が加速することが危惧されます。
オイルサンドの他にも、次のように技術開発による化石燃料の採掘が進んでいます。
[二酸化炭素回収技術による石油の増産]
火力発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)を、高い純度で回収する技術が日本の企業で開発されたことにより、このCO2を油田に注入して原油の流動性を活発化し増産することが可能になりました。現在、実用化に向けてプロジェクトが進行中です。
[ハイドレート技術による天然ガス油田採掘の効率化]
天然ガスは運搬時の効率化を図るため、マイナス162℃で約600分の1に圧縮して液化天然ガス(LNG)にしていますが、この設備コストは高価で、圧縮時には多くのエネルギーも必要とします。このため、水分子の籠構造の中に可燃性ガスの分子を閉じ込めるハイドレートという技術を用いて天然ガスハイドレート(NGH)にする実用化研究が日本の企業で進められています。これが実用化されると、これまで採算が合わなかった中小の油田でも採掘が可能になります。
天然ガスは世界中に広く存在し、石油や石炭などの他の化石燃料と比べて燃焼時のCO2発生量は少ないといわれていますが、それでも石炭の約60%、石油の約75%のCO2が発生します。(窒素酸化物は石炭の20~40%、硫黄酸化物は0)
資源エネルギー庁の公表している「日本のエネルギー2008」によると、2005年度の日本の一次エネルギー自給率は6%足らず(水力2.9%:、新エネルギー・地熱等:2.8%)で、原子力を入れても約17%です。このため、エネルギー資源に乏しい日本は、新たな技術を開発して資源国と提携することで、必要なエネルギーを確保することは確かに必要です。
しかし、技術開発による化石燃料の採掘は、資源の枯渇と環境破壊を促進します。その意味では、化石燃料に頼らない新しいエネルギーの創出が必要ですが、最も大切なのは、エネルギー節約の心掛けと更なる省エネ技術の開発でしょう。
一方で、グローバル化した経済の中では、気の遠くなるような永い年月をかけてできた化石燃料を今後の人類のために残して置くよりも、今を生きる人類のために極限まで採掘しようという方向へ進んでいくような気がしてなりません。
【参考文献等】
・「オイルサンド開発のサンコア社 新技術で環境負荷を大幅に改善」日経BP社 日経エコロジー 2007年11月号
・「急拡大するオイルサンド開発 温暖化や環境破壊の元凶に」日経BP社 日経エコロジー 2007年11月号
・「資源創造 日本の技術が枯渇に挑む」日経BP社 日経ビジネス 2008年9月8日号
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書籍名:<環境と体にやさしい生き方(平成20 年10 月19 日 発行)
副 題:自分自身と愛する人、そして人類と地球の未来のために、今、知っておきたいこと
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・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」
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そしてこれらの技術開発による新たな化石燃料の採掘が、環境破壊、温暖化ガスの増加、大気汚染、水質汚染、生物多様性の喪失に拍車をかけています。そのひとつがオイルサンドです。
オイルサンドとは、その名のとおり油を含んだ砂(砂岩層)で、カナダのアルバータ州で発見されたものが最も大きく、その量は石油埋蔵量の最も多いサウジアラビアに次ぐ世界第2位といわれています。オイルサンドの採算ラインは1バレル60ドル程度といわれていますが、技術開発によってさらに低コスト化を図る努力がなされています。近年の原油価格の高騰で、オイルサンドによる油の採算性が良くなり、生産量が増えてきています。
オイルサンドは地中や地表付近に存在し、採掘には原生林を切り開く必要があります。このため、森林破壊とそこに住む生物の多様性が失われています。また、EROEI(Energy Returned On Energy Invested、投入エネルギーと回収エネルギーの比)は、1:3で、原油の1:30と比べ採掘のエネルギー効率がかなり悪いのが現状です。
大量のエネルギーの使用に伴って、温暖化ガスが発生するほか、窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)、浮遊粒子状物質(SPM)などによる大気汚染も問題です。さらに、採掘には大量の温水や蒸気を必要とし、これによって生じた大量の排水が水質汚染を引き起こすことも懸念されています。
排水については、日本企業の開発による超電導磁石を利用した排水処理技術で、その処理が短時間に低コストでできることが実証され、実用化が期待されています。このように、新たな技術が開発されることで、これまであまり見向きもされなかった化石燃料の採掘が進み、地球温暖化や環境破壊、環境汚染が加速することが危惧されます。
オイルサンドの他にも、次のように技術開発による化石燃料の採掘が進んでいます。
[二酸化炭素回収技術による石油の増産]
火力発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)を、高い純度で回収する技術が日本の企業で開発されたことにより、このCO2を油田に注入して原油の流動性を活発化し増産することが可能になりました。現在、実用化に向けてプロジェクトが進行中です。
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天然ガスは運搬時の効率化を図るため、マイナス162℃で約600分の1に圧縮して液化天然ガス(LNG)にしていますが、この設備コストは高価で、圧縮時には多くのエネルギーも必要とします。このため、水分子の籠構造の中に可燃性ガスの分子を閉じ込めるハイドレートという技術を用いて天然ガスハイドレート(NGH)にする実用化研究が日本の企業で進められています。これが実用化されると、これまで採算が合わなかった中小の油田でも採掘が可能になります。
天然ガスは世界中に広く存在し、石油や石炭などの他の化石燃料と比べて燃焼時のCO2発生量は少ないといわれていますが、それでも石炭の約60%、石油の約75%のCO2が発生します。(窒素酸化物は石炭の20~40%、硫黄酸化物は0)
資源エネルギー庁の公表している「日本のエネルギー2008」によると、2005年度の日本の一次エネルギー自給率は6%足らず(水力2.9%:、新エネルギー・地熱等:2.8%)で、原子力を入れても約17%です。このため、エネルギー資源に乏しい日本は、新たな技術を開発して資源国と提携することで、必要なエネルギーを確保することは確かに必要です。
しかし、技術開発による化石燃料の採掘は、資源の枯渇と環境破壊を促進します。その意味では、化石燃料に頼らない新しいエネルギーの創出が必要ですが、最も大切なのは、エネルギー節約の心掛けと更なる省エネ技術の開発でしょう。
一方で、グローバル化した経済の中では、気の遠くなるような永い年月をかけてできた化石燃料を今後の人類のために残して置くよりも、今を生きる人類のために極限まで採掘しようという方向へ進んでいくような気がしてなりません。
【参考文献等】
・「オイルサンド開発のサンコア社 新技術で環境負荷を大幅に改善」日経BP社 日経エコロジー 2007年11月号
・「急拡大するオイルサンド開発 温暖化や環境破壊の元凶に」日経BP社 日経エコロジー 2007年11月号
・「資源創造 日本の技術が枯渇に挑む」日経BP社 日経ビジネス 2008年9月8日号
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