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Go To Zeroを聴きながら

小山卓治を聴きながら夢の国
今日が終わってまた明日

1WEST 72 STREET NY NY 10023

2009年11月19日 | 小山卓治
小山卓治のファーストアルバム「NG」(1983年)より

「アルバムの写真は、当時交友のあった近藤良一氏が1980年に撮った作品だ。
場所はニューヨークのチェルシー・ホテルの一室。
テレビからは、ジョン・レノンが射殺された直後のダコタ・ハウスの様子がニュースで流れている。
この写真を見たことでインスパイアされ、「1WEST 72 STREET NY NY 10023」ができた。
このタイトルは、ダコタ・ハウスの住所がそのままタイトルになっている。」
と彼は書いている。


1980年にジョン・レノンが射殺された。
この曲が作られた1983年、私はNYにいた。
ダコタ・ハウスの前を通るたびにジョン・レノンを想った。
小山卓治という存在はまったく知らなかった。

時が過ぎ
何年か前、初めてこの曲を聴いたとき
あの頃のNYがまるでモノクロの映画のように
甦ってきた。

地下鉄の匂いがする男
オイルの匂いがする女

二人が出会い
愛しあう

哀しみを抱えた心と心
そんな二人がつないだ手と手だから
すべてを感じ取って
お互いの哀しみを愛しいと思えるのだろう

初めてこの曲を聴いたとき
尾崎豊の「I LOVE YOU」を想った
でも尾崎豊の男と女には
破滅の予感しかしない
明日がない

NY NYの男と女には
ほのかな未来が見える

固く手をつないで日陰を飛び出した男と女には
現実と向き合い
うまくやっていけるだけの力が見える

あの頃のNYには
こんな風に出会った男と女があちこちにいたような気がする

あの頃の男と女
今頃どうしているのだろうか
相変わらず売れない絵を描き
NYの小さなアパートで細々とやっているのだろうか
それとも
郊外の小さな家でそこそこに暮しているのだろうか



   1WEST 72 STREET NY NY 10023

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   “あんた地下鉄の匂いがする”
   “君はオイルの匂いがするよ”
   裏切られてふた晩ずつ泣いた後
   2人はこんな風に始まったんだ

   最初に2人はベッドで愛を持ち寄り
   固く手をつないで日陰を飛びだした
   女は上手にダンスを踊った
   男は上手にBRUCEを歌った

   駅前で演説を30分聞いた後
   募金箱を持った女をからかった
   号外で紙飛行機を飛ばして
   ネックレスを売りはらい食事をすませた

   Oh Well Well
   2人ならきっとうまくやっていけるよ
   Oh Well Well
   何ひとつ2人を止めることなんかなかった

   夜になり大きなネオンに差しかかった時
   ふたつの影はたくさんの靴に踏まれた
   モザイクのような星空を見上げて
   破れたポケットから小銭をこぼした

   “俺達をどこかへ加えてくれないか?”
   だけどそれから夜は花火のようにはじけた
   壁のポスターは警官にはがされ
   信号は赤の点滅を続けた

   Oh Well Well
   2人ならきっとうまくやっていけるよ
   Oh Well Well
   何ひとつ2人を止めることなんかなかった

   夜が明けてすっかり老けこんだ体で
   ダコタへたどり着いた2人は
   朝日に静かに洗い流された
   サビついた時計は新しい時を刻み続けてる

   Oh Well Well
   2人ならきっとうまくやっていけるよ
   Oh Well Well
   何ひとつ2人を止めることなんかなかった