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Go To Zeroを聴きながら

小山卓治を聴きながら夢の国
今日が終わってまた明日

「ユリエ」の世界

2009年11月05日 | 小山卓治

ユリエは
その緩やかな曲調に合わず
深い深い哀しみと
心の闇の中にいる

この曲の主人公はユリエ
ユリエからみた世界

でもいつもこの曲を聴いて思う

ユリエのママの世界からみたら
どうだったんだろうかって

1億人いれば1億人分の世界があって
それぞれの世界は自分を中心に回っている。

映画を観ても
脇役やその他大勢はいともあっさりと殺されていき
主人公は矢が降っても火だるまになっても生き残る

でも脇役もその他大勢も
実は主人公でそれぞれの世界があるのにね

語られることのない思いや苦しみや絶望を秘めて
まるでいなかったかのように消えていく
それを思うとなんだか無性に哀しくなる

親であることは
自分で選んだ道だから

自分の世界の中でまっとうするしかない
どんなに苦しくても
どんなに逃げたくても


ユリエのママは何を思ったのだろう



   ユリエ

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   ユリエはその朝 学校に行かない決心をした
   ポケットに財布と お気に入りのカーディガンを肩にはおって
   火傷した右手で玄関のドアを閉めて飛び出す
   ユリエは学校と反対の方角へ国道を歩く
   ユリエとすれ違う何人かは不思議そうにユリエを見てた
   ねえパパ もう2度と私をぶつこともないんだよ
   ねえママ ホントは少しホッとしてるんじゃないの?
   ユリエは口笛でヒヨドリの声を真似しながら歩く

   ユリエはコンビニでジュースとサンドイッチを買ってほおばった
   パトカーを見るたび自分を探してるんじゃないかと思った
   空はキラキラ輝いて 少し歩けば海が見えてくる
   ユリエは思い出す ずっと前にパパとママで海に行ったね
   大きな膝の中 あったかくてずっと丸まって眠ってた
   ねえパパ 自分の娘にあんなことして楽しい?
   ねえママ 私の目つきが嫌と何度も言ったね
   ユリエは鼻先で潮の香りを感じてちょっとほほえんだ

   教室じゃ今頃 アヤカとサリナが心配してくれてるよ
   先生は絶対 真っ青になってるよ 何だかおかしいな
   日記帳もきっと燃えたね 写真も制服ももういらない
   国道の向こうにテトラポッドの列がどこまでも並びだす
   ユリエは道沿いの低い防波堤に飛び乗って海を見る
   ねえパパ 燃える灯油の中はどんな気持ちだった?
   ねえママ いつか天国のことを私に話して
   ユリエは口笛でヒヨドリの声を真似しながら歩きだす