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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

統数研セミナー

2008-12-12 | 研究ノート
・広尾の統数研にてSさん、Tくんとカツラの打ち合わせ。しばらく寝かせていたうちに状況は刻々と変わり、イントロは方針変更を必要がでてきた。しかし、カツラの場合には引用できる論文が増え、かえってアトラクティブになりそうな感じ。時代が我々に追いついてきた・・・わけもなく、最近のトレンドを背景に添えると、ラッキーなことに案外面白い結果が得られているといえそう。ともあれ、少ない時間ながら有意義な打ち合わせとなった。

・午後からセミナーに参加。北は北海道、南は沖縄から20名程度の参加者。Uさんによる資源の空間分布が地形要因でどのように説明されるかという話がとても面白かった。そもそも6haの調査プロットを600箇所のグリッドに区切り、それぞれの土壌含水率、CN比、RPPFDをすべて測定しているというのがすごすぎる。

・今回は、これらの実測値と標高、方位、WI(Wetness Index)との関係を調べている。WIという指標はGIS上で集水域面積と傾斜角度から計算される。もともと水文学の分野で考案された指標のようだが、種の分布、個体の成長パターンなどを考える上でも便利そうである。標高別試験地のデータ解析、サイト記載でも必要になりそうだ。

・Kさんの発表では、最近のホットな話題である種多様性(Diversity)と生産性(Productivity)の関係(D-P関係)に関する最近のレビューがあり、大変参考になった。富良野の天然林施業でも無数の択伐プロットのデータがあるので、種多様性と生産性という切り口で、天然林施業の意義を再評価すると新しい知見が得られるのではないかと思った。

・懇親会では、Iさんとお話する機会があり、試験地の森林動態モデルについて相談に乗っていただいた。個体位置情報と種ごとのSLAや光合成速度などのパラメータをなるべく集めた方が良さそうだが、なんだか新しい方向が見えそうな気が・・・。。実に刺激的な一日であった。異なる専門の人たちと議論することは大事だ!

シードトラップ

2008-12-11 | 研究ノート
・岩魚沢シードトラップの3年分のデータをようやくまとめる。これは5haのプロットに22個のシードトラップを設置して、毎月回収した結果である。得られた種子の樹種組成はエゾマツ、トドマツ、イタヤカエデ、オオモミジ、シナノキ、ヤチダモ、キハダ、ハンノキ、ウダイカンバ、カツラ、ニレ類である。ちゃんとみていくと、豊凶の程度や散布量の空間的な関係などが見えてきそうなのだが、年、月、トラップ、樹種という階層構造になっているので、データをうまく使いこなせずに悪戦苦闘。



・とりあえず、2005年のデータについて、種ごとに散布密度を空間的にプロットしてみる。ええい面倒だ、と、月は全部重ねてしまうと、まるで水面に石つぶてを投げたような芸術的な(?)絵が描ける。ふうむ、迷いの森に入っている当方の気持ちを映しているような気も・・・。ちなみに2006年はこう。



・引き続き、2007年。豊凶らしきものも何となく見えてくるわけだが、はてさて、これからどうすればいいか。



・試験地のみんなと当試験地のカエデ林を見に行く。ここにはカジカエデ、トウカエデなど、色々なカエデが植栽されている。最近は下刈りをしていないわけだが、Kさんの言うとおり、林床をよく見ると思った以上に更新している。中にはブッシュ状に稚樹が固まって生えているところもあり、なかなか面白い。まずは、上木の個体位置図とブッシュ状の稚樹個体群の対応(種組成も含めて)を見てみたいところだ。

力技

2008-12-05 | 研究ノート
・茨城からWさんが訪ねてきてくれた。彼とは福岡時代からの付き合いである。GISデータをどのように位置づけていくかについて相談ということだったのだが,二人で色々と議論するうちに方向性が見えてきたような感じ。局所適応についても色々と意見を交換し、今後の研究方向について考えるきっかけになった。

・昼食後、遺伝子の解析方法について、レクチャーを受ける。それにしても、Wさんは実に精力的に仕事をしている。本人は力技だと笑っていたけれど、実に迫力がある。よく考えてみれば,当方も彼とは同じように力技でやっていたはずが,最近は動く前に考えすぎている。そんなに切れるほうじゃないのにかっこつけても始まらない。まずは動くこと!だ。それにしても、他の研究者と議論することの重要性を改めて感じる。今度は,一度,こちらからセンターを訪ねてみよう。

・6時からアジアと合同の試験地の忘年会。今年は本当に色々なことがあったが、来年こそは穏やかでいい年にしたいものである。

吾亦紅

2008-12-03 | 研究ノート
・いよいよ講義が明日に迫る。一つずつ、資料等を完成させてゆく。投稿論文執筆講座については、読本、プレゼン資料等も完成。本当の講義の方が遅れがち・・・。とりあえず、あたふたと作成。せっかく遺伝子流動をやるので、散布カーネルの話もしたいということで、改めてお勉強。

・昨日、鳴子のTくんと茨城のIくんが来てくれて、ちょうど散布モデルの勉強をしていたのが役に立った。今更ながら、近隣モデルの理解をしたりして・・・。やはり尤度の概念を理解するというのが一番のポイントのようである。



・種子標本採取に来てくれていたSさんと試験地を少しだけ回る。下刈りの頻度や方法が自然と異なっているせいか、自生種が多い二次草地と外来種だらけの草地の両方があるのが面白いというコメントを頂く。草地がいい感じですよね、といわれると訳もなく嬉しくなる。別に自分がほめられているわけではないのだけれど・・・。



・メタセコイアの林ではだらりと垂れ下がったシュートが目に付く。てっきり徒長したシュートだと思っていたら、来年の雄花のようである。もしかすると来年は豊作なのかもしれないが、花粉がすごかったりして・・・。



ワレモコウの花。「我もこうありたい」という思いでつけられた名前だとか・・・。既に最盛期を過ぎている。こうした草地に目を向けるようになると、また新しい世界が開けているのかもしれない。

根寄生植物

2008-12-01 | 研究ノート
・試験地内の会議。色々と報告や審議をしているとあっという間に2時間が経ってしまう。もう少し短くできそうなものなのだが、当方の手際ではこれぐらいが限界だろうか。試験地内を少し見回ると、ずいぶんと紅葉が進んできたことを感じる。当試験地の場合、カエデの園芸品種がたくさんあり、色のバリエーションが楽しめる。



・見学路は落葉が積もっており、歩いたときの足音が心地よい。



・4時からKさんによるゼミ。ヒノキの防御機構と根寄生植物に関する話題。いずれも植物ホルモンに着目しての研究。植物ホルモンの世界も奥が深そうだが、樹木の形態形成における効果についてもう少し掘り下げて理解したいと感じた。

・根寄生植物の話題では、自分では葉緑素を持たずに作物の根に寄生する雑草Orobanche minor (ハマウツボ科)を防除するために、播種実験においてサリチル酸とジャスモン酸を添加して発芽抑制・寄生抑制効果を調べたというもの。根寄生植物へのこれらの添加効果は結果もクリアーだった。

・根寄生植物の代表格のハマウツボ科は、日本でも普通に見ることができる(帰化植物の方が有名?)。梅雨時期にしか見られないらしいので、来年は気をつけてみたい。ところで、居室で黒光りする大きい昆虫をついに見つけてしまった。実のところ、当方はこの昆虫だけは大の苦手なのである。東京に来れば仕方がないのだろうけど、これはキツイ。

投稿プロセス

2008-11-30 | 研究ノート
・終日、穏やかな日和だった。我が家には夏よりも陽が差し込むようになり、陽に照らされているとぼーとしてしまう。午前と午後で子どもと過ごす。ここのところ、平日はずっと相手をできなかったもんなあ・・・。

・夕方に投稿論文執筆講座のスライド作成。"読本"はある程度出来上がっていたのだが、スライドはほとんどできていなかった。福山雅治のラジオを聞きつつ、子どもは横でポケモンの絵を描きつつ・・・、という状況だったのだが、不思議とすいすいと進んだ。

・改めて考えてみると、当方も5年くらいの間に投稿の経験だけは結構積んでいる(その割りに見返りが少ない!?・・・)。やっぱり自分の経験があると、色々と気がつくことが多く、それなりに伝えたいこともある。

・科学論文の執筆について公開しているRuth YanaiさんのWebページ。これがまた実によくできている。一度、本人の講義を受けてみたいところである。

Wヘッダー

2008-11-28 | 研究ノート
・本日,講義とゼミ発表のダブルヘッダー。相変わらず,綱渡り的なスケジュールだ。結局,ぎりぎりまでプレゼン資料を作成することになってしまう。今回の講義では,最後まで手ごたえをつかめずに終わってしまった。反省としては,全体的に詰め込み過ぎのきらいがあることで,もう少し焦点を絞るべきなのであろう。それにしても,講義のポイントというのはなかなか掴めずにいる。



・朝の悪天候がウソのような天気になる。弥生キャンパスでは銀杏の紅葉が見事になってきた。においもすごいけど・・・。

・演習林ゼミでは,標高別造林試験地の測定結果を発表した。全体として,非常にきれいな結果となっているのだが,逆にいえば,当たり前すぎるともいえる。何を隠そう,今回のプレゼンで一番苦労したのは,その面白味をいかに伝えるかということだった。秩父のSさんから,他樹種,種内の競争効果は考慮するアイデアを頂いたので,それを加えて解析を試みることにしよう。

・ゼミ発表の中で,今更ながら,Rを使ったデータ解析について少し触れたのだが,その部分は学生の中でも少し残ったようである。以前に一度だけ,学生対象のR初心者講習を行ったのだが,そろそろメンバーも入れ替わりつつあるので,改めて講習をするべきかという気になった。

・当方のRは相変わらず遅々として向上しないのだが、必要にかられて少しずつはできることが多くなっている(と思う・・・)。講習とはいっても,それぞれのデータを持ち寄って,解析を試みるようなことを行った方がよいかもしれない。自分自身の経験でも,自分のデータを用いる場合と講習のためのデータでやる場合とでは,気持ちの入り方が違うもんだからねえ。

NYから

2008-11-19 | 研究ノート
・時期を前後して、論文3つの審査結果が届いた。一つは玉砕、一つはMajor revision、一つは受理。悲喜こもごもといった感じだが、今回の玉砕は結構痛かった。この負のスパイラル、まだまだとどまることを知らんようだ。3ヶ月待たせて、この結果はないだろう・・・と思うんだけど。とにかく、そろそろ頭を切り替える必要がありそうである。

・このような報せが届くと、投稿論文執筆講座をやるのも気が引ける、というかなんというか・・・。こうならないためにも学生達には反面教師になってくれということになるんだろうか。いやはや、辛いものがありますなあ・・・。

・先日、ある意味では当試験地にとっての大きなイベントがあり、みんなで対応。無事に終わったのはよかったのだが、職員全員、なんだか気が抜けてしまった感が否めない。

・と、なんだか落ちた状態だったところに、NYからのIさんからメールが・・・。来年、つくばで開催される生物学的形態解析のシンポジウムでヤチダモ種子形態関連の発表をしないか、というお誘い。肝心の発表内容が問題だが、なんだか久しぶりに元気が出るメールをもらった気がする。



・今日もいい天気である。朝晩の冷え込みで、紅葉がさらに進んだようである。



・といっていたら、京都のSさんからも久しぶりの連絡が・・・。カツラの甘い香りを試験地内でもかぐたびに、思い出していたわけなのだが、ここに来て再始動となるか・・・。こちらも楽しみである。

アカハラ疑惑

2008-11-14 | 研究ノート
・昨日から快晴が続く。久しぶりの青空を見ていると、室内でのパソコンに向かう作業がもったいないような気になる。



・ふらりと歩くと、モミジはまだ赤が薄いが、”モミジバフウ”の方はだいぶ色づいてきた。紅葉シーズン始まり・・・である。





・ヒノキ論文の著者校正。Breeding Scienceの編集システムは非常にしっかりしているので、あまり訂正することもなく非常に楽ちんである。Iさん、Tさんに少しだけ確認を取って作業完了。ようやくここまで辿り着いた、という感じ。

・12月4日の講義準備。TEXでの講義ノートは図表入りでだんだんと凝ったものになりつつある。今更ながら、TEXでのようやく表の作り方が分かってきた。仕上がりがきれいなので、作業していても楽しい。

・今日は鳥の声がやかましい。ツーピーピーと甲高い声である。さすがにアジアの人たち(当方たちはセンターの人たちをこう呼んでいる・・・)も何事かと思ったらしく、何の鳥だろうという話題を交わす。20cm程度の割合大型の鳥でお腹がオレンジ、目には灰色のアイラインがある。なかなか慌しい動きをする鳥である。アカハラかと思ったのだが、ちょっと違うようにも思える・・・。Iさんの実習に一度参加したくらいでは、鳥の同定はなかなか難しい。

・北海道から75林班の地がき試験地に鹿ネットを張っていただいたという報せ。雪上にはウダイカンバ種子が降り注いでいるようで、なんとも楽しみである。学会発表申込みや研究助成の締め切り間際ということもあり、富良野との往復書簡が何通か・・・。しかし、この時期の季節感の違いは顕著だ。こちらはまだ紅葉が始まったばかり・・・なんだもんねえ。

種子標本

2008-11-12 | 研究ノート
・気になっていた査読を片付ける。10月末に査読を受けた後、結論はかなり前に出ていたのだが、この報告文を書くのが億劫だったわけである。この作業をしていると、毎度のことながら、自分の英作文作成能力に嫌気がさす。最低限、言いたいことが伝わらないとお互いに不幸なので、一気に書き上げる。

・11月末と12月初めの講義が2つある、というのがなんとも言えないプレッシャーである。何から手をつけていいのか分からない状態だったわけだが、とにかく12月初めの講義について、講義ノートをTEXで作ってみた。ワードをTEXに変えただけだが、それだけで見栄えが変わるから不思議。切り貼りしているうちに、少しだけ落ち着いてくる。



・今日から試験地内の種子標本作成の仕事をSさんに依頼。東北大でも種子標本が揃っており、埋土種子の同定には威力を発揮していた。当試験地の場合、自生種(武蔵野らしい植物)と外来種のバランスに興味があるのだが、やはり網羅的に種子標本を作っておく必要がある。

・本当は、少しずつ自分で集めていけばいいのだが、なかなかこういう仕事を合間を見てやろうとすると難しい。ラベルの整理の仕方なども議論して、大体の進め方は固まりつつある。タネの小瓶が少しずつ増えていくのが楽しみになりそう・・・。

・帰宅間際に生存/枯死に標高と経過年が及ぼす効果を解析してみる。for文を使えば割合と簡単に種ごとの結果を得ることができるようだ・・・。cbindも機能しているようだが、もう少しモデルの基本的な部分を理解する必要がある。